不謹慎厨・不謹慎狩り・自粛警察とは|なぜ起きるか、事例と心理、対策を解説!
ネット上の「不謹慎狩り」をご存知でしょうか?
自然災害発生時や戦争・原爆・原発の話題など、真摯になるべきときに場にそぐわない発言をすると瞬く間に炎上してしまうケースがあります。
インフルエンサーや有名人はもちろんのこと、一般人も不謹慎狩りに遭う可能性があるため、要注意です。
また、不謹慎厨、自粛警察も同じような意味で使われています。
この記事では、次のような内容をご紹介します。
- 不謹慎狩りとはどのようなものか
- 過去どんな事例があったのか
- 不謹慎狩りがなぜ起きるか、不謹慎狩りをする人の心理
- 不謹慎狩りに遭わないための対策
不謹慎狩り(不謹慎厨・自粛警察)の意味
「不謹慎狩り」とは、ネット上で不謹慎な発言があったときに一般ユーザーがよってたかって発言者を攻撃し、炎上させてしまうことです。
台風や地震などで大きな被害が出ているとき、脳天気な発言をしてしまった場合によく起こります。
不謹慎狩りは有名人によるふとした投稿がきっかけになるケースが多数です。
ただ、有名人だけがターゲットになるわけではなく、規模の差はあれ一般ユーザーも企業アカウントも標的になる可能性があります。
そして、そういったことを行う人間が「不謹慎厨」「自粛警察」などと呼ばれているのです。
不謹慎狩りの事例まとめ
事例① 原爆の日に「なんでもない日、おめでとう」と発言
あるテーマパークの公式アカウントがX(旧Twitter)で「なんでもない日、おめでとう」と投稿したところ、それが8月9日の「原爆の日」だったために、配慮が足りないと非難が殺到しました。
そのアカウントは後ほど当該ツイートを削除し、謝罪コメントを掲載しました。
一部では不謹慎厨の言うことを聞いてはいけないというコメントもありました。
事例② 豪雨の被害発生中にPRで「梅雨が明けた」と発言
西日本豪雨の被害が発生しているとき、あるモデルさんがインスタグラムで「梅雨も明けたので日焼け止め対策を」と日焼け止めの宣伝を行いました。
これに対し、豪雨の被害発生中だったため「梅雨はまだ明けてない」「ニュース見てないの?」といった批判が殺到しました。
事例③ コロナで「サザエさん」の内容が不謹慎?
2020年4月26日、国民的アニメ「サザエさん」でGW(ゴールデンウイーク)に出かけるという回が放送されました。
ただ、現代では新型コロナウイルスによって自粛中のさなかであり、「今の時期に外出するようなアニメを放送するのは不謹慎だ」という批判が起こりました。
しかし、実際に不謹慎だと非難したのは10人程度であり、メディアが大げさに取り上げたことで炎上に繋がっていたようです。
不謹慎狩り狩りも
さらに、「現実とアニメを混同するな」「アニメに不謹慎はおかしい」といった『「不謹慎狩り」狩り』が行われるといった事態にもなりました。
この他、募金したという投稿が「売名行為」であるなどを指摘されて炎上した芸能人、ハッシュタグがきっかけで炎上したアカウントなどもあります。
「不謹慎狩り」は、ほんの些細な投稿から起きることが多いのです。
不謹慎狩りはなぜ起こるのか?
不謹慎狩りで炎上している人や企業は、必ずしも悪人ではあるとは限りません。
どちらかというと「世の中が暗いときに明るい・ポジティブな投稿をしてしまった」「解釈によっては人を傷つけるような内容だった」というケースが多く、大抵の人は気にしていない場合もあります。
なぜ、炎上するほど過激な不謹慎狩りが起こってしまうのでしょうか。
「不謹慎厨」の特徴と不謹慎狩りの心理
インターネット上を自らパトロールし、少しでも不適切な発言を見かけると道徳観や被害者感情を持ち出して「不謹慎だ」と非難するような人のことを、上記でも記載の通り「不謹慎厨(ふきんしんちゅう)」と呼ぶことがあります。
不謹慎厨が他人の発言に対して過剰に反応してしまうのには、様々な理由があります。
不謹慎狩りの心理① 強い正義感
特定班(ネット上で炎上した匿名の人物や企業を特定し、個人情報を晒そうとする人達)にもみられる傾向ですが、この中には「自分なりの強い正義感」を持っている人が一定数います。
「被災者に対して思いやりがない人はおかしい」
という過剰な正義感により、ターゲットを攻撃をしてしまうのです。
「ソーシャル・ジャスティス・ウォリアー(SJW)」と呼ばれることもあります。
不謹慎狩りの心理② 攻撃的な性格の人
ただ単に他人を攻撃することを目的にしている人もいます。
内容や相手は誰でもよく、相手の粗探しをして徹底的に攻撃するために動いているのです。
相手が謝罪をすると優越感で自己満足し、より攻撃が過激になってしまうという連鎖に陥ってしまいます。
不謹慎狩りの心理③ 精神的な疲労
新型コロナウイルスにより自粛生活が強制され、精神的に疲労が溜まっている人も多いのではないでしょうか。
そのような不満やストレスが、場に合わない投稿を見かけて爆発してしまい、投稿者への攻撃に繋がってしまうことがあります。
心理学でも、「共感疲労」(悲惨な出来事を見聞きして共感しすぎて疲れてしまうこと)が不謹慎狩りの1つの要因ではないかと考えられているようです。
不謹慎狩りの心理④ 集団心理による拡散
一人であれば特に気にならない発言でも、大勢の人が批判しているのを見ると自分も批判的な考えになることはありませんか?
