逮捕歴の削除方法!前科・犯罪歴ネットニュース記事を削除する全手順

新聞ニュース

逮捕歴や前科がある場合、その情報がニュース記事などでいったんネット上に掲載されてしまったら、削除されることがなく延々と残ってしまうことが多いです。

このような状態が続くと、その記事を見る人が増えるだけではなく、記事内容を転載する人などが出てくるので、情報がどんどん拡散してしまいます。

逮捕歴の記事や、前科情報が拡散すると、書き込みを受けた本人は極めて大きな不利益を受けるので、情報を削除する必要があります。

そこで今回は、逮捕歴や前科の過去のニュース記事を削除ができる場合と、削除する方法について解説します。

逮捕歴と前科の違い

事件を起こして警察に逮捕されても起訴されなかった場合は逮捕歴、逮捕されて有罪判決を受けた場合は前科です。

警察や検察などに逮捕されたものの、不起訴処分になったのが逮捕歴です。不起訴処分になった理由は、

  • 嫌疑なし
  • 嫌疑不十分
  • 起訴猶予

の3つがあり、冤罪や誤認逮捕であることがあります。

よって、逮捕歴と前科では大きく違います。

逮捕歴は前科より拡散しやすい

逮捕歴は、前科に比べて大変拡散しやすい性質があります。

特に、ニュースでは逮捕報道が注目されます。逮捕記事や動画が、2ちゃんねるなどに転載したり、ツイッターに書き込む人などがいたりするので、逮捕歴情報は逆にどんどん拡散します。

逮捕されただけで、後で、示談が成立して不起訴、嫌疑が晴れて不起訴となったとしても、逮捕歴は不起訴の報道をしてくれることは、逮捕時よりは圧倒的に少ないので、「逮捕された」というニュースだけが拡散されて残ってしまうのです。

逮捕歴、前科が残っている場合の問題

ネット上には、ニュースなどのサイトにおいて、犯罪や逮捕、前科に関する実名報道が行われることがあります。

このような逮捕歴、前科情報は、いったんネット上に掲載されたら、自然に消去されることがありません。

実名報道の記事が残っていると、検索に引っかかって、逮捕歴や前科を知られてしまうのです。

企業が人を採用する場合や不動産会社が賃貸契約する場合などには、実名検索を義務づけている会社などもあります。

前科検索結果事例

ネット上に前科情報や逮捕歴に関する過去のニュース記事が残っていると、さまざまな不利益を受けることになります。

具体的に見ていきましょう。

就活と転職

まず、就職や転職をする際に、非常に不利になります。採用先がネット上で、名前検索して、逮捕歴や前科を知られてしまったら、それだけで採用してもらえない可能性が高まります。

また、現在会社に勤務している場合にも、会社に逮捕歴や前科のことを知られたり、犯罪の疑いをかけられたりしたことが判明すると、解雇されたり左遷されたりなどの不利益な処分を受ける可能性があります。すぐに解雇されないとしても、少なくとも、昇進は難しくなって将来がなくなってしまうことでしょう。

異性との交際と結婚

さらに、逮捕歴を知られると、異性と交際することも難しくなりますし、現在交際中の相手がいる場合でも、交際相手に前科がばれたら関係が壊れてしまうこともあります。交際相手と結婚しようとしても、逮捕歴や前科がばれたら断られることが多いでしょうし、交際相手自身はそれでよくても交際相手の親が結婚を許さないなどの問題も起こります。

賃貸契約

賃貸住宅を借りる際にも逮捕歴や前科が問題になることがあります。前科がばれたら、賃貸契約の審査に通らないので、家を借りることもできなくなります。

家族への影響

逮捕歴や前科がついていると、周囲でいろいろなことを言われます。

自分が嫌な思いをするだけではなく、犯罪者の身内がいるということで、家族にも肩身の狭い思いをさせて、迷惑をかけることになってしまいます。

このように、ネット上に逮捕歴や前科情報が残っていると、多大な問題が起こります。

このような過去のニュース記事や逮捕歴の記事は、一刻も早く削除してもらうことが望ましいです。

逮捕歴、前科の削除を求める法的な根拠

前科情報や逮捕歴歴に関する情報がネット上に残っている場合には、情報を削除しない限り、自分や家族に悪影響が及び続けることになります。そこで、そのような記事を削除してもらうことができるのかが問題になります。

