YouTubeにおける「歌ってみた」|著作権問題を徹底解説!

utattemita tyosakuken

YouTubeで聞きたい曲名を検索すると、「〇〇歌ってみた」というタイトルの動画を見かける、なんていうことはありませんか?
もしくは実際に「歌ってみた」を投稿したことがある人もいるかもしれません。

自分で好きな曲を思い思いに歌って、沢山の人に見てもらえたら嬉しいですよね。
ですが、「歌ってみた」の投稿は著作権侵害になり得ることがあるんです。

今回は、YouTubeに投稿される「歌ってみた」について法的問題と対策を解説していきます!

YouTubeに投稿される「歌ってみた」

近年、ボーカロイドやJ-POPなどの曲を一般人が歌ったものがYouTubeに投稿されることが多くなりました。
ただ、「歌ってみた」は音源の利用方法を間違えると著作権侵害になる可能性があります。

「歌ってみた」に関わる権利は、主に「著作権」「著作隣接権」の二つに分けられます。
これらについて一つ一つ見ていきましょう。

「歌ってみた」と著作権

著作権とは、著作者が自身の著作物を自由にコントロールする権利を言います。
作曲者・作詞者・動画のイラスト作成者など、著作物を創作した人がこの権利を有します。

著作権の中でも、大きく①著作者人格権と②著作財産権分けられます。

①著作者人格権

著作者人格権とは、「著作者の人格的利益を保護する権利」です。
この権利は一身専属権といって、譲渡したり相続したりすることはできず、本人のみに認められる権利です(著作権法59条)。
また、著作者が死亡した後も一定の期間や要件によっては保護が認められます。

著作者人格権には以下の3つの権利があります。

  • 公表権(18条)…自己の著作物を無断で公表されない権利
  • 氏名表示権(19条)…著作物に自己の氏名・変名(ペンネーム)を表示するかどうかを決定する権利
  • 同一性保持権(20条)…自己の著作物をその意に反して改変されない権利

また、改変などがなかったとしても、著作者の名誉を傷つけるような利用をすると著作者人格権侵害とみなされます。

②著作財産権

著作財産権とは、「著作者の財産的な利益を保護する権利」です。
これは著作者人格権と違って、譲渡や相続が可能です。
そのため、実際の著作者と著作財産権を有する主体が変わることもあります。
例えば、YouTubeと包括契約を結んでいるJASRACはこの財産権の部分を著作者から譲渡してもらって管理しています。

著作財産権には以下のような権利があります。

  • 複製権(21条)…有形的に再製する権利
  • 上演権、演奏権(22条、2条7項)…公に上演したり演奏する権利
  • 上映権(22条の2、2条1項17号)…公に上映する権利
  • 公衆送信権・公の伝達権(23条)…ネットなどによって公衆に送信し得る状態にする権利
  • 翻訳権、翻案権等(27条)…既存の著作物の創作的表現に創作性を加えて二次的著作物を作成する権利
  • 二次的著作物の利用に関する原著作者の権利(28条)…自己の著作物をもとにした二次的著作物の利用についての権利
    など

「歌ってみた」と著作隣接権

著作隣接権とは、歌手・演奏家・レコード会社など、実際に創作をしていなくても著作物を広げる役割や準創作性を付与した人の利益を保護するための権利です。

著作隣接権には以下のような権利があります。

  • 録音、録画権(91条)…実演を録音・録画する権利
  • 放送権、有線放送権(92条)…実演を放送・有線放送する権利
  • 送信可能化権(92条の2)…ネットなどによって公衆に送信し得る状態にする権利
  • 譲渡権(95条の2第1項)…実演の録音物又は録画物を公衆に譲渡する権利
  • 貸与権(95条の3)…市販用のCDなどを貸与する権利

その他、二次使用料請求権や実演の氏名表示権、同一性保持権なども含まれます。

YouTubeとJASRAC

著作権うんぬん言っているけれど、YouTubeはJASRACと契約しているから自由に使っていいんじゃないの?と疑問に感じている方もいらっしゃると思います。
しかし、JASRACが出している許可は「音源を使っていい」という許可ではないのです。

これについては次の項目から具体的に説明していきます。

YouTubeで「歌ってみた」が著作権侵害にならない場合

では、一体どんな「歌ってみた」が違法なのでしょうか。
まず、「歌ってみた」が著作権侵害にならない場合をみてみましょう。

JASRAC等が管理している曲で、かつ自分で演奏している

YouTubeは、JASRACなどの様々な著作権管理団体と包括契約を結んでいます(以下ではJASRACを代表的に説明します)。
特に、日本アーティストの曲(最近でいうとPretender、インフェルノなど)の多くはJASRACの管理下にあります。

YouTubeがJASRACと契約していることによって、JASRACが管理している曲に関してはアップする際にいちいち申請する必要はありません。

しかし、ここで注意したいのは、アップする際に申請がいらないのであって、音源を自由に利用していいというわけではないということです。
JASRACが管理しているのはあくまで「作詞・作曲者の著作財産権」であり、「その他の著作財産権」(動画のイラストなど)や「著作隣接権」(レコード会社のものなど)は含まれません

