率直な商品レビュー・口コミを営業妨害・名誉毀損と言われた時の対処法
率直な意見としてショップのレビュー評価をしただけなのに、通販会社から「営業妨害、名誉毀損」と言われ、削除請求がくるこ…[続きを読む]
Amazonで通販をしている場合、利用者・購入者によるレビューや口コミが、ネット店舗の売り上げに対する影響が非常に大きくなってきました。レビューの内容を見て、商品を購入したり、逆に購入をやめてしまう人もたくさんいるからです。
しかし、Amazonのレビュー内容は、必ずしも正当なものばかりではありません。中には、嫌がらせ目的で不当に低いレビューや悪口を書かれることや、「偽物買わされた」など事実と異なる悪質なものまであります。このように、Amazonのレビューなどで不当で、悪質な書き込みをされた場合には、どのような対処方法をとることができるのでしょうか?
今回は、Amazonで不当なレビューを受けた場合に削除が犯人特定をするための手続きについて、解説します。
目次
Amazonなどのサイト上で、商品を売ったりサービス提供している人や会社はたくさんあります。
このような場合、商品購入者やサービス利用者の声であるレビューがとても重要です。
レビューが良いと、次の商売につながりますし、悪いレビューがつくとお客さんが減ってしまいます。
嫌がらせで悪いレビューをつけられると、その分お客さんがつかなくなって、損害を被ってしまうリスクがあります。そこで、不当に悪いレビューをつけられた場合には、その投稿を放置しておくと被害が拡大するので、対処をとる必要があります。
具体的な対処方法は、以下のとおりです。
Amazon上で、不当なレビューをつけられた場合には、サイト管理者に対して記事の削除請求ができます。
この削除請求は、民法上の不法行為やプロバイダ責任制限法をもとにするものや、違反報告する削除フォームが用意されています。
まずは、Amazonのサイトに任意での記事削除を求めますが、交渉によって削除に応じてくれないケースでは、裁判所に申し立てて記事削除の仮処分をする必要があります。
レビューの右下にある「違反を報告」ボタンで、通報ができます。
裁判所では、本当に権利侵害があったかどうかなどが審理されて、被害者の主張内容に理由があると判断されたら、記事の削除命令が出されます。
仮処分でこちらの主張が認められてAmazonに対する記事削除命令が出たら、Amazonのサイト管理者はレビュー記事を削除します。
不当なレビューを投稿された場合、記事を削除してもらっただけでは解決しないケースがあります。レビューによって損害を被った場合には、犯人に対して損害賠償請求をしたいと考えるからです。
この場合、誰が不当な投稿をしたのかを特定する必要があります。犯人特定手続きのことを発信者情報開示請求と言いますが、この手続きも、プロバイダ責任制限法にもとづいて行うことができます。
この場合には、Amazonなどに投稿者に対する情報開示を求めますが、ここでもやはり任意での開示に応じてくれないケースがあります。この場合には、Amazonに対して発信者情報開示の裁判を起こす必要があります。
裁判において、被害者の権利侵害が行われていることが認められて情報開示の必要性があると判断されれば、Amazonに対して犯人の氏名や住所、メールアドレスなどの開示命令が出されます。判決があったら、Amazonから犯人についての情報開示が受けられます。
Amazonに対して仮処分や訴訟を起こすとは言っても、具体的に誰を相手にして良いかわからないと感じる人が多いでしょう。海外サービスだから、日本の法律は適用できないのでは?という心配もあります。
ここで、発信者情報開示請求についてのAmazonへの訴訟について、興味深い例があります。
2016年3月25日の東京地方裁判所の裁判例です。ここでは、Amazonの不当なレビューで被害を受けた被害者が、Amazonに対して投稿者の発信者情報開示請求をしました。これについて、東京地裁は被害者の言い分を認めて、Amazonに対してレビュー投稿者の氏名や住所、メールアドレスの開示を認めたのです。
この訴訟の中で、Amazonは、Amazonサイトの管理をしているのは、「日本法人アマゾンジャパン」であることを認めました。
このことによって、今後はAmazonのレビュー問題についての仮処分や本訴提起をする場合には、Amazonの日本法人相手に手続きすることができるようになる可能性が高いです。
