DMCAの悪用事例と対策や罰則について分かりやすく解説

自身のコンテンツが著作権侵害を受けた時に利用できる「DMCA」。
誰でも簡単に申請できる便利な法制度ですが、近年ではこれを悪用する事例が相次いでいます。

今回は、「自分のサイトがオリジナルなのに、DMCAの悪用によって不当に削除されてしまった」ということになっても対処できるよう、DMCA悪用への対処法を解説していきます。

DMCAとは?

「DMCA」とは「デジタルミレニアム著作権法(Digital Millennium Copyright Act)」の略称で、アメリカで施行されたデジタルコンテンツ上の著作権保護に関する法律のことを指します。

無断転載やコピーサイトの出現といった著作権侵害を受けたとき、この法律を利用することで削除を申請することができます。

なお、アメリカの法律であるため日本に適用はされません。
しかし、アメリカに本社をもつGoogleやX(旧Twitter)のようなサービスは適用されるため、日本で見られるコンテンツの多くも実質的には適用を受けていると言えます。

DMCAの概要や申請等について詳しくは以下のページで解説していますので、ご覧ください。

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DMCAの悪用事例と被害について

DMCAの悪用は様々な理由で行われています。
ここでは、主に3つのパターンを紹介します。

悪用例① 著作権者を名乗り、オリジナルコンテンツを虚偽申請して削除する

自分が著作権者ではないにもかかわらず、著作権者だと嘘をついて虚偽申請する悪用事例があります。

2018年2月22日、「艦隊これくしょん」の公式X(旧Twitter)アカウントが凍結されるという事態が発生しました。
X(旧Twitter)社にDMCA著作権侵害を理由とする連続した虚偽通告があったことが原因でした。

130万人ものフォロワーがいるアカウントだったため、一時は大きな話題となりましたが、運営側の努力の甲斐あって、その日のうちには凍結が解除されたようです。

悪用例② 都合の悪い事実を隠蔽する

DMCAを使って、自社に批判的だったり不利益を与えるコンテンツを削除するという事例もあります。

2016年にDYMの社員がタイで全裸になったことで警察沙汰の騒動を起こしたとき、この内容を記載した記事やツイートが多く投稿されました。
これらの記事やツイートを、DYMがDMCAを利用して削除したのです。

この対応に対して、「自社に不都合な情報を削除するための悪用だ」という批判が集まりました。

悪用例③ 嫌がらせ目的

競合相手を落とすため、また、コンテンツへの嫌がらせ目的などで悪用する例もあります。

2019年、外国のYouTuberが、自身のオリジナル動画を著作権侵害で通報されるという被害を受けました。
YouTubeでは、著作権侵害の警告を3回受けるとチャンネル削除などのペナルティを負います。

2回目の警告がされた後、YouTuberに「3回目の通報をされたくなければ金を渡せ」という脅迫が届き、詐欺師による犯行だと大きな注目を集めました。

最終的には訴訟に発展し、莫大な金額の損害賠償を払うことを条件に和解となったようです。

なぜDMCAが悪用されてしまうの?

では、なぜ虚偽申請が通ってしまうのでしょうか。
DMCAの仕組みについて簡単に見てみましょう。

DMCAは誰でも削除申請をすることができ、この申請を受け取った会社は「Notice and Takedown(ノーティスアンドテイクダウン)」という手続きに則って削除を行います。

「Notice and Takedown(ノーティスアンドテイクダウン)」とは、著作権侵害を主張する人から法定の形式的要件を満たす通知を受領した場合、著作権侵害情報か否かの実体的判断をせずに、いったん該当する情報を削除すれば、通知を受け取った会社は責任を負わないというものです。

つまり、その申請が嘘か本当かわからなくてもとりあえず削除しておけば運営側は責任を負わないため、濫用された削除申請が通ってしまう懸念があるのです。

一応Googleでは、削除申請の審査を適宜行っていると宣言していますが、現時点で47億件の削除申請があるほど毎日多くの申請が行われるため、一つ一つの審査が甘くなってしまっているのではないかと考えられています。

DMCAを悪用したらどうなるの?

DMCAを悪用した場合、法的な処罰が科せられる可能性があります。

まず、虚偽の申請をされることにより損害を被った場合、相手(申請者)に対し、民事訴訟で損害賠償請求ができる場合があります。

また虚偽の申請者は、場合によっては偽計業務妨害罪や威力業務妨害罪に該当し、懲役や罰金刑が科せられる可能性もあります。

上記のような明確な処罰はなくとも、例えば悪用して申請したのが会社であれば、自社の信頼を落としたり悪いイメージが広まったりなど、社会的な制裁は免れないでしょう。

DMCA悪用対策|異議申し立ての方法

自身のコンテンツを守るためにも、上記のような悪用を事前に防ぎたい!と思っている方もいると思います。

結論から言うと、DMCAの悪用による削除申請そのものを事前に防ぐことは困難です。
しかし、削除申請がされた後に対処する方法はあります。

ここからは、DMCAの悪用によってコンテンツが削除されるなどの被害を受けたときの対処法についてご説明していきたいと思います。

(1)Googleサーチコンソールに登録する

まず最初に、Googleアカウントを作成し、サーチコンソールに登録しておきましょう。
サーチコンソールに登録しておくことで、自分のコンテンツが削除されたときに通知が届くようになります。

いち早く悪用による削除に気づけるようにしておきましょう。

(2)異議申し立てを行う

上記により通知が届くと、通知内にある「DMCAに基づく異議申し立て通知」から異議申し立ての申請を行うことができます。

この申請フォームに、申請者情報・対象コンテンツのURL・復帰をリクエストする理由といった必須項目を入力して送信します。
「リクエストが正当である理由」には、自身のコンテンツが正当なものであること、DMCAに反していないことなどを詳細に記載してください。

感情論で記入しても、削除の取り消しはされません。
客観的に根拠をあげて述べるようにしてください。

まとめ

以上がDMCAの悪用によって被害を受けたときの対処法です。

不当な理由でコンテンツが削除されてしまった場合は、上記を参考に対処してみてください。

また、先述したように、場合によっては虚偽申請した人を罰することができます。
悪質な嫌がらせなどを受け、処罰して相手を反省させたいと考えるのであれば、弁護士に一度相談してみてはいかがでしょうか。

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