プロバイダ責任制限法を使いこなそう!

プロバイダ

現代社会では、パソコンやスマートフォンが生活必需品となっていて、誰でも日常的にインターネット通信を利用しています。

インターネットを利用すると、どうしても情報に関するリスクが高まります。ネット上で名誉毀損的な被害を受けることもありますし、嫌がらせや著作権侵害をされることもあります。

このようなインターネット通信に関するリスクへの対処として、プロバイダ責任制限法という法律が制定されています。

プロバイダ責任制限法とは、どのような法律なのでしょうか?
今回は、ネット社会で自分を守るために知っておきたいプロバイダ責任制限法の知識を解説します。

プロバイダ責任制限法とは

ネット社会となった現代、自由な口コミ、書き込みが行われ、名誉毀損、プライバシー侵害が起こりやすい背景から制定されました。

プロバイダ責任制限法は、ネット社会において情報が自由にやりとりされることによって名誉毀損や著作権侵害、プライバシー権侵害などの問題が発生した場合に、プロバイダやサイト管理者などの損害賠償責任を制限する法律です。

このように、プロバイダの責任を制限するので、プロバイダ責任制限法と呼ばれます。

プロバイダ責任制限法の正式名称

プロバイダ責任制限法の正式名称は「特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律」(平成14年5月27日施行)と言います。
具体的な法律の条文などを調べたい場合には、上記の正式名称によって調べると良いでしょう。

プロバイダ責任制限法の目的

プロバイダ責任制限法の目的は、プロバイダやサイト管理者の責任を制限することだけではありません。

ネット上で権利侵害が行われた場合には、被害者を保護する必要もあるからです。

発信者情報開示請求と送信防止措置請求

プロバイダ責任制限法では、ネット上で誹謗中傷などの被害を受けた場合、被害者に「送信防止措置請求」ができる権利を認めています。

さらに、誹謗中傷などを行った犯人を特定するために、被害者がサイト管理者などに対して「発信者情報開示請求」ができる権利も認めています。

このように、プロバイダ責任制限法は、ネット社会の実情に応じて、プロバイダの責任を制限するとともに、ネット上で権利侵害を受けた被害者救済をも目的としている法律です。

新しい問題に対応した法律なので、制定も比較的新しく、成立は2001年11月ですし、法律の施行は翌2002年5月からです。

プロバイダやサイト管理者の責任が軽減される

プロバイダ責任制限法では、具体的にどのような内容が規定されているのでしょうか?以下で具体的に見てみましょう。

プロバイダ責任制限法によってプロバイダやサイト管理者の責任が制限されます。

プロバイダ責任制限法が適用されて損害賠償責任が制限されるのは「特定電気通信役務提供者」です。これは特定電気通信設備(特定電気通信に利用する設備)を使って通信を媒介したり、通信利用する人や会社のことです。「プロバイダ」とは言っていますが、具体的にはインターネットサービスプロバイダには限りません。電子掲示板(BBS)のサイト管理者などを広く含みます。

わかりやすく言うと、プロバイダ責任制限法は、インターネットプロバイダやサーバ、サイトの管理者、運営者等が広く対象となる法律です。

プロバイダ責任制限法の適用対象者

典型的な対象者は電気通信事業者に当たるプロバイダですが、特に対象者について営利目的を持つ者に限定していないので、電気通信事業者以外の者も対象となる可能性があります。

そして、プロバイダ責任制限法の対象となる情報送信は、「特定電気通信」です。これは、不特定の人が受信することを目的とする電気通信の送信です。公衆が直接受信することを目的とする電気通信の送信はのぞかれます。

わかりやすく言うと、インターネット上のウェブページや電子掲示板などによって、不特定の人が受信することを予定している通信が対象となります。「放送」に当たるものは、放送法等によって規律されているため、対象外になります。

