DMCAの悪用・虚偽申告とは|テイクダウン、攻撃通報されたら
「DMCA」は著作権侵害コンテンツを削除するにあたって、簡単に利用できる便利な制度です。しかし、悪用されることによっ…[続きを読む]
誹謗中傷対策を調べていくと、「逆SEO対策」という言葉にぶつかります。
「SEO(エスイーオー)」は聞いたことがあるけれど、「逆SEO」とは何なのか疑問に思っている方も多いのではないでしょうか。
そこで今回は、誹謗中傷対策と逆SEOサービスとの関係性、自分で可能か、やり方、業者費用相場などについて解説していきます。
「SEO」は、「検索エンジン最適化」の略称です。
一言でいえば、SEO対策は特定の検索キーワードにおける検索上位表示を狙うことをいいます。
一方、「逆SEO」はSEOとは反対のことをいいます。
つまり、特定の検索ワードで表示される自社にネガティブなサイトの検索順位を落とすことを狙うのです。
例えば、ブログや2ちゃんねるなどに自社や自社サービスの誹謗中傷が書かれたとします。
このようなネガティブな書き込みが投稿されてしまうと、たとえ自社が誠意ある対応をしていても、風評被害のように悪評だけが一人歩きして社会的信頼が低下する恐れがあります。
ましてや、「会社名」や「自社のサービス名」で検索をしたときに誹謗中傷の書かれたサイトが上位に上がってしまうと、閲覧する人も増えるため拡散が早くなるでしょう。
そこで、誹謗中傷といったネガティブなサイトの検索結果順位を下げることで、自社の信頼や社会的評価を下げないように対策することを「逆SEO」と呼んでいます。
また、ライバル企業の評判を落とすために逆SEOの手法が使われることもあるようです。
一言で「逆SEO対策」といっても、いくつかの方法があります。
しかし、ときにはモラル的に良くない方法や、違法すれすれのグレーな方法による逆SEOも存在します。
ここからは様々な逆SEOについて見てみましょう。
Googleでは、SEOガイドラインで以下のような手法によるサイト作成を禁止しています。
このような手法を使ったサイトを作り、そのサイトから逆SEOの対象であるターゲットサイトへリンクを貼ります。
その結果、Googleにターゲットサイトがガイドラインに反する方法で検索順位を上げようとしていると誤解させ、ターゲットサイトを検索から除外させるのです。
しかし、この手法はsearch consoleのリンク否認処理によってペナルティ解除が可能ですし、誰がやったのか調べられてしまうこともあります。
自分で可能ですが、一時的に効果があってもリスクが大きいため、この方法はお勧めしません。
Googleは重複コンテンツを嫌う傾向があります。
そのため、落としたいサイトを丸々真似たコピーコンテンツを作ることで、相手のサイトの評価を下げられる可能性があります。
基本的に、Googleは最初に作られた方のコンテンツの方を保護するようになっており、後だしのサイトは上位に上がることができません。
しかし、Googleのアルゴリズムも完璧ではないため、強力なドメイン上でコピーサイトが制作された結果、本家のサイトの方がコピーコンテンツだと判断されて落とされたという事例もあります。
とはいえ、Googleはこういった事例に対応するため著作権違反の申請窓口を設けているので、相手のサイトが回復したり、逆に自分のサイトが落とされたりするリスクはつきまといます。
大手逆SEO対策会社が使っている恐れがあるということで話題になりましたが、ターゲットサイトに対して、DMCAに基づいて検索結果から削除するように申請するという方法もあります。
DMCAとは、「デジタルミレニアム著作権法」の略称で、著作権保護に関する法律のことを指します。
DMCAを利用してターゲットサイトに著作権侵害を訴えることで、他の方法より簡単に検索結果から削除することができます。
ただ、適切にこの制度を利用するのではなく、不都合な情報を隠蔽するためや著作権侵害をされていないのに申し立てるといった悪用をされるケースが多発しているのです。
こうした手法は、グレーではなく違法です。
他にも、
といったように、違法な逆SEOは様々なものがあります。
こうした方法を推奨する業者もまれにいますが、自分で決して行わないようにしましょう。
一番ホワイトな方法としてあげられるのは、WEBマーケティングのノウハウを用いて自社サイトを適切な方法で上位にあげることです。
「自社名」や「自社サービス名」で検索したときに誹謗中傷サイトよりも自社サイトが上位に上がってくるように、SEO対策などをしてサイトを強化する必要があります。
