不正指令電磁的記録に関する罪/ウイルス作成罪・供用罪とは?

ウィルス作成罪

「ウイルス作成罪」という言葉を聞いたことがある方も多いのではないでしょうか。

今回は、ウイルス作成罪やウイルス供用罪とはいったいどのような犯罪か、有罪となった場合にはどんな刑罰が科せられるのか、分かりやすく解説します。後半では具体的な事例も紹介していますので、是非お読みください。

ウイルスに関する犯罪とウイルス作成罪

ウイルス作成罪とは、正式には「不正指令電磁的記録に関する罪」という犯罪の一種です。
つまり、コンピュータ・ウイルスに関する犯罪のことです。
作成罪の他にも、ウイルス供用罪や取得罪などいくつかの種類がありますが、詳細は後ほどご紹介します。

私達の今の生活はパソコンやスマートフォンなどコンピュータなしでは成り立たないと言っても過言ではないのではないでしょうか。

日本でも急速に情報処理の高度化が進み、これに対応するため2011年に刑法が改正されました。
刑法に「不正指令電磁的記録に関する罪」が新たに設けられることとなり、2011年7月14日に正式に施行されました。

これにより、コンピュータ・ウイルスに関する様々な犯罪を刑法で罰することができるようになりました。
実際に被害が発生していなくても犯罪が成立することが特徴です。

この法律ができるまでは、日本国内には犯罪目的でコンピュータ・ウイルスの作成、利用を取り締まる法律がありませんでした。
そのため、コンピュータ・ウイルスを使用した犯罪行為を直接取り締まることはできず、ウイルスの作成や提供をした者の刑は「著作権法違反」や「器物損壊」などによるものだったのです。

ではこの法律によって、実際どのような行為に対してどのような刑罰が課せられるようになったのか、確認していきましょう。

ウイルス作成罪・提供罪とは

簡単に言えば、ウイルス作成・提供罪とは、コンピュータ・ウイルスを作ることと、誰かに提供することについての犯罪です。
「不正指令電磁的記録作成罪・提供罪」と呼ばれます。

有罪となった場合には、3年以下の懲役または50万円以下の罰金が課せられます。

実際には詳細な条件が定められています。例えば、「正当な理由がないのに」や「実行の用に供する目的で」などです。
これらの条件についてはまた後ほどご説明します。

刑法168条の2(不正指令電磁的記録作成等)

第1項 正当な理由がないのに、人の電子計算機における実行の用に供する目的で、次に掲げる電磁的記録その他の記録を作成し、又は提供した者は、三年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。
・人が電子計算機を使用するに際してその意図に沿うべき動作をさせず、又はその意図に反する動作をさせるべき不正な指令を与える電磁的記録
・前号に掲げるもののほか、同号の不正な指令を記述した電磁的記録その他の記録

ウイルス供用罪とは

簡単に言えば、ウイルス供用罪とは、コンピュータ・ウイルスを忍ばせ、パソコン等の使用者の意図とは関係なく勝手にウイルスが動作するようにしたこと、またはしようとしたことについての犯罪です。
さらにシンプルに言えば、ウイルスをパソコン等に入れることです(これも省略しているだけで、実際にはいくつかの条件があります)。
「不正指令電磁的記録供用罪」と呼ばれます。

有罪となった場合には、3年以下の懲役又は50万円以下の罰金が課せられます。

刑法第168条の2 (不正指令電磁的記録作成等)

第2項 正当な理由がないのに、前項第一号に掲げる電磁的記録を人の電子計算機における実行の用に供した者も、同項と同様とする。

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ウイルスの取得・保管罪とは

簡単に言えば、ウイルスの取得・保管罪とは、人のパソコンにウイルスを入れるために、ウイルスを保有したり、誰かから貰ったり買ったりした場合の犯罪です。
「不正指令電磁的記録取得罪・保管罪」と呼ばれます。

有罪となった場合には、2年以下の懲役又は30万円以下の罰金が課せられます。

刑法168条の3(不正指令電磁的記録取得等)

正当な理由がないのに、前条第一項の目的で、同項各号に掲げる電磁的記録その他の記録を取得し、又は保管した者は、二年以下の懲役又は三十万円以下の罰金に処する。

2011年7月に、コンピュータ・ウイルスを自宅のパソコンに保管していたとして、警視庁サイバー犯罪対策課によって岐阜県在住の男性が現行犯逮捕されました。
この事件が日本全国で初めて同罪が適用された例です。

ウイルスに関する罪に問われないのはどんなとき?