そのため、著作隣接権の許可を得ないまま音源を使ってしまうと、著作権侵害になってしまいます。
ただ、著作隣接権者の許可をとることは基本的には難しいです。

それでは、著作隣接権に抵触しないような「歌ってみた」を投稿するにはどうすればいいのでしょうか。
一般的に、非営利の目的で楽譜どおりに自分で演奏・制作した音源による「歌ってみた」であればOKだとされています。
曲をアレンジすることは著作者人格権(同一性保持権)や翻案権侵害になりますので、個別の許諾が必要になります。

とはいえ、楽譜通りの演奏ならOK、アレンジはNGと言われても判断基準が分からないと思います。

以下に判例の基準を要約しますが、難しい基準なため、明示的な楽譜の指示から意図的に外れると違法になる可能性が高まる、ということをまず理解しておいてください。
また、基本的に単純な転調や楽器変更はOKとされることが多いです。
なるべくオリジナルに忠実な演奏をするという注意をしておきましょう。

東京高判平成14年9月6日、最判平成13年6月28日(1~6編注)
この2つの判決で、著作物の翻案(アレンジ)について基準が示されています。
以下の1~6を満たすものは翻案権侵害になるとされています。

  1. 既存の楽曲である原曲に依拠し
  2. その表現上の本質的な特徴の同一性を維持しつつ
  3. 具体的表現に修正、増減、変更等を加えて
  4. 新たに思想又は感情を
  5. 創作的に表現することにより創作されたものであり
  6. これに接する者が甲曲の表現上の本質的な特徴を直接感得することのできるもの

著作者が許可している場合

これは特にボーカロイド曲に多いパターンです。
JASRACの管理下になかったとしても、著作権者が許可を出してくれている場合は楽曲が利用できます。

また、このような著作者は自らオフボーカルを提供してくれていることも多いです。(例:40mPさん)
利用条件に従ってダウンロードした音源を使ったものであれば著作権侵害にはなりません。

「歌ってみた」が著作権侵害になる場合

次に、著作権侵害になってしまう場合を見てみましょう。

著作者の許可がなく、著作権管理団体の管理下にもない曲を使用した場合

そもそも、原作者が許可について明言しておらず、著作権管理団体(JASRACなど)の管理下にもない曲を「歌ってみた」に使用し、公開することは著作権侵害に該当します。

著作権者には演奏権があり(著作権法22条)、私的利用の範囲を超えて許可なく演奏したり歌ったりすることはできないからです。

CDや有料配信サービスで入手した音源を使った場合

CDや有料配信サービスでの音源を使用するには、先述した「著作隣接権」の許可をレコード会社などに別途取る必要があります。
原作者の許可やJASRACの管理下にある曲だとしても、著作隣接権の許可がおりていない場合にCD・有料配信サービスの音源を使ってしまうと著作隣接権侵害となります。

また、自身で一部演奏して(ギターやドラムなど)CDの音源と重ねたり、ピッチをあげた音源であってもNGです。

カラオケで歌った動画をアップした場合

カラオケで歌っている様子をYouTubeにアップすることも、著作権侵害になります。
というのも、カラオケで使われるオフボーカル音源はカラオケ店の機器メーカーに著作権があるからです。

実際、カラオケ店で撮った自分の歌唱動画をYouTubeにアップしたところ、第一興商から著作権法違反で訴えられて、HDDからの動画の削除が命じられた事例もあります(東京地裁平成28年12月20日判決)。

著作権侵害をせずに「歌ってみた」を投稿するには?

ここまで、侵害になる場合ならない場合などを解説してきましたが、結局違法にならないように投稿するにはどうすればいいのでしょうか。
ここからは、適法な手段で投稿する方法をご紹介します。

①「歌ってみた」に使用できるか確認

まずは、その曲を「歌ってみた」に使用できるかどうかを確認しましょう。
方法としては、著作者のSNSやHPを確認して許可の有無を調べること、JASRACやNexToneの管理曲一覧で検索することなどがあります。

②合法なオフボーカル音源を探す

楽曲が使用できることを確認したら、合法に使えるオフボーカル音源を探しましょう。
基本的には以下のどちらかを使います。

  • 自分で演奏した音源
  • 誰かが演奏し、オフボーカルとして利用許可が出ている音源

また、著作者によってはオフボーカル(inst)をピアプロや自身のブログ・SNSなどで提供してくれていることもありますので、許諾があればそれを利用することができます。

③録音・投稿する

合法なオフボーカルが見つかったら、歌を録音して投稿しましょう。

ここでひとつ注意したいのが、オリジナルのPVと組み合わせて投稿してはいけない、ということです。
動画といっても、動画に使われたイラストやアニメーションにも著作権があります。
そのため、動画のイラストやアニメーション作成者が許可を出していない場合は、著作権侵害となってしまいます。

許可が出ていない場合は、自分で作成したイラストや動画を使用するようにしましょう。

まとめ

以上がYouTubeと「歌ってみた」の法的問題の解説です。

現在でも違法と思われる動画がYouTubeにあがっていますが、その多くは著作権者が黙認してくれているだけです。
場合によっては動画の削除、最悪は訴えられる可能性があることを知っておきましょう。

そして、著作権侵害に配慮しながら、ルールやマナーを守って「歌ってみた」を楽しむようにしましょう。

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