損害賠償責任の制限

,賠償範囲

プロバイダ責任制限法では、プロバイダなどの特定電気通信役務提供者の損害賠償責任を制限しています。

プロバイダ責任制限法の説明は「プロバイダ責任制限法」に詳細は書かれています。
【参考】http://www.isplaw.jp/

具体的には、インターネット情報の流通によって他人の権利が侵害されたとき、プロバイダなどは、権利侵害した情報の送信を防止することが技術的に可能な場合でなければ損害賠償責任を負いません。

また、プロバイダなどが、その情報の流通が他人の権利を侵害すると知っていたか、情報流通によって他人の権利が侵害されることを知り得た場合でなければ責任を負いません。

逆に言うと、インターネット上に誹謗中傷記事などが投稿されていても、プロバイダがそれを削除することが不可能な状態の場合や、その情報によって他人の権利が侵害されていることを知り得なかった場合には、損害賠償責任を負わないことになります。

また、プロバイダなどが他人の権利侵害を行っているような問題となる情報の送信を防止する措置をとった場合には、情報発信者に対して損害賠償責任を負わないという規定もあります。

削除請求手続きと7日以内の回答

たとえば、ネット上で誹謗中傷を受けたと主張する被害者から削除請求を受けた場合に、その請求内容に正当な理由があれば、削除請求に応じても、情報を書き込んだ人に対しては責任を負わないのです。

書き込み内容を削除することについて情報発信者にその可否を照会して、7日以内に反対する内容の回答がない場合にも、プロバイダなどが削除請求をして情報発信者に対し、損害賠償責任を負うことはありません。

つまり、あるサイト(風評被害ブログ、掲示板、wiki、サイト)で、被害者の悪口や個人情報が書かれていて発信されているとします。被害者がそれを読むと、「心外だ!名誉毀損だ!即刻削除してくれ!」という考えに当然なります。書かれた本人にしてみると、まったく事実でない悪質な悪口や個人情報を不特定多数の方に発信され迷惑です。一方発信者は、「みんなの利益となり、公にして是正すべくネットに載せた」という主張をするようでしょう。

どちらにも、言い分があり、これがインターネット配信の環境を提供しているプロバイダ(seesaa,アメーバのようなフリーブログ、掲示板)は、削除しても、削除しなくても、両方から損害賠償責任追及される恐れがあり板挟み状態に陥ります。なぜなら、被害者の主張を受け入れて、勝手にサイト削除してしまうと、表現の自由を奪ったと発信者から訴えられる可能性があります。逆に、被害者の風評被害サイトをそのままにしていても、プロバイダは被害者から名誉毀損に加担したと訴えられるかも知れません。

プロバイダ責任制限法の概要

つまり、プロバイダ責任制限法を一言で言うとこうなります。
プロバイダ会社は、両者から責任を追及されかねないため、その責任に制限を加えるのがプロバイダ責任制限法です。

従って、この法律に従う限り、プロバイダの責任は守られるということになりますので、この法律にのっとって対処すれば、プロバイダを動かすことができます。よって、誹謗中傷サイトやブログ、関連キーワード、Googleサジェスト、Yahoo入力補助の誹謗中傷には、プロバイダ責任制限法を使いこなす事が重要になります。

送信防止措置請求ができる

被害者もプロバイダ責任制限法を利用することができます。
たとえば、インターネット上で名誉毀損や著作権侵害、プライバシー侵害などの嫌がらせを受けることがあります。
このような場合、情報が残っていると他者がその情報を見ることによって損害がどんどん拡大してしまいますので、被害者としてはその情報を削除してもらわなければなりません。

そこで、プロバイダ責任制限法では、被害者に「送信防止措置請求権」を認めています。

送信防止措置請求権とは、ネット上で権利侵害された人がプロバイダなどの特定電気通信役務提供者に対して、情報の送信を止めることを要求できる権利のことです。
権利侵害を受けた被害者は、その書き込みをした犯人がわからない場合に、プロバイダに対して削除依頼ができます。

プロバイダが削除依頼を受けた場合には、適切な対応をとった上で、その情報を削除したり非公開にするなどの措置ができます。

権利侵害を説明する立証責任がある

ネット誹謗中傷を受けた場合の具体的な送信防止措置請求(削除要求)の手続き方法については、社団法人テレコムサービス協会がガイドライン案を作っているので、そのホームページ上で確認できます。

