プロバイダ責任制限法を使いこなそう!

プロバイダ

現代社会では、パソコンやスマートフォンが生活必需品となっており、誰でも気軽にインターネットを使用することができます。
また、TwitterやInstagramなどのSNSは匿名で利用でき、気軽にいろんな人と交流したり、情報を入手することができます。

しかし、表向きは便利であっても、ネットの裏側では匿名性を活かした嫌がらせ・著作権侵害・誹謗中傷・名誉毀損など、様々な問題が起こっています。

そこで、このような問題に対処するために作られたのが「プロバイダ責任制限法」というものです。

では、プロバイダ責任制限法とはどんな法律なのでしょうか?
今回は、この法律についてわかりやすく解説していきます!

プロバイダ責任制限法とは

プロバイダ責任制限法は、正式名称を「特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律」と言います。
この法律については、1条でこのように定義されています。

第一条
この法律は、特定電気通信による情報の流通によって権利の侵害があった場合について、特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示を請求する権利につき定めるものとする。

簡単にいうと、ネット上でプライバシー侵害や誹謗中傷といった権利侵害があった場合について

  • ①プロバイダやサイト管理者の損害賠償責任の制限
  • ②被害者の権利保護のための制度

を定めたものです。

それでは、これらについてもう少し詳しく見ていきましょう。
①、②それぞれ順番に解説します。

①プロバイダやサイト管理者の損害賠償責任の制限

プロバイダ責任制限法の対象

まずは、プロバイダ責任制限法が適用される対象について簡単に見てみましょう。

プロバイダ責任制限法で損害賠償責任が制限される対象は、「特定電気通信」及び「特定電気通信役務提供者」になります。

「特定電気通信」とは、ネット上のウェブページや電子掲示板などによって、不特定の人が受信することを予定している通信を指します。
また、「特定電気通信役務提供者」はプロバイダ(auやSoftbankといった携帯会社、ネット回線事業者など)から各サイト・サーバーの管理者まで、幅広いものを指します。

「損害賠償責任が制限される」とは?

では、損害賠償責任が制限されるとはどういうことなのでしょうか。

例えば、TwitterでBさんが「Aって人、いつもパワハラみたいなことするし最悪」という投稿をしたとします。
Aさんからしてみれば、自分の評価を落とすような情報をまき散らされて、大変な迷惑です。Twitterに「名誉毀損だ!」と通報して、投稿の削除を求めるでしょう。

しかし、これでもしBさんの投稿を削除してしまったら、逆にBさんから「表現の自由でしょ!本当のことを言って何が悪いの!?」と責められてしまうかもしれませんし、削除しなければAさんから「名誉毀損に加担するのか!」と責められてしまうかもしれません。

投稿を削除しようがしまいが、両方から責任追及されるリスクがあり、Twitterは板挟み状態になってしまいます。

そこで、プロバイダ責任制限法では、「この法律に沿って削除の判断を行えばどちらからも責められることはないよ」と損害賠償責任を負うリスクを無くすようにしたのです。
制限というより、「責任が軽減される」と言った方がわかりやすいかもしれません。

②被害者保護のための制度

上記はプロバイダやサイトなどの特定電気通信役務提供者のメリットになりますが、この法律では権利侵害を受けた被害者にとってもメリットとなる制度を定めています。

それが「送信防止措置請求」と「発信者情報開示請求」です。

送信防止措置請求

「送信防止措置請求」とは、名誉毀損やプライバシー侵害といった権利侵害をしている投稿を不特定多数の人に見られないようにすること、つまりは投稿の削除請求のことです。

ネット上の情報は、よくも悪くも拡散しやすいです。
そんな中で自分の個人情報が書かれた投稿や誹謗中傷の投稿がされると、時間の経過と共に大きな影響を及ぼすことになります。
そのため、この請求によって該当する投稿を削除してもらうことが必要になります。