先ほどから条件があるとお伝えしてきましたが、具体的にはどのような条件があるのでしょうか。

コンピュータ・ウイルスの作成・提供などに関する罪は、
①正当な理由がないのに
②無断で他人のコンピュータにおいて実行させる目的で
コンピュータ・ウイルスを作成、保管等した場合にのみ成立します。

ウイルス対策ソフトの開発など「正当な目的」を持ったうえでウイルスを作成した場合には罪に問われません。
また、開発目的で、例えば社内の他人のパソコンに試験的にウイルスを入れる場合も、当然同意があるでしょう。

そのため、ウイルス対策ソフトを開発する過程などでウイルスを作成する場合、①・②のいずれも満たさず、犯罪にはなりません。

また、ウイルスを発見した人がウイルスの研究機関やウイルス対策ソフトの製作会社などに対して、ウイルスの研究やウイルス対策ソフトの更新に役立ててほしいという目的でそのウイルスを提供した時にも同様です。
ウイルスの研究などに役立てるという「正当な理由」を持つうえ、この場合相手先の同意を得ていることが通常であり、①・②をいずれも満たさないので、罪が成立することはありません。

さらに、この罪は故意にウイルスを作成・保管などを行った場合のみ成立しますので、例えばプログラミングの過程で誤ってバグが発生してしまい、偶発的にウイルスが作成されてしまったとしても、罪に問われることはありません。

ウイルス罪の実例いろいろ

では実際に「不正指令電磁的記録に関する罪」いわゆるウイルスに関する罪で逮捕された例をいくつか確認していきましょう。

身代金ウイルスを作成した中学生が逮捕される

2017年6月、「ランサム(身代金)ウェア」と呼ばれるコンピューターウイルスを自作したとして、神奈川県警は大阪府内の男子中学生不正指令電磁的記録作成・保管の疑いで逮捕しました。
ランサムウェアとは、メールで送られてきた文書などを開くとパソコンのデータが使えなくなるだけではなく、お金を要求されるウイルスです。
この男子生徒は同年1月に自宅のパソコンでランサムウェアを作り、4月にかけて保存していたと容疑で逮捕されました。

コンピューターウイルスを作成し知人に感染させた男性が懲役3年の実刑

2011年9月、被告人は「おまえはいつでも殺せる」という内容の脅迫文を、自動的に被告の掲示板に書き込ませるコンピュータ・ウイルスを作成し、トラブルになっていた知人らにウイルスを感染させて自動的に書き込ませ、府警に虚偽の被害申告をしました。

不正指令電磁的記録作成・供用などの罪に問われ、「他人に意図せずネットの掲示板に脅迫の書き込みをさせる内容で悪質」との理由から、懲役3年(求刑懲役3年6月)の判決が言い渡されました。

まとめ

一度コンピュータ・ウイルスに感染してしまうと、パソコン上に保存されているデータが流出してしまうことによって個人情報が拡散されてしまったり、パソコン自体が故障してしまう危険性があります。

ウイルスが提供される媒体は、メール・ホームページ・USBメモリ・スマホの不正アプリなど、私達が日常的に使用している様々なものが考えられます。

コンピュータ・ウイルスの作成や提供・保管などの違法行為をしないことはもちろんですが、インターネットを利用している方はコンピュータ・ウイルスに対する自己防衛の方法をしっかりと学び、被害を未然に防止しなくてはなりません。

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