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但し、素人には、何が名誉毀損やプライバシー侵害にあたるのか、どのように申し立てるのは難しいところがあります。行動基準を明確にしたガイドラインが制定されているので、こちらも参考にしてみるとよいでしょう。

【外部リンク】名誉毀損・プライバシー関係ガイドライン

発信者情報開示請求ができる

プロバイダ責任制限法には、「発信者情報開示請求」の規定もあります。

発信者情報開示請求とは、インターネット上で権利侵害を受けた被害者がプロバイダなどに対し、その情報発信者の氏名や住所などの情報の公開を求める請求のことです。

どのような場合にも発信者情報の開示が認められるわけではありませんが、正当な理由があれば情報開示がなされますし、プロバイダなどが任意で請求に応じない場合には裁判によって開示させることも可能です。

発信者情報開示請求によって開示されるのは、総務省の省令によれば以下の5つの情報です。

但し、発信者情報のログ保存期間は、運営サイトによってまちまちですから、名誉毀損や誹謗中傷が書き込まれた場合、迅速に対応する必要があります。また、最近では、携帯端末からの書き込みが多いですが、3カ月以上たつとログ情報が保存されないことがあり、発信者情報にたどり着くことが難しくなるといわれています。

【発信者情報】

  1. 情報発信者の氏名または名称
  2. 住所
  3. メールアドレス
  4. IPアドレス
  5. 侵害情報が送信された年月日と時刻

です。

【必要書類】は本人確認資料の写しを忘れずに

  • 送信防止措置依頼書/発信者情報開示請求書
    ・法人名義の手続きなら、法人名と代表者名
    ・個人名義の手続きなら、個人名(ただ発信者へ示したくない情報をチェックする)
  • 権利侵害されたことを示すWEBサイトの画面コピー
    ・権利侵害箇所をマーキングする
    ・WEBサイトのURLが表示されていることが重要
  • 送信防止措置依頼書の押印した印鑑の印鑑登録証明書(3か月以内)
  • 本人確認資料の写し
    ・法人名義:現在事項証明書、登記簿謄本等
    ・個人名義:運転免許証、パスポート等
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プロバイダ責任制限法ガイドライン等検討協議会が、「発信者情報開示関係ガイドライン」を発行しています。発信者情報開示請求や手続き、判断基準等を解説しているので、参考となるでしょう。

【外部リンク】発信者情報開示関係ガイドライン

まとめ

今回は、プロバイダ責任制限法について解説しました。

現代社会では、ネットの普及によって各種の権利侵害が行われる危険性が高まっています。そこで、プロバイダやサイト管理社の責任を制限したり、被害者救済の必要性があります。

プロバイダ責任制限法は、プロバイダの損害賠償責任を制限すると共に、被害者には送信防止措置請求権や発信者情報開示請求権を認めることによって、被害者救済もはかっています。今回の記事を参考にして、ネット社会で不当に被害を被らないようにしましょう。

ネットに強い弁護士相談は欠かせない

誹謗中傷記事を投稿されたとき、裁判所に対して仮処分申請や訴訟をしなくても、裁判外でプロバイダ責任制限法を使えば書類ベースで行えるのは、手続きが簡易化でき費用も抑えられます。しかし、これらの送信防止措置依頼書と発信者情報開示請求書は、法的な解釈をしたうえで、適切な権利侵害の立証責任、主張することが求められ、プロである弁護士に書いてもらった方が、掲示板管理者の対応がスムーズであると考えられます。

また、一般者が普通郵便や簡易書留で送るよりは、弁護士が「内容証明」という形でプロバイダ(掲示板管理者を含む)に送付した方が、当然、見えない「訴訟」が裏にプレッシャーとしてかかるので、対応する割合が高くなると一般論的にはいえるでしょう。

よって、プロバイダ責任制限法に基づいて、権利侵害の主張や誹謗中傷のサイト削除、発信者の特定を行う上でも、一度ネットに強い弁護士に相談して進めることをお勧めします。

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