このような集団心理によって、「みんなが攻撃しているから」と便乗して攻撃してしまう人もいます。
そして、この繰り返しにより不謹慎狩りがどんどん拡散し、大きな炎上へと繋がってしまうのです。
また、これらの要因に限らず、嫉妬・承認欲求・上下関係など様々な要素が影響して不謹慎狩りに繋がっていると考えられます。
不謹慎狩りに遭った場合のリスク
不謹慎狩りに遭った場合、ターゲットにされた個人や企業はどういったダメージを受けるのでしょうか。
ブランドイメージの低下
企業でも芸能人でも、不謹慎狩りのターゲットにされると大きくイメージが低下します。
「あんなに頭が悪いとは思わなかった」「こんな最低な企業だとは思わなかった」という印象から社会的信頼を失い、その後の活動に影響を及ぼすでしょう。
芸能人の場合には、CMなどの契約を切られたりスポンサー契約を更新されなかったりするかもしれません。
売上の減少
企業が不謹慎狩りにあってイメージが低下すると、商品やサービスが売れなくなる可能性が高くなります。
実際に「不買運動」が起こってしまった例もあります。
冷静に考えてみればさほど悪質な発言でなくても、誰かから指摘されることで「不謹慎」レッテルを貼られてしまいます。
精神的苦痛
有名人であっても一般人であっても、周囲や全国から「不謹慎」「バカじゃないのか」と攻撃されると大きな精神的苦痛を受けるものです。
ネットで炎上すると、ターゲットにされた本人は特定されているにもかかわらず攻撃者は匿名で攻撃し放題の状況になり、苛烈で残酷なものとなりがちです。
被害を受けるとネットを見るのが怖くなり、夜に眠れなくなる方もいます。
また、不謹慎狩りにあうと、多くの企業や個人は弁解や謝罪を行います。
しかし、炎上後に説明して謝っても「誤魔化している」「口先だけ」「本当は何も分かっていない」といわれ炎上被害がさらに大きくなるケースも多々あります。
攻撃者の方がよほど不謹慎な発言や行動をするケースもありますが、炎上すると「数が正義」のようになり、本人が何を言ってもリカバリーできなくなってしまうのです。
不謹慎狩りに遭わないための対策
では、不謹慎狩りに遭わないためにはどうすればいいのでしょうか。
天災や人災、事故等の日付をチェック
過去に起こった大きな天災や人災、事故などの日付をチェックしておきましょう。
また、そういった日にはポジティブな発言や「何も考えていない」と言われそうな発言を控えましょう。
大きな問題が発生したとき、軽率な発言を慎む
豪雨や台風などの被害が発生しているとき、落ち着くまでは軽率な発言を慎むべきです。
何の気なしの発言を悪く捉えられて不謹慎狩りのターゲットにされるかもしれません。
どんな発言をすればいいかわからないときは、いっそのこと発信をしないほうがいいでしょう。
ふざけすぎない
普段はおもしろおかしい言動でフォロワーを楽しませているアカウントでも、ふざけすぎるのはNGです。
特に重大な震災や今世間を騒がせている内容について、あまりにふざけた投稿(ハッシュタグ含む)をすると不謹慎狩りに遭うリスクが高まります。
共感を得ている発言内容をチェック
SNSにおいてウケている投稿、共感を集めている投稿などをチェックして、自社(自分)だけが大幅に外れた投稿をしてしまわないように注意しましょう。
個人なら特定されないようにアカウントを運用
企業や公式アカウントは致し方ありませんが、個人的なアカウントであれば極力特定されないように運用すべきです。
特定さえされなければ、不謹慎狩りに遭っても最終手段としてアカウント削除すれば、ほぼ自然に解決できます。
まとめ
ネットは便利な反面、身勝手な自己満足の正義感を振りかざして平気で他人を攻撃し傷つける人が存在しています。
そのような人たちの「不謹慎狩り」に巻き込まれないようにするためには、充分な対策が必要です。
ネットで匿名であっても、あまり軽率な行為はしないようにしましょう。
また、既に被害に遭っており、炎上が広がりすぎてプライベートにも被害が及んでいるのであれば、これ以上被害が広がらないよう迅速に対処することが大切です。
警察や弁護士など、ネットトラブルに詳しい専門家に相談してみてはいかがでしょうか。