削除請求|仮処分でネット名誉毀損に対応!【Twitter・2ch】

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ネット上、X(旧Twitter)や2chなどの掲示板やSNS上で名誉毀損、誹謗中傷の書き込みを削除請求したい場合、「仮処分」によって削除請求できます。

ただ仮処分は裁判所を使った手続きであり、「やり方がわからない」「難しそう…」と考える方も多いと思います。

この記事では、X(旧Twitter)や2ch上でのプライバシーの侵害、ネット名誉毀損といった誹謗中傷の書き込みを削除するための「仮処分」が認められる場合の要件、削除請求手続きの流れ、費用をご紹介します。

削除の仮処分とは?

「仮処分」とは、権利を守るために緊急性を要する場合において、裁判をする前に裁判所で一定の判断をしてもらうための手続きです。

原則的に、何らかの権利を実現するためには裁判をしなければなりませんが、裁判には非常に時間がかかります

確定するのを待っていたら権利が害されて取り返しがつかなくなってしまうことも多いです。

そこで仮処分によって仮に権利や義務を実現することにより、権利を保全することができるのです。

特に、ネット誹謗中傷・名誉毀損のケースでは、裁判している間に誹謗中傷記事がどんどん拡散されて被害が拡大してしまうおそれがありますので、裁判している余裕がないので、仮処分によって削除命令を出してもらうことが可能となるのです

仮処分の要件とは

ネット誹謗中傷を受けたとしても、どのような場合でも仮処分が認められるとは限りません。

仮処分は仮に権利を守るための手続きであり、相手に対しては権利を制限したり義務を課したりするものですから、厳しい要件が課されます。

具体的には「被保全権利」と「保全の必要性」という2つの要件を満たさねばなりません。

【民事保全法第13条】
保全命令の申立ては、その趣旨並びに保全すべき権利又は権利関係及び保全の必要性を明らかにして、これをしなければならない。
保全すべき権利又は権利関係及び保全の必要性は、疎明しなければならない

被保全権利

被保全権利とは「守るべき権利」のことです。

ネット記事削除の場合、以下のようなものが被保全権利として認められます。

  •  名誉権
  •  プライバシー権
  •  営業上の権利
  •  信用を維持する権利
  •  著作権
  •  商標権

保全の必要性

保全の必要性は、実際に権利侵害の記事が「ネット上で拡散されていたら」認められます。

しかし、客観的に投稿内容をみて名誉毀損とは言えない場合や、名誉毀損の違法性を阻却する要件が整っている場合などには保全の必要性は認められません。

仮処分を申し立てるときには、申立人が「被保全権利」と「保全の必要性」の2つの要件を疎明(簡単な証明)しないといけません。

削除の仮処分の流れ|名誉毀損対応

ネット誹謗中傷記事、名誉毀損の記事を削除してもらうための「仮処分」はどのようにして進めていくのか、削除請求する流れをみてみましょう。

  • ① 仮処分の申立て
  • ② 審尋
  • ③ 担保金の納付
  • ④ 仮処分命令
  • ⑤ 記事削除の実行

以下で、1つ1つのステップについて確認していきます。

仮処分の申立て

まずは裁判所に「記事削除の仮処分命令の申立」をします。

仮処分命令の相手先(債務者)は、問題となる記事を掲載している2chやX(twitter)やウェブサイトの管理者や運営責任者です。

サイト上に表示してあるときにはそちらを相手先にしますし、表示されていない場合にはドメイン代行業者などに照会して事前に管理者を調べておく必要があります。

申立てをするときには、被保全権利の内容と権利侵害の事実、保全の必要性を記載した申立書と、それらを証明するための証拠を添附する必要があります。

証拠としては、投稿記事が表示されているページをプリントアウトした紙や画面を写した写真、動画などが有効です。URLやスクリーンショットもとっておきましょう。そして削除請求を進めます。

審尋

仮処分の申立てをすると、裁判所において「審尋」が行われます。

審尋とは、裁判所で裁判官と当事者が面談をして、裁判官からいろいろと質問が行われる手続きです。

まずは申立人(債権者)が呼ばれて裁判官との面接が行われ、次に債務者が呼ばれて債務者審尋が行われることが多いです。債権者からの提出資料が足りていないときや権利侵害の内容が不明な場合などには、面接の際などに裁判官から指摘されるので補完が必要となります。

