投げ銭サービスについて問題となる法律は?必要な許認可や注意点を解説

多くのライブ配信サイト・アプリでは、いわゆる「投げ銭」サービスが導入されています。

投げ銭サービスは、サービスの提供方式によっては、厳格な登録要件や規制が適用される「資金移動業」に該当する可能性があります。
資金移動業の登録義務を回避するには、資金決済法の規定を十分に踏まえたうえで、投げ銭サービスの仕組みを慎重に設計することが大切です。

今回は、投げ銭サービスについて問題となる法律の規制内容と、事業者が注意すべきポイントについて解説します。

投げ銭サービスとは?

「投げ銭」とは、大道芸人などのパフォーマンスに対して、観客が自発的にお金を支払うことを意味するのが一般的でした。
現在では、インターネット上の配信者に対して、視聴者がオンラインでお金やアイテムを送付する行為も「投げ銭」と呼ばれるようになっています。

投げ銭サービスは、オンラインで「投げ銭」を行うことができる仕組みを提供するサービスです。
インターネット上でのライブ配信サービスを提供している各サイトは、収益性の高さに着目して、相次いで投げ銭サービスを導入するに至っています。

<投げ銭サービスの例>
・YouTube LIVEのスーパーチャット
・17LIVEのギフト
・TwitCasting(ツイキャス)のアイテム
・SHOWROOMのギフトアイテム
・ニコニコ生放送のギフトアイテム

投げ銭サービスを提供するために必要な許認可は?

投げ銭サービスを提供する事業者は、視聴者と配信者の間で、「投げ銭」のやり取りを媒介する立場にあります。
事業者の倒産や詐欺行為などが発生すると、視聴者・配信者の双方が大きな被害を受けかねません。

そのため、投げ銭サービスを提供する事業者に対しては、サービスの仕組み・内容に応じて、資金決済法に基づく許認可の取得が要求される場合があります。

「資金移動業」の登録|要件は厳格・登録後の規制も厳しい

投げ銭の媒介が「為替取引」に該当する場合、投げ銭サービスを提供する事業者は、資金決済に関する法律(資金決済法)に基づく「資金移動業」の登録を受ける必要があります。

「為替取引」とは、隔地者間で直接現金を輸送せずに資金を移動することを意味します(最高裁平成13年3月12日決定参照)。
銀行以外の事業者が資金移動業を営むためには、資金移動業に関する内閣総理大臣の登録を受けなければなりません(資金決済法37条)。

たとえば、視聴者が投げ銭サービスを通じて、配信者に送金を行い、そのお金がそのまま配信者の下に届くような仕組みになっている場合には、資金移動業に該当すると考えられます。
また、上記のように直接的な資金移動でなくても、投げ銭のシステム全体を観察して、実質的に視聴者から配信者への資金移動が行われていると判断される場合には、資金移動業とみなされる可能性がある点に注意が必要です。

資金移動業の登録を受けるためには、財産的基礎や体制整備などの要件に関する審査がきわめて厳格に行われます(資金決済法40条1項等)。
また、資金移動業の登録を受けた後は、履行保証金の供託など、登録業者に課される厳しい規制を遵守しなければなりません。

このように、資金移動業の登録を受けるハードルは高いことから、投げ銭サービスを提供する事業者は、資金移動業に該当しないようにサービスの仕組みを構築するように工夫を凝らしています。

「自家型前払式支払手段」発行の届出|審査なし・利用者保護規制の対象

投げ銭サービスが資金移動業に該当することを避けるための方法として、「自家型前払式支払手段」を用いた投げ銭の仕組みを構築することが考えられます。

「前払式支払手段」とは、事前に対価を支払うことで得られる、物品・サービスを購入・利用する権利のことです。
法律上の定義は複雑ですが、プリペイドカードやアプリ内の有料アイテムなどを指すと理解しておけばよいでしょう。

前払式支払手段には「自家型」と「第三者型」の2種類があります。
発行者(+発行者と密接な関係を有する者)からの物品・サービスの購入・利用のみに用いることができるのが「自家型」(資金決済法3条4項)、それ以外の前払式支払手段が「第三者型」です(同条5項)。

ライブ配信サイトの中には、サイト内でのみ利用できる有料アイテムを「自家型前払式支払手段」として発行し、配信者に対する投げ銭に使える仕組みを導入しているケースがあります。
投げ銭に利用された有料アイテムは、配信者に直接送付される場合と、運営会社の側で集計を行い、投げ銭の実績等に応じて配信者に報酬が分配される場合の2通りに分かれます。