また、同じキーワードで別のコンテンツを立ち上げ、それを検索結果の上位に組み込ませることで相対的に誹謗中傷サイトを落とす方法もあります。
とても大変な作業ではありますが、閲覧数が格段に減る2ページ目以降にターゲットサイトを追いやることができるよう、ユーザーにとって読み応えがあるようなコンテンツ作りをすることが重要です。
しかし、この方法は簡単ではありません。
それなりに効果を発揮させるためには、誹謗中傷サイトを2ページ目以降に追いやる必要がありますが、誹謗中傷サイトに勝てるだけのサイトに成長させる必要があり、どうしても時間と労力がかかります。
また、Googleは検索結果の多様性を求めますので、必ず奏功するとは限らないということも理解しておきましょう。
事実無根な嘘や名誉毀損の投稿がされていたり、社員個人に対する誹謗中傷行為が行われているような場合には、その書き込み場所の運営に報告して削除してもらうという手もあります。
ただ、自社に不都合な書き込みや自社のミスを隠蔽するためにいたずらに削除申請をすることは、逆に批判が集まり炎上することもあるので注意しましょう。
書き込みを削除したいと考えてネットを探してみると、削除を請け負う代行業者のサイトが出てくることがあります。
ですが、このような削除代行業者に依頼してはいけません。
というのも、弁護士の資格を持たない者が「報酬を得る目的で訴訟事件その他の法律事件の法律事務を取り扱うこと」を業としてはいけないという法律があるからです(弁護士法72条)。
削除依頼は一定の権利侵害に基づいて行うもので、法律事務に含まれますので、報酬を得て削除代行をすることは弁護士しかしてはならず、他の人がやると「非弁行為」という弁護士法違反で犯罪となります。
もし投稿の削除を依頼する場合には、これは弁護士のサイトなのか、違法な削除代行業者のサイトではないかをしっかり確認してから依頼するようにしましょう。
近年では、逆SEO対策サービスを提供している企業も多く存在します。
もし、自分では対策しきれないという場合には、このような企業に依頼してみてもいいかもしれません。
逆SEO対策の料金としては、着手金+月額費用という組み合わせが多いようです。
着手金は無料のところもあれば、10~15万円ほどかかるところもあります。
また、月額金としては3万円から受け付けている会社が多いようです。
逆SEO対策は、ブログやサイトの規模感、対策したいキーワードなどによって費用が変化するため、詳しくはそれぞれの企業に問い合わせてみるといいでしょう。
繰り返しになりますが、違法な手段を使う業者はしっかり見極めるようにしましょう。
上記でも述べたように、グレーな逆SEO対策を行うと場合によっては犯罪や民事訴訟などのリスクを負うことになります。
そうとはならなくても、グレーな逆SEO対策をしていたことが発覚すると、企業の社会的信頼が落ちる可能性は十分にあります。
そのため、逆SEOを依頼する業者を選ぶ際には、結果だけでなくプロセスを重要視することが大切です。
正当な方法での逆SEOを行っているか、信頼できる会社なのか、しっかりとチェックするようにしましょう。
技術的にわからなければ、ITに詳しい技術者や弁護士に同席してもらい、法的に問題がないか確認をとるのもいいかもしれません。
逆SEO対策は、完全に誹謗中傷を失くすことができるというわけではありません。
というのも、閲覧者を減らすために誹謗中傷サイトの順位を落とすだけであって、原因となるサイトはいつまでもネット上に残ってしまうからです。
そのため、誹謗中傷を受けて困っているのであれば、逆SEOより先に弁護士に相談することをお勧めします。
弁護士への依頼によって、誹謗中傷サイトの削除・管理人への交渉・書き込み相手の特定・訴訟など、法的な対処で根本的に解決に導ける可能性があります。
ただ、権利侵害とまでは言えない「意見」や「レビュー」のような、曖昧なネガティブサイトであると削除ができません。
このような場合は、逆SEO対策によって人目につかないようにする必要があります。
以上が、誹謗中傷対策と逆SEOについての解説です。
再三述べているように、逆SEOは方法によってはリスクの高いものもあります。
相手が誹謗中傷などの反道徳的な投稿を行っていたとしても、こちらは正当な手段を用いて対処するようにしましょう。
また、場合によっては弁護士に相談した方が解決が早いケースもあります。
無料相談を受付けている事務所も多くありますので、ネット誹謗中傷に悩んでいるのであれば一度相談されてはいかがでしょうか。