ネット名誉毀損で慰謝料請求する手順と慰謝料相場

ネット名誉毀損の慰謝料相場

インターネットを使っていると、思わぬところでネット誹謗中傷の被害に遭うことがあります。
個人情報が匿名掲示板に晒される、SNSで名誉毀損に遭う、ネットいじめをうける、頑張って経営しているお店の悪口を書かれる…そんな経験を持つ方も少なくありません。

このような悪質な行為は、ときに拡散されて大きな問題となることもあります。
それでは、名誉毀損や誹謗中傷をされた場合、一体どのような対策をとることができるのでしょうか。

今回はネット上での名誉毀損を訴える方法や、慰謝料の相場について解説します。

ネットの誹謗中傷と名誉毀損

名誉毀損とは

名誉毀損とは、簡単に言えば「相手の社会的評価を違法に低下させること」を指します(民事に限っては「名誉感情を侵害すること」も含まれます)。

具体的には、以下の3つを満たすものが「名誉毀損」と言えます。

  • ①公然と
  • ②事実を摘示し
  • ③人の名誉を毀損する
    (民事上の責任では③が不要な場合がある)

ネットにおける名誉毀損となると、例えば次のような場合が典型的です。
「サイトやブログ・匿名掲示板・SNS等に、個人・法人の具体的な事実を書き込み、不特定多数の人がネットで閲覧・アクセスできる状態にして、社会的評価を著しく低下させること」

仮に名誉毀損が成立する場合は、民事では不法行為に基づく損害賠償請求(民法709条、710条)や名誉権に基づき差し止め請求(最大判昭61年6月11日)ができ、刑事では名誉毀損罪(刑法230条1項)にあたります。

名誉毀損は真実であっても成立する

よくある誤解ですが、名誉毀損は真実を書いた場合でも成立することがあります。
「虚偽」の事実を書けば名誉毀損となるが、「真実」であれば何を書いてもかまわない、という考えは間違いです。

したがって、「あいつは前科者だ」「あいつは〇〇と不倫している」といった個人情報を漏洩したり暴露する行為は、それが真実であっても訴えることが可能な場合があります。

【ワンポイント】
「虚偽の事実」「真実」という表現は分かりにくいかもしれません。
一般的に「事実」という単語は「実際にあった事柄」という意味で使われますので、真実・本当という意味を含みます。

しかし、名誉毀損など法律用語として用いられる「事実」は「具体的な事柄」のことを言います。「客観的に証明できる事柄」とも言えます。
そのため、「虚偽の事実」という一般的には矛盾とも捉えられる表現がされるわけです。

ネット名誉毀損の例外|違法性阻却事由

ただ、先ほどご紹介した①~③に当てはまるとしても、一定の要件を満たしていれば名誉毀損にならない場合があります。

具体的には、書き込みや公表等が以下の全てに当てはまる場合は、名誉毀損は成立しません。
これらを「違法性阻却事由」と言います。

  • ①公共の利害に関すること(公共性)
  • ②公益を図る目的(公益性)
  • ③事実が真実と証明された(真実性)or 真実と信じる相当な理由がある(真実相当性)

これは刑事も民事も同様です(刑法230条の2第1項、最判昭和41年6月23日)。

例えば、対象が政治家の賄賂に関することで、それを公益目的で書き込んだ場合などには、その内容が真実であれば名誉毀損は成立しません。

また、民事では、③が少し異なり、以下が名誉毀損を否定する条件となる場合もあります。

  • ③'意見・論評が前提としている事実が重要な部分について真実であることが証明され
  • ④人身攻撃に及ぶなど意見ないし論評としての域を逸脱していない

名誉毀損の刑事責任と民事責任

ネット上の名誉毀損・誹謗中傷行為は、法的にどのような責任が発生するのでしょうか。
刑事上の責任と民事上の責任の2種類に分けて見てみましょう。

刑事上の責任

刑事上の責任となると、主に名誉毀損罪や侮辱罪が問題になります。

名誉毀損罪

名誉毀損罪(刑法230条1項)が認められるためには、冒頭でご紹介したとおり以下の3つが条件です。

  • ①公然と
  • ②事実を摘示し
  • ③人の名誉を毀損する

名誉毀損罪では「③人の名誉を毀損する」という点については「社会的評価の低下」に限られています。名誉感情は含まれません。
また、現実に社会的評価が低下したことまでは必要ではなく、「社会的評価が低下するおそれ」があれば足りるとされています(大判昭和13年2月28日)。

