削除請求|仮処分でネット名誉毀損に対応!【Twitter・2ch】
ネット上で名誉毀損、誹謗中傷の書き込みをされたら「仮処分」によって削除させることができます。裁判所を使った手続きで難…[続きを読む]
「美容医療の口コミ広場」というサイトをご存じでしょうか?
今回は「美容医療の口コミ広場」にてクリニックの名誉を毀損するような悪い評判や口コミ・レビューが投稿された場合、どのような被害が予想されるか、該当するレビューをどのようにして削除すれば良いのか、またどのような場合に弁護士に依頼すれば良いのかなど、悪質レビューへの対処法を一から詳しく解説してまいります。
「美容医療の口コミ広場」とは、美容整形外科・皮膚科治療などのクリニックを検索し、予約することができるサイトです。
美容医療の口コミ広場が主に扱っているクリニックの分野は以下の通りです。
美容整形を行なっているクリニックのなかでも、鼻整形・フェイスリフト・ヒップアップ・タトゥー除去など、お悩み別にクリニックを検索することができるほか、都道府県や住所などからも近くのクリニックを検索することができます。
また、美容医療の「口コミ広場」というサイト名からもわかる通り、各クリニックの口コミを読んだり、実際に通院したクリニックの口コミを書き込んだりすることも可能です。
実店舗で手にとって吟味し購入することができるものと違って、クリニックは色々な病院へ試しに行ってみる…というのもなかなか難しいものです。
そのため、各クリニックに実際に足を運んだ人の口コミがクリニック選びの判断材料となりますので、クリニックの名誉を毀損するような書き込みやネガティブな書き込みはクリニックへ予約を妨げるものとなってしまいます。
では実際に、美容医療の口コミ広場ではどのような誹謗中傷が存在するのでしょうか?
いくつか例を見ていきましょう。
このように、美容医療の口コミ広場では、施術内容やクリニックに対する評価だけではなく、医師や看護婦への個人的な誹謗中傷や根も葉もない噂、風評被害をもたらす口コミが多々投稿されています。
美容医療の口コミ広場の利用規約(https://report.clinic/info/kiyaku.html)第5条には、「本規約第7条の禁止事項に該当するコンテンツや権利の侵害につきましては、削除依頼フォームからお知らせください。 」とあります。
そのため、誹謗中傷やネガティブな口コミが利用規約規約に違反していると考えられる場合には、削除を申請することができます。
美容医療の口コミ広場の利用規約第7条を参照すると、利用規約に反する口コミは以下のとおりです。
口コミ広場「削除ガイドライン」によると、このうち
が実際に削除を行う際の基準となります。
被害を受けている口コミがこれらに該当する場合には、速やかに削除申請を行いましょう。
例えば、「美容医療の口コミ広場における誹謗中傷の具体例」で示した「院長と付き合っているという噂の看護師が…」というような口コミは、プライバシーの侵害にあたります。
まずは「削除申請フォーム」にアクセスしてください。
が必須項目となりますので、これらの情報を正確に記入し、入力内容を確認して送信してください。
特に「詳細理由」に関しては、できるだけ細かく記入することが大切です。
ただ削除してほしい!という要望だけではなく、美容医療の口コミ広場の削除ガイドラインをしっかり読んだことをアピールするようにしましょう。
具体的には、削除してほしい口コミが美容医療の口コミ広場のガイドラインにおいてどのように違反しているかという点を、「削除ガイドライン」から引用しながら示すようにするとわかりやすいでしょう。
削除申請フォームから申請を行なっても、なかなか削除されない場合には、裁判所を通じて口コミの削除請求を行うことになります。
裁判所を通じた口コミの削除というのは、通常の訴訟手続後ではなく、「仮処分」という手続によっても削除することが可能です。
「仮処分」というのは、債権者による申立後に、裁判の結果が出る前の段階で
など、本来当然受けるべき権利・避けるべき不利益を保護するために、裁判所が暫定的に取り計らう手続きのことを指します。
訴訟を起こしたとしても、裁判には3〜12ヶ月程度の期間が必要となります。
その間、美容医療の口コミ広場に名誉毀損と認められる書き込みや根も葉もない悪質な口コミが晒され続けることにより、裁判が終わる頃には患者さんが激減しクリニック閉院に追い込まれた…という最悪のシナリオもあり得ます。
このような「手遅れ」となってしまう状況を生み出さないようにするために、「仮に裁判で勝ったときと同様の処分を、裁判所が予め命令してくれる」という保全措置のことを「民事保全」と言います。