自家型前払式支払手段を通じて投げ銭サービスを提供する場合、運営会社は内閣総理大臣に対する届出を行う必要があります(資金決済法5条1項。ただし、毎年3月31日・9月30日時点での未使用残高が1,000万円以下の場合は届出不要)。

自家型前払式支払手段の発行は、登録制ではなく届出制のため、事前の登録審査は行われません。
資金決済法13条以下に定められる利用者保護措置等を講ずる必要はありますが、資金移動業を行う場合よりも、規制内容は緩やかです。

自家型前払式支払手段を通じた投げ銭サービスは、事業者にとって導入のハードルが比較的低いため、多くのライブ配信サービスで導入されています。

運営会社からのサービス購入であれば、許認可取得が不要の場合あり

自家型前払式支払手段を媒介しない投げ銭サービスでも、運営会社から何らかのサービスを購入することの対価と整理できれば、資金決済法に基づく登録・届出が不要となることもあります。

たとえばYouTube Liveのスーパーチャットは、自家型前払式支払手段を媒介せずに、直接金銭を支払う仕組みです。
しかし、コメントの枠・エフェクトを買う(配信者や視聴者に対して目立つように表示される)というサービスを受ける対価であるとして、資金決済法に基づく登録・届出は不要と整理されています。

投げ銭を受ける配信者は、許認可規制の対象外

資金決済法による登録・届出は、あくまでも投げ銭サービスを提供する事業者(プラットフォームの運営会社)を対象としています。
したがって、投げ銭を受ける配信者は、法令に基づく何らかの許認可を取得する必要はありません。

ただし、資金決済法に違反する形で運営されている投げ銭サービスを利用していると、摘発によりサイトが突然閉鎖されるなどの可能性もあります。
そのため、配信に利用しているサイトが、資金決済法上問題のある投げ銭サービスを導入していないかについて、チェックしておくに越したことはないでしょう。

投げ銭サービスが資金移動業と判断されないための注意点

自家型前払式支払手段やサービス購入の対価という論理で、資金移動業の登録義務を回避しようとしても、投げ銭サービスの実質を考慮して、資金移動業の登録が必要と判断されてしまうケースがあります。

運営会社としては、投げ銭サービスが資金移動業に該当すると判断されることがないように、以下の各点に注意すべきです。

投げ銭アイテムは払い戻し不可とする

前払式支払手段の払い戻しは、法令で認められた場合を除いて、原則禁止とされています(資金決済法20条5項)。

また、建前上は前払式支払手段の形式をとっていても、視聴者が購入した投げ銭アイテムを直接配信者に送付でき、かつ投げ銭アイテムの払い戻しが認められている場合には、実質的に為替取引が行われているものとして、無登録での資金移動業に該当するおそれがあるので要注意です。

したがって、自家型前払式支払手段(有料アイテム等)を通じた投げ銭サービスを提供する場合は、利用規約において払い戻し不可である旨を明記しておきましょう。

投げ銭アイテムの価格に応じたメリットを視聴者に提供する

投げ銭の金額は、視聴者が自由に決められるケースも多いですが、多額の投げ銭をした人と少額の投げ銭をした人の間では、運営会社が提供するサービスに明確な差を付ける必要があります。
少額でも多額でも同じサービスしか提供しない(たとえば、同じエフェクトしか表示されない)となると、差額分が実質的に視聴者から配信者への送金とみなされてしまうリスクがあるからです。

投げ銭の金額に応じて表示されるエフェクトに差を付けるなど、多くの投げ銭をした視聴者に対して、一定のメリットを提供できるような仕組みを検討しましょう。

配信者に支払う分配金額は、投げ銭金額以外の要素も考慮して計算する

運営会社が配信者に対して投げ銭の分配金を支払う場合、分配金額の決定方法にも注意が必要です。

たとえば、「投げ銭金額の〇%」というように、投げ銭金額だけに応じて分配金額を決めると、運営業者が視聴者から配信者への資金移動を行い、その対価として手数料を得る仕組みであると評価される可能性があります。
この場合、運営業者の行為は「為替取引」に該当し、資金移動業の登録が必要になってしまいます。

このような事態を避けるためには、配信者に支払う分配金額を決定する際、投げ銭金額以外の要素も考慮する仕組みとすべきです。
たとえば、視聴時間・視聴回数・視聴者からの評価などを、投げ銭金額と併せて総合的に考慮したうえで、分配金額を決定する仕組みが考えられます。

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本記事はネット誹謗中傷弁護士相談Cafeを運営するエファタ株式会社の編集部が執筆・監修を行いました。
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