裁判所の考え方によると、人には、「前科等に関わる事実を公表されない法的利益」があると考えられています(最高裁平成6年2月8日判決)。

ネット上の逮捕歴や前科情報などの記事を削除してもらいたい場合、法律的な根拠としては、この「前科等に関わる事実を公表されない法的利益」にもとづいて削除請求をすることになります。逮捕歴や前科等に関わる事実を公表されない法的利益は、いわゆるプライバシー権にもとづく権利です。

個人には誰にでも、プライバシー権が保障されています。よって、これを侵害された場合には損害賠償請求や差し止め請求をすることができます。

確かにニュース記事などの掲載は表現の自由にもとづく行為なので、プライバシー権によってどのような場合でも削除請求が出来るわけではありませんが、プライバシー権が過度に侵害されているケースでは、いかに表現の自由があるとは言っても制限を受けます。

その場合には、プライバシー権にもとづいて逮捕歴や前科情報が掲載された記事の削除請求が可能になります。

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逮捕歴、前科の削除に関する最高裁の判断

ネット上に逮捕歴、前科情報が掲載されている場合、プライバシー権の1種である「前科等の事実を公表されない権利」にもとづいて削除請求ができるケースがありますが、この場合、ニュースなどの表現の自由とプライバシー権のどちらを優先するかについて、判断する必要があります。

ここで、ネット上の逮捕歴、前科報道ではありませんが、さきほどの逮捕歴、前科の掲載に関して損害賠償請求を認めた最高裁判例(平成6年2月8日)で採用された判断基準が参考になります。

具体的には、前科等の情報について、実名で公表することが不法行為となるかどうかについて「その人の生活状況や、事件の歴史的、社会的な意義、事件当事者の重要性や社会的活動、影響力」について、「問題となる著作物の目的や性格等に照らして実名使用の意義や必要性をあわせて判断すべき」としています。

そして、「その前科等に関わる事実を公表されない法的利益が優越する場合には、公表による精神的苦痛の賠償を求めることができる」とされています。

このように、判例では、逮捕歴や前科情報の掲載が不法行為となるかどうかについて、その人の現在の生活状況、事件の性質、社会への影響、実名報道の必要性などを総合的に評価して判断すべきとしています。

ネット上に逮捕歴、前科情報が残っている場合も、この基準にあてはめて、プライバシー権が表現の自由に優先すると言えるような場合には、削除請求することができます。

逮捕歴、前科の削除の基準

次に、具体的に、どのようなケースでネット上の前科情報の削除請求ができるのか、その判断基準を見てみましょう。

時間の経過

逮捕歴、前科情報の記事削除請求を認めるかどうかを判断する際、実務的に重視されるのは、時間の経過です。

事件が起こっても、その事件から一定の時間が経過すれば、その事件の社会への影響は弱まりますし、実名報道の必要性が薄らぐので、削除請求が認められやすくなります。

この場合、もともとの事件の性質や軽重によってもさまざまなので、「何年経ったら確実に削除できる」という基準はありませんが、たとえば東京地方裁判所の裁判官の場合には、少なくとも削除を認めるためには、事件後3年程度の時間の経過が必要だと考えられるケースが多いです。

事件の性質によっては、5年や7年、10年などの時間の経過が必要になることもあります。

逆に、軽微な条例違反などの場合には、2年くらいの時間の経過があれば削除請求が認められるケースもあります。

さらに、報道されている人(情報主体)が公的な立場であるかどうかなども判断基準になります。公的な立場なら、社会の関心も高いので影響が大きく、記事削除が認められにくくなります。

更生の利益

次に、報道されている人の更生の利益も重要です。

たとえば、その人が刑の執行を終えていてきちんと就職して社会復帰している場合や、執行猶予期間が終了して完全に社会復帰しているような場合では、記事の削除請求が認められやすいです。

また、被害者と示談が成立しているのかどうかも問題になり得ます。示談が成立していたら、逮捕歴の記事削除が認められやすくなります。

削除の必要性

さらに、逮捕歴の削除の必要性があるかどうかということも重要です。

実際に、記事の掲載によって情報主体がどの程度の被害を受けているのかという問題です。

削除請求の方法には、削除を求める仮処分を利用する事が多いですが、仮処分を認めるには「必要性」が強く要求されます

そこで、逮捕歴や前科情報の記事が残っていても、さしあたって何らの不都合が起こっていないような場合では、緊急に削除する必要性は認められないとして、記事削除請求を認めない裁判官がいます。