プロバイダはこの請求があった場合、プロバイダ責任制限法3条にのっとって、該当する投稿を削除すべきか否かを検討します。
そして、誹謗中傷などで権利が侵害されていて削除するべきと判断した場合はプロバイダの判断だけで削除できます(同法3条2項1号参照)。
もちろん、投稿者本人に削除請求の旨を伝えて自主的削除を促すこともできます。

もし削除するべきかどうか判断がつきにくい場合は、投稿者に削除していいかを照会します。投稿者から削除の同意があるか、または7日以内に「削除に同意しない」旨の回答がなければ、プロバイダが勝手に削除することができます(同法3条2項2号参照)。

なお、権利侵害はないと判断されれば削除されません。

この請求については、プロバイダに直接お願いして任意で削除してもらう方法と、裁判所に仮処分命令をしてもらう方法の2種類があります。
直接お願いする場合の方法については以下のページで詳しく解説していますので、ご参照ください。

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発信者情報開示請求

「発信者開示請求」とは、権利侵害をする投稿をした人の個人情報を開示するように請求することです。

例えば、5ちゃんねるなどで誹謗中傷をされた場合、該当する投稿を削除すれば終わるわけではありません。
投稿者が再度誹謗中傷の書き込みをしないように、匿名相手を特定して損害賠償請求をすることが大切です。

このように、匿名相手を特定する場合にこの請求が利用できます。

発信者情報開示請求は、基本的に以下のような流れで行われます。

  1. 投稿があるサイト等の管理者に開示請求を行う
    ※この時点で電話番号が入手できた場合は、弁護士照会にて特定(3は不要)
  2. 開示によって判明したタイプスタンプやIPアドレスによって回線プロバイダを特定
  3. 回線プロバイダに対してさらに開示請求を行う
  4. 開示された個人情報に基づいて犯人に損害賠償請求

特に匿名掲示板などは、その管理者が投稿者の個人情報を全て持っているわけではありません。
そのため、上記のように、2回にわけて開示請求が必要になることが多いです。

発信者情報開示請求が認められているもの

  • 氏名又は名称
  • 住所
  • 電話番号(2020年8月31日から)
  • メールアドレス
  • IPアドレス
  • 携帯電話端末等の利用者識別符号
  • SIMカード識別番号
  • タイムスタンプ(侵害情報が送信された年月日及び時刻)

また、この発信者情報開示請求も任意で請求する場合と訴訟で行う場合があります。
任意で請求する場合の請求書の書き方については、以下のページで解説しています。

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また、発信者情報開示請求について以下のリンクでさらに詳しく説明しています。

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発信者情報開示請求での問題点

発信者情報開示請求で特定を行う際に問題となるのが、IPアドレスやタイムスタンプといった情報の保存期間です。

携帯の電話番号が入手できた場合は期限の縛りがないため気にしなくても良いのですが、開示請求によって電話番号が入手できなかった場合は保存期間を踏まえて手続きを行わなければなりません。

多くのプロバイダでは通常3ヶ月ほどでこのような情報が削除されてしまうため、請求を行う時期によっては特定が困難になる可能性もあります。

また、訴訟や仮処分によって開示請求を行うにしても、裁判所を介すとどうしても時間とコストがかかってしまいます。
場合によっては、発信者情報消去禁止の仮処分といった複雑な手続きも必要になることもあります。

そのため、ネットにおける権利侵害のトラブルを解決したいと思ったら、なるべく早めに弁護士に相談することをお勧めします。
無料相談を受け付けている事務所も多くありますので、まずはご相談されてみてはいかがでしょうか。

まとめ

以上がプロバイダ責任制限法の解説です。

最近では新型コロナウイルス感染者への誹謗中傷や、木村花さんが誹謗中傷によって亡くなった事件などもあり、開示対象に電話番号が含まれるようになりました(2020年8月31日より)。

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今後も注目される法律であるので、プロバイダ責任制限法の知識を身に着けることは損にならないでしょう。

また、万が一自分がネットトラブルに巻き込まれた場合は、この法律を活用して上手く対処していくようにしましょう。

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