そして、先ほどご紹介した3つの違法性阻却事由がない場合には、名誉毀損罪が成立します。
名誉毀損罪が成立した場合は3年以下の懲役もしくは禁固、又は50万円以下の罰金が科せられます。

侮辱罪

侮辱罪(刑法231条)は名誉毀損罪と似ています。

侮辱罪が成立するのは、事実を摘示せずに社会的地位を貶めるようなことを公表する場合です。
基本的には、名誉毀損罪の「②事実を摘示し」が無い場合と理解してください(大判大正15年7月5日)。

侮辱罪の法定刑は名誉毀損罪と比べて軽く、1日以上30日未満の拘留または1千円以上1万円未満の科料です。

民事上の責任

民事責任では、民法上の不法行為に該当する可能性があります。
名誉権の侵害を根拠に、不法行為に基づく損害賠償(民法709条、710条)や、謝罪掲載等による原状回復措置(民法723条)を請求できることがあります。

慰謝料を裁判で請求するには

SNS等のネット上で名誉毀損を受けた場合、慰謝料を裁判で請求するにはどうすればいいのでしょうか。
ここからは慰謝料請求までの手順をご紹介します。

Step1.証拠を残しておく

名誉毀損で刑事・民事上の責任を問う場合は、証拠を残しておくことが重要です。

ネット上はログが残りやすいとはいえ、相手が書き込みを削除してしまった場合に自分で見つけるのは難しくなってしまいます。
そのため、誹謗中傷にあたる書き込みはその画面をプリントアウトしたりスクリーンショットしたりして証拠として提出できるようにしておきましょう。

Step2.管理者に削除依頼をする

証拠保全が終わった後は、書き込みがされている匿名掲示板やブログの管理者に削除の依頼をしましょう。
というのも、削除してもらわないといつまでもその書き込みが見られてしまい、名誉毀損の被害が拡大する恐れがあるからです。

ただ、該当する書き込みを削除してもらえるかどうかは管理者の裁量にかかっているので、削除してくれない場合も当然あります。
その場合は、削除をしてもらえるよう訴訟を起こしたり、仮処分を申し立ててみましょう。

また、削除されると証拠の確認が難しくなって逆に不利になると考えられる場合は、あえて証拠を残しておくのもひとつの手です。

悪口が書かれやすいSNS・匿名掲示板

ホストラブ、爆サイ、5ちゃんねる(2ちゃんねる)などの掲示板は、専門性が高く、削除依頼のメールフォームをおくっただけでは、長時間放置されたり、対応されないケースが目立ちます。また、Twitterやinstagram等のSNSでも悪口や名誉毀損が書かれやすい傾向にあります。

これらの掲示板の削除を行いたい場合は、弁護士に相談することをお勧めします。

Step3.書き込みをした犯人を特定する

ネット上での名誉毀損は匿名でされていることも多く、責任追及するためにはまず犯人の特定を行う必要があります。

犯人を特定するためには、書き込みがされたサイトの管理者に「プロバイダ責任制限法に基づく発信者情報開示請求」をして、IPアドレスといった個人情報を提供してもらわなければいけません。

任意で情報を入手できればいいのですが、多くの管理者は簡単には応じてくれません。
そのため、訴訟を起こして強制的に情報を提供するように裁判所側から命じてもらう必要があります。

サイトの管理者への発信者情報開示請求が認められると、「IPアドレス」や「タイムスタンプ」といった情報が提供されます。
これらから犯人が利用している「プロバイダ」(携帯会社など)がわかり、これを参考にプロバイダに発信者情報開示請求をすることで、氏名や住所といった詳しい個人情報を手に入れることができます。

慰謝料請求の訴訟を起こす

犯人が特定できたら、慰謝料請求のために訴訟を起こしましょう。
ただ、刑事訴訟として提起しても相手が国に罰金を払うだけで、自分に慰謝料が払われることはありません。
そのため、まずは民事裁判によって民事賠償(慰謝料)を請求するのがいいでしょう。