そしてこの「民事保全」のうち、金銭以外のものに対する対応を「仮処分」と呼ばれています。
「仮処分」は、美容医療の口コミ広場のような口コミサイトでの口コミに対してももちろん認められます。
ただし、申立さえ行えばどんな口コミに対してでも仮処分が認められるわけではなく、条件をクリアする必要があります。
実際に仮処分が認められるためには、
の要件を満たすことが必要となります。
被保全権利とは、「保全されるべき権利なのか」ということだと考えてください。
例えば、プライバシー権や著作権、名誉権などが保全させるべき権利として挙げることができます。
削除してほしいと考えている口コミがこのような保全されるべきと判断される権利を侵害している場合には、仮処分の対象として認められます。
さらに、仮に保全しなかった場合に債権者に著しい損害もしくは危険が生じることを裏付けるような、客観的かつ具体的な事情が必要不可欠となります。
通常の裁判の手続きを踏み、判決が出るまでには3〜12ヶ月かかるのでした。
一方で、口コミの内容が仮処分が認められるものであれば、最初に裁判所に対して申し出をしてから、無事に口コミが削除されるまでの期間は、おおよそ1〜2ヶ月前後と大幅に短縮することができます。
仮処分の申立を行なってから、実際に該当する口コミが削除されるまでの流れは以下のとおりです。
仮処分の申立行う場合には、法律上の要件を満たしているかどうかの主張に加え、その主張を立証するための証拠が必要となります。
例えば、「美容医療の口コミ広場における誹謗中傷の具体例」を参照すると、
「手術前のカウンセリングがとても雑で、要望をきちんと聞いてもらえなかった。必要な情報も与えてもらえなかった。」という口コミに対して仮処分の申立をしたい場合には、
などを証拠として提出したうえで、
「このような資料を用いて手術前のカウンセリングを行い、必要な説明は全て行った。手術前に説明が必要な事項に関しては、当該患者がサインをした同意書にも記載されている」などの主張を行わなくてはなりません。
ただし、裁判所での手続きで必要となるこうした証拠集めはなかなか個人で行うのは困難です。
もしも削除申請フォームからの申請でも悪質な書き込みが削除されることがなく、裁判所を通した手続きを取らなくてはならない場合には、弁護士に依頼することをおすすめします。
悪質な口コミを削除したからといって、それだけでは被害がストップしないケースもあります。
実際にクリニックが被害を受けるほどの悪質かつネガティブな口コミを投稿する人物は、自分の投稿が削除されたことに逆上し、より悪質な口コミを繰り返し書き込むことがあります。
この場合、嫌がらせをしたいという気持ちから口コミを投稿していることが多く、最初の口コミよりも誹謗中傷の度合いが強い口コミがされる可能性が高いです。
このような状況では、口コミを投稿している投稿者の特定をし、損害賠償を請求するというのも被害を食い止めるための一つの方法です。
実際に投稿者の特定をしたい場合には、弁護士へ依頼し、発信者情報開示請求を行うことが必要ですが。
発信者情報開示請求によって、誹謗中傷や悪質な口コミを投稿している投稿者のIPアドレス、氏名、住所などの情報の開示を請求することができます。
投稿者のIPアドレスがわかれば、投稿者を特定することができるというのはご存知の方もいらっしゃるかもしれませんが、発信者特定の手続きはどのような手順で行われるのでしょうか。
投稿者特定のための具体的な流れは以下の通りです。
上記のような流れを経て、クリニックの信用を損ねるような悪質な口コミをした投稿者が特定された場合には、投稿者の特定のために必要となった要した弁護士費用や慰謝料など損害賠償金を請求することが可能となります。
悪質な口コミ投稿者の情報開示請求を弁護士に依頼する場合、費用の相場は
です。
ただし弁護士費用は、弁護士事務所や弁護士によって各々異なりますので、弁護士への依頼を考えている方は前もって費用を確認するようにしましょう。
今回は、美容整形や美容皮膚科などのクリニックの口コミサイトである「美容医療の口コミ広場」において、名誉毀損や虚偽の内容など悪質な口コミが投稿された際の対応についてご紹介しました。
まずは自分で削除申請フォームから口コミ削除の申請を行い、それでも削除されなかった場合には裁判所を通しての手続きとなります。
そのような場合には、被害が拡大しないための仮処分手続きなども必要となり、証拠集めが重要なポイントとなってきますので、知識と経験が豊富な弁護士に相談することをおすすめします。