実名報道の基準とは?実名報道されない教師や加害者!されない理由
犯罪が行われたとき、実名報道が行われることが多いです。実名報道された場合、それがプライバシー権侵害にならないのかなど…[続きを読む]
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実名報道とは、「マスメディアがある事実について、関係者や情報提供者などの実名を出して報道すること」をいって、その影響やメリット・デメリットなどが話題になりがちです。
刑事事件においては、被疑者・被告人・被害者などの氏名を公表することがこれにあたります。
実名報道は、名誉やプライバシー等の人格権(憲法13条)との関係でデリケートな問題ですが、同時に表現の自由・報道の自由(憲法21条)との関係もあり、一概にどちらがいいとは言えません。
まずはYahoo!知恵袋とブログで話題の、刑事事件の実名報道がもたらすメリットとデメリットと、冤罪問題、社会的意義・問題点、家族への影響について簡単に理解しておきましょう。
刑事事件の実名報道を行う意義・メリット、良い影響としては、以下のようなものがあげられます。
単純に「東京都在住の男性が亡くなった」と報道するより、実名でその人の私生活などの情報も一緒に報道した方が、現実感が増しメリットがありますい良い影響を与えると言えます。
一人の人間が亡くなったのだと事実の重みを感じることができるのが、実名報道の一番の意義と言えるでしょう。
また、被害の重みを感じることで、より多くの人が事件を記憶することにも繋がります。
実名で報道された場合、報道機関やジャーナリストはより正確な情報収集と検証を行う必要があるのでメリットが生じ良い影響を与えます。
実名報道は、報道機関やジャーナリストに対して情報を慎重に取り扱い、信頼性の高い情報源からの情報を提供することを促します。
これにより、報道の質が向上し、読者や視聴者はより正確な情報を得ることができます。また、情報の正確性が保たれることで、社会全体の信頼性や透明性が高まり、公共の利益にも貢献します。
犯罪者が実名で報道されることで、社会的な非難や制裁の対象となるため、同様の犯罪を犯すことへの抑止力となります。
実名報道は犯罪者が責任を持つことを促し、その行動の結果に対する社会的な責任を認識させることができます。また、実名報道によって犯罪が社会的に非難されることで、一般の人々が同様の犯罪を犯すことへの抵抗感を強める効果も期待されます。
犯罪の予防に寄与するという観点から、実名報道は犯罪被害を減らし、社会全体の安全と安心感を向上させる重要な手段として位置付けられます。そのためメリットがあると言えます。
実名報道が行われるのは必ずしも確実に行われるわけではなく、ある一定の基準が存在します。
この基準に合致する場合にのみ実名報道が行われます。詳細については、別途のページで説明します。
一方良い影響を与えない実名報道のデメリットは、以下のようなものがあげられます。
誤報道された人が冤罪であっても、被疑者や被告人として報道されるだけで、周囲から白い目で見られたり、嫌がらせを受けたりする可能性があります。
これは、報道によってその人物が犯人であるかのように誤解され、周囲からの信頼を失ったり、嫌がらせや差別を受けたりする可能性が高まります。
特に、インターネットやソーシャルメディアの普及により、誤った情報が迅速に拡散され、被害が深刻化することがあります。
実名報道のデメリットは、このような誤報道や冤罪による被害を拡大させる可能性がある点にあります。そのため、報道機関や個々のメディア利用者は情報の信頼性を確認し、慎重に情報を共有する必要があります。
更生後の弊害として、過去の犯罪歴が公にされることによる社会復帰の困難さが挙げられます。たとえその人物が犯罪を犯した事実があったとしても、刑期を終えてから真面目に生活を送ろうとしても、過去の報道によって犯罪歴が知られてしまうことで、再び社会に受け入れられることが難しくなります。
このような報道があると、その人物は就職活動において不利な立場に立たされる可能性が高まります。
企業や雇用主は、過去の犯罪歴を知るとその人物を採用することに二の足を踏むか、あるいは採用を見送ることがあります。また、社会的信頼を回復しようとしても、公にされた犯罪歴が周囲からの偏見や差別を招くことがあり、再び社会への適応が難しくなるでしょう。
これも実名報道のデメリットの1つです。
また、被害者や遺族・家族の名前や個人情報が公開されることで、メディアスクラムや集団的過熱取材といった問題が発生するおそれがあります。これは、取材陣が関係者に一気に押し寄せて強引な取材を行い、被害者や遺族・家族にとって大きなストレスや心理的負担を引き起こす可能性があります。
特に、性被害などの場合には、セカンドレイプと呼ばれる現象が起こる可能性があります。これは、周囲の好奇心や非難的な態度によって被害者や遺族・家族が再び被害を受けることを指します。被害者や遺族・家族は、自らのプライバシーや尊厳を侵害されることに対してさらなる苦痛を受けることになります。
このような問題は、被害者や遺族・家族の心身の健康を脅かすだけでなく、社会的な信頼や安全な環境への信頼をも揺るがすことがあります。被害者や遺族・家族のプライバシーと尊厳を保護し、適切なサポートやケアを提供することが不可欠です。
実名報道は、一方で個人のプライバシーを侵害する可能性というデメリットがあります。
報道された個人のプライバシーが侵害されると、その人の人格や生活に対する尊厳が傷つけられることがあります。
さらに、報道された情報が誤解や偏見を生み出し、その個人や関係者に対する不当な扱いや社会的な制裁をもたらすことがあります。これは、特に犯罪被害者や被告人にとって、社会的な信頼を失うことや就労や社会生活への影響を及ぼす可能性があります。
したがって、実名報道を行う場合には、個人のプライバシー権を尊重し、報道の必要性と公共の利益とのバランスを考慮することが重要です。報道の目的や内容に応じて、個人情報の適切な取り扱いが求められます。
「プライバシー侵害」と「表現の自由」「報道の自由」との対立があるわけです。
実名報道が行われると、加害者の家族にも影響・デメリットが及ぶことがあります。
まず、加害者の家族は、その人物がメディアや社会で注目を浴びることによって、プライバシーが侵害される可能性があります。家族は、その人物の行動や状況についてしばしば詳細な情報を求められ、自らのプライバシーが侵害されることで精神的な苦痛を受けることがあります。
また、報道された内容が誤解や偏見を生み出し、家族に対する不当な扱いや社会的な制裁をもたらすこともあります。家族は、被報道者の行動や状況についての誤った情報によって、周囲からの非難や差別を受ける可能性があります。
そして、家族内での関係にも影響を与えることがあります。報道された内容によって、家族内での信頼関係や絆が揺らぐことがあり、家族全体の心理的な安定や幸福に影響を与える可能性があります。
そのため、実名報道を行う際には、加害者の家族にも配慮をする必要があります。