訴訟で勝った場合は慰謝料のみならず、謝罪文の交付を命じられることも多いようです。

訴訟を起こさずに示談でも解決できる

もちろん、相手が任意で応じるのであれば示談で和解することもできます。
訴訟は時間もコストもかかるため、その前に示談で解決を図りたい場合は内容証明郵便で慰謝料の請求書を相手に送りましょう。

示談金の相場は、名誉毀損の規模や回数、ネットの書き込みを見た人の数などによって大きく左右されます。
小規模なものだと30万円程度~の示談することもありますし、「5ちゃんねる(2ちゃんねる)」等の大規模なサイトで閲覧者数も多い場合には、示談金が500万円~1000万円を超えることもあります。

とは言え、示談ですので、具体的な示談金の金額は最終的には話し合いによって決まります。ご自分で交渉の自身がない場合は弁護士に相談してみましょう。

名誉毀損の慰謝料の相場

名誉毀損の慰謝料は以下のような要素から計算されると考えられています。

  • 被害者の年齢・職業・経歴・社会的立場
  • 不利益の程度(影響した範囲など)
  • 名誉毀損の方法や悪質性
  • 加害者の動機
  • 回復措置

このように様々な要素がありますが、一番大きな分かれ目としてあげられるのが、「一般人」か「政治家や有名人といった社会的に影響力の大きい人」か、という部分です。

一般人の名誉毀損の慰謝料相場

被害者が一般人の場合、慰謝料の相場は大体10万~50万円と言われています。
事業の信用が失墜したなど、重大な影響を及ばした場合はもう少し高くなり、50万~100万円になることもあります。

ただ、ヌード写真が公開されたなど特殊事情があれば数百万円の慰謝料が認められたケースもあります。

有名人の名誉毀損の慰謝料相場

有名人など、社会に大きな影響力をもつ人が被害者になった場合は慰謝料も高くなる傾向があります。

このような人達に対して悪口の書き込みを行った場合、名誉毀損による慰謝料の具体的な金額は数百万円になってきます。
400万~600万円程度の慰謝料の支払いが認められた裁判例もあります。

侮辱罪に該当する場合の慰謝料相場

名誉毀損罪に該当しない場合でも、侮辱罪にあたるような名誉毀損を受けた場合は慰謝料を払ってもらうことが可能です。
相場は大体10万円程度と言われています。

名誉毀損で慰謝料請求するための弁護士費用

名誉毀損を訴える場合、様々な手続きが必要になるため、法律に詳しくない限り自分一人で行うことは困難です。
そのため、誹謗中傷などに詳しい弁護士に依頼することをおすすめします。

以下の表は弁護士費用の一覧です。

着手金の相場 報酬金
削除請求(任意交渉・裁判外) 5万円~10万円程度 5万円~10万円程度
削除請求(裁判所・仮処分) 20万円程度 15万円程度
犯人特定(任意交渉・裁判外) 5万円~10万円程度 15万円程度
犯人特定(裁判所・訴訟) 20万円~30万円程度 15万円~20万円程度
名損害賠償請求(示談) 10万円程度 回収できた金額の16%程度
名損害賠償請求(裁判所・訴訟) 20万円程度 回収できた金額の16%程度

弁護士費用となるとどうしても高額になりがちですが、名誉毀損による損害賠償請求が認められた場合は、一部の弁護士費用も相手に支払ってもらうことが可能です。

刑事告訴も行いたい場合

犯人には民事賠償だけでなく、刑事罰も受けて二度と同じ行為をしないように反省してほしいと思う人もいらっしゃると思います。
もし刑事告訴も行いたい場合は、警察署の刑事課に行って自分が受けた被害が名誉毀損の要件を満たしていることを説明し、証拠を提示した上で刑事告訴の相談をしてみましょう。

近年では、民事訴訟を起こす前でも、犯人を特定する段階で刑事告訴を行うと、サイバー犯罪対策課のサポートを受けて特定できるケースもあります。

まとめ

以上が、ネット上の名誉毀損で慰謝料を請求する手順と慰謝料の相場の解説です。

現代では、匿名だからとSNSや匿名掲示板などで平気で誹謗中傷をする人が増えてきています。
しかし、一般人であれ有名人であれ、一度名誉毀損をされると大きな被害を被り、場合によっては回復が困難になることもあります。

もし被害を受けて不利益を被っているのであれば、まずは弁護士に無料相談をすることをおすすめします。

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