Amazonの米国法人を相手にしなければならないとすると、裁判手続きで提出する書類にすべて英訳文が必要になったり、送達に非常に時間がかかったり、期日がなかなか入らず手続きに長い期間がかかるなどのたくさんの問題があります。
これに対して、日本法人相手に手続きができるとなると、これらの問題が解消されるので、非常に便利になります。
その意味で、先の東京地裁の裁判には大きな意義があったと言えます。
ただし、Amazonの日本法人相手に手続きができるようになったとは言え、どのようなケースでも被害者の言い分がとおるわけではありません。
発信者情報開示請求が認められるためには、そのレビュー内容が虚偽であったり、必要以上に侮辱的、攻撃的な表現がなされているなどの権利侵害の度合いが深刻なもの、問題があるものである必要があります。
Amazonレビューや口コミは、とても便利な機能ですが、上記で述べたように法的なリスクがつきまといます。
不適切なレビューをすると、レビューの対象者から損害賠償されるだけではなく、サイト管理者の権利も侵害することになってしまうのです。
また、これは商品を売る側にとっては大変な問題です。自分の商品に不当なレビューをつけられたら、それだけで商品が売れなくなる可能性もあるからです。
レビューの場合、どこからが不当でどこまでが許されるのかという判断基準がとても難しいです。
レビュー投稿をする場合、自分としては加害意思がなくても、商店にとっては「誹謗中傷された」と感じることもあります。
など、よくトラブルになるレビューです。「本物」であるにも関わらず、消費者が間違った情報に基づいて「偽物」だと思い込むケースもありますし、実際に「偽物」であることもあります。
ただし、レビュー側は、真実を書いていると「思い込み」があるときがあります。「偽物」というレビューは通販ショップにしてみたら、多大な売り上げ影響を与えますので、消費者側は、レビューに関して慎重に調査したら、実際にショップに問い合わせてから書き込む慎重さが今後は求められるでしょう。
また、正直に投稿したつもりでも、嫌がらせをされたと受け止められるケースもあるのです。
レビューの書き方にも注意が必要です。同じ内容でもきつい書き方をすると「誹謗中傷」と受け止められる可能性が高くなりますし、丁寧にやんわり注意する感じでレビューを書いた場合には、「心ある人の忠告」と受け止められることもあるからです。
Amazonレビューをする場合には、特にその内容がネガティブな内容を含む場合、それを読む人がどのような気持ちになるかということをしっかり考えて、慎重に投稿する必要があります。安易な口コミにより、訴訟される恐れもあるということを知っておくべきです。
Amazon上で商売をしている場合、不適切で不当なレビューによって誹謗中傷を受けたと感じることがあります。この場合、自分ではその内容が本当に不当な誹謗中傷なのか、それとも許される範囲内なのかがわからないことが多いでしょう。
この場合には、1度弁護士に相談に行って、その内容を見て判断してもらう方法がおすすめです。
このことは、正直な書いたレビュー投稿にも関わらず、ネット通販の「オーナーやショップ」から発信者情報特定請求の手続きをとられたり、削除請求や損害賠償などの請求を受けたり、受けそうな場合も同じです。
この場合も、本当に自分の書いたレビューに法的な問題があるのかどうかなど、自分で判断できない場合が多いでしょう。放置していると大きな問題になってしまうので、弁護士に相談して、本当に法的な問題が発生するような内容なのかどうか、見てもらうと安心です。
特に、本サイトでは、「口コミレビューに詳しい、ネット問題に強い弁護士」をまとめています。無料電話相談も受け付けているので、電話相談してみることをお勧めします。
今回は、Amazonのサイト上のレビューによって不当な評価を受けた場合の対処方法を解説しました。レビューサイトで不当な評価を受けた場合、そのレビュー記事の削除請求をしたり、投稿者についての発信者情報特定請求をすることができます。
Amazonについては、今まで米国法人を相手にすることが多かったですが、裁判手続き中に「サイト運営はAmazonジャパンが行っている」とAmazon側が認めたことから、今後はAmazonの日本法人相手に仮処分や訴訟ができる可能性が高くなります。
今回の記事を参考にして、賢くレビュー機能を活用し、不利益を被らないように立ち回りましょう。