以上のような判断基準で、逮捕歴の記事の削除請求が認められるかどうかが決まります。

逮捕歴、前科の削除が認められるケース、認められないケース

以上の記事削除に関する判断基準と本にして、実際に逮捕歴、前科の削除が認められるケースと認められないケースを考えてみましょう。

逮捕歴は削除されやすい

たとえば、逮捕されただけで不起訴になったケースなどでは、比較的削除請求が認められやすいです

逮捕歴は、犯罪の程度は軽いですし、社会への影響もほとんどないからです。

逮捕歴は、時間がほとんど経過していなくても、削除請求が認められる可能性があります。

執行猶予つきになった前科は削除されやすい

犯罪そのものの軽重にもよりますが、逮捕・起訴されても執行猶予つきになった場合には、実刑になった場合よりも記事削除が認められやすいでしょう。

ただし、この場合には執行猶予期間が経過していることが1つの目安になってきます。

起訴されて有罪となり、実刑判決を受けた場合には、刑の執行を終えているかどうかが1つの基準になりますし、事件後10年以上などの長い時間が経過していたら、記事削除が認められる可能性が高まります。

既に刑の執行を終了して本人も社会復帰を目指しており、就職活動をしているにもかかわらず、前科報道による影響で就職がうまくいかないようなケースでは、記事削除請求が認められる可能性が高いでしょう。

さらに、損害賠償請求の事案で参考となる裁判例があるので、ご紹介します(東京地裁平成5年7月23日)。

この事件では、ある有名人の少年時代の犯罪事実について、当初に新聞報道などによって公表された後、約1年4か月が経過してから再度雑誌で掲載されたことについて、プライバシー権侵害として,情報主体による慰謝料請求が認容されました。

この事件でも、事件からの期間が長く経過しており、当初の公表からもさらに時間が経過しているのに、再度事実掲載する必要性などが低いので、プライバシー権が優先されて、慰謝料請求が認められたものと考えられます。

逮捕歴、前科を削除する手続き

削除手順

以上のように、前科情報や逮捕歴に関する情報については、事件からの時間の経過や犯人の更生の利益、公表の必要性などによって総合的に判断されますが、このような削除請求の手続きは、個人が自分で行うことは困難です。

素人では、そもそも自分の場合に逮捕歴の削除請求が認められるものかどうかも判断しにくいですし、ニュース記事を掲載している報道機関などを相手に個人が対処することも難しいです。

そこで、逮捕歴や前科情報などの記事削除請求の手続きをとるためには、弁護士に相談して依頼する必要があります。

弁護士に手続きを依頼したら、新聞社のサイトやブログ、掲示板などの管理者に対して、依頼者のプライバシー権にもとづいて逮捕歴の削除請求をしてくれます。請求に理由があれば、多くのケースで任意の削除請求に応じてくれます。

任意の削除請求に応じてくれない場合でも、裁判所で仮処分や訴訟手続きを利用すれば、これが認容されて逮捕歴の削除命令を出してもらえるので、記事を削除してもらうことができます。

ネット上の前科情報や逮捕歴情報などに関する記事削除請求の問題は、ITやネット問題を得意とする弁護士に相談すると、最も効果的に解決できます。

今、自分や家族が実名による逮捕歴や前科情報の報道によって迷惑を受けている場合には、1度ネット問題に強い弁護士に相談して、削除手続きを依頼すると良いでしょう。

まとめ

今回は、ネット上のニュース記事などで前科情報や逮捕歴などの情報が掲載されている場合の記事削除請求について解説しました。

逮捕歴や前科情報がネット上に残っていると、情報が拡散して問題が大きくなりがちです。自分も家族も多大な迷惑を被ります。

ネット上の逮捕歴の記事削除請求は、プライバシー権にもとづく請求になりますが、これが認められるかどうかは、事件からの時間の経過や更生の利益、削除の必要性などによって判断されます。

逮捕歴や前科記事の削除請求を求めたい場合、個人が自分で対応するのは困難なので、弁護士に手続きを依頼しましょう。

逮捕歴、前科報道で迷惑を被っている場合には、今回の記事を参考にして、早めに削除請求をすると良いでしょう。

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