また債務者は審尋の席でいろいろと反論することが予想されるので、反論をされても覆されない程度にしっかりと法的な主張をまとめて証拠を提出する必要があります。

担保金の納付

債権者との面接や債務者審尋の結果、裁判所が権利侵害を認め保全の必要性があると判断したら、裁判所は仮処分命令を出すことを申立人に通知してきます。

ただし仮処分は仮の決定であり、万一後に「実は権利がなかった」と明らかになった場合に債務者が損害を受ける可能性があります。

そこで実際に仮処分を出してもらうため、申立人は一定の金額を「担保」として支払わねばなりません。

担保金は法務局に「供託」する方法で支払います。担保の金額は事案にもよりますが、10万円~50万円程度になることが多くなっています。

担保金を供託すると法務局から「供託書」を渡してもらえます。そのコピーを裁判所に提出すると、裁判所は仮処分命令を出してくれます。

仮処分命令

裁判所が仮処分命令を発令すると、債権者と債務者のもとに仮処分の命令書が届きます。

すると、多くのケースで債務者は自主的に名誉毀損記事やプライバシー侵害記事の削除請求に応じます。

記事削除の実行|間接強制

相手が自主的に名誉毀損記事の削除に応じない場合、強制執行ができます。

記事削除の強制執行は「間接強制」という方法です。

これは相手が削除に応じるまで、裁判所が定めた金額の「お金」を相手に支払わせるものです。現実に記事の削除を裁判所が直接代行することが難しいため、こうした間接強制の方法がとられています。

申し立てから命令が出るまでの期間

以上が2chやTwitterなどのネット誹謗中傷を受けたときの記事削除請求の仮処分の流れです。

仮処分の申立から実際に仮処分命令が出るまでの期間は、ケースにもよりますが1~2か月程度です。

訴訟を起こすと半年程度はかかってしまうことが多いですし、証拠などもより厳密なものが必要となるので、仮処分は手軽でメリットが大きい対処方法と言えます。

削除の仮処分の費用

2chやTwitterなどのプライバシー侵害記事・名誉毀損記事削除請求の仮処分にはどのくらいの費用がかかるのか、みてみましょう。

実費

仮処分を自分で申し立てた場合には「実費」のみがかかります。仮処分の実費は以下のとおりです。

申立印紙代

申立印紙代は、仮処分申立書に「収入印紙」を貼って納付する裁判所の手数料です。金額は2000円です。

郵便切手代

郵便切手代は、連絡用の郵便切手を現物で納めます。裁判所やケースによって多少異なりますが、数千円程度です。

担保金

仮処分では先ほども説明した通り、担保金が必要です。だいたい10~50万円で、削除する投稿内容が多くなったり事案が複雑で判断が難しかったりすると、金額が高くなる傾向があります。

担保金は、後に相手の同意を得るなどして取り戻すことが可能です。

削除請求は弁護士費用も念頭に入れるべき

現実的に、仮処分を申し立てるとき、素人の方が一人で進めるのは難しいです。

申立書を作成したり証拠を揃えたりしなければなりませんし、裁判官との面接の際にも適切な対応が必要となるからです。

「主張や証拠を補完するように」と言われたときにも裁判官の意図に従った対応をできないと、仮処分命令を発令してもらえない可能性もあります。

そこで削除請求の仮処分をするとき、多くのケースでは弁護士に依頼します。

弁護士に依頼すると、弁護士費用がかかります。仮処分命令の弁護士費用には、相談料、着手金、報酬金の3種類があります。

相談料

相談料は、当初に弁護士にネット誹謗中傷事件について相談したときにかかる費用です。

相場は30分5000円となっています。ただし削除請求の無料相談を実施している弁護士事務所もあります。

当サイトにも誹謗中傷や名誉毀損に強い弁護士事務所を掲載しているので、ご参考ください。

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着手金

削除請求、記事削除の着手金の相場は20~40万円程度です。

報酬金

削除請求、記事削除の報酬金の相場も、20~40万円程度です。

ただ、仮処分の着手金、報酬金の金額については依頼する事務所によって異なることもあります。

例えば、着手金が安くても報酬金が高い事務所や、その逆もあります。

なるべく安くおさめたい場合、複数の事務所を比較して依頼する弁護士を決めるのも良いでしょう。

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X(旧Twitter)などで削除の仮処分をすべきケース

X(旧Twitter)や2chなどの掲示板などで、以下のような被害を受けたら、仮処分命令を利用すべきです。

  •  誹謗中傷記事がインターネット上で拡散されている
  •  自分で削除フォームを使って申請したが、削除してもらえなかった
  •  自分の名前や社名などの検索候補や関連ワードにネガティブなキーワードが表示されている
  •  2ch、5ch、爆サイ、ホスラブなどのネット掲示板に誹謗中傷を書き込まれた
  •  ウェブサイトやブログに誹謗中傷記事が投稿された
  •  X(旧Twitter)などのSNSやGoogleマップなどの口コミサイトに誹謗中傷が投稿された

まとめ

ネット上、X(旧Twitter)上で誹謗中傷を受けたとき、放置しておくと拡散されて風評被害が広まります。

サイト管理者や運営会社が任意の削除請求に応じないケースも多々あるので、早めに仮処分に踏み切って権利侵害記事を削除させましょう。

自分一人の力では対応が困難な場合、早急に弁護士に依頼して記事削除の仮処分を申し立ててもらうことをお勧めします。

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本記事はネット誹謗中傷弁護士相談Cafeを運営するエファタ株式会社の編集部が執筆・監修を行いました。
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