レビュー・口コミで営業妨害・名誉毀損?どこからどこまで書いていい?

口コミで営業妨害

自分が体験した悪い出来事を、以下のようにレビューや口コミサイトで書き込んだことがある方も多いのではないでしょうか。

  • 「ネット通販を利用したら不良品が送られてきた」
  • 「相手と連絡を取ろうにも、使われていない電話番号だった」
  • 「今日利用した飲食店の店員の対応がひどかった」

このような低評価の投稿に対して、店側から「営業妨害だ」「名誉毀損で訴える」という連絡が来ることがあります。

率直に意見や体験談を書き込んだだけなのに、それを業務妨害や名誉毀損として訴えられてしまうことがあるのでしょうか。

今回は、Yahoo!知恵袋やブログでも話題の、低評価の口コミに対して削除請求や訴訟の通知がきたときの対処法、どこからどこまで書いて良いのかなどについて解説していきます。

名誉毀損?業務妨害?商品レビュー・口コミで弁護士から通知が来た

amazon・Googleマップなどの口コミ投稿サイトで、飲食店などに対して低評価のレビューや悪口を投稿することもあるでしょう。

その際に、弁護士を通じて以下のような警告文が送られてくることがあります。

「貴殿が〇月〇日〇時に書き込んだレビュー内容は事実と異なり、社会的評価を落とす名誉毀損に該当する」
「レビューによって業務妨害され、ショップの売上が低下した」
「削除をしない場合には仮処分や損害賠償請求、刑事告訴などを検討する」

いきなり弁護士から正式に警告書が送られてくれば、誰だって驚いてしまいますよね。また、「本当のことを書くこともダメなのか」と疑問に感じる人も多いでしょう。

そこで、まずはどんな口コミや悪口が違法な内容にあたるのか見てみましょう。

口コミで名誉毀損が成立する基準

名誉毀損と罰則

低評価の口コミは「名誉毀損」や「名誉権の侵害」にあたるのでしょうか。名誉毀損罪は、刑法で次のように規定されています。

第230条1項 公然と事実を摘示し、人の名誉を毀損した者は、その事実の有無にかかわらず、3年以下の懲役若しくは禁錮又は50万円以下の罰金に処する。

名誉毀損の具体的な要件

上記の条文のポイントを分かりやすく解説すると以下のとおりになります。

①公然と…ネット上など不特定多数が見れる状態で
②事実を摘示する…嘘か真実かは関係なく、具体的事実を摘示して
③他人の社会的評価を低下させた…特定の店(人)の評価を下げる

例外

ただし、上記の要件に当てはまっていたとしても、以下の要件を満たせば違法性が阻却される(違法性がなくなる)ことがあります(刑法230条の2第1項)。

(1)公共の利害に関する事実であり、
(2)その目的が専ら公益を図ることにあり、
(3)その事実が真実であること、または真実と考えられる証拠があったとき

民事訴訟における名誉毀損の認定でも、基本的にはこれらの要件をあてはめて考えられることが多いです*。

*なお、民法上の名誉毀損においては①の公然性を成立要件として明確に規定はしていません(民法709条、710条)が、現在の実務では裁判例も含めて公然性を必要とする立場が多数です。

どこからどこまで名誉毀損レビュー?具体例で解説

上記では少しイメージがつきにくいので、どこからどこまで書いて良いのか、具体例にあてはめて考えてみましょう。

例えば、ネット上に以下のようなレビューを書いたとします。

「通販を頼んだら写真とは全然違う商品が送られてきたので、ここの店には頼まない方がいいです」

このレビューはネットで不特定多数に向けて事実を書き込み、店の評価を落としているといえるので、上記①②③を満たしているといえます。

しかし、これが他者への注意喚起目的で、実際に証拠としての写真などがある(上記(1)(2)(3)を満たした)場合には、名誉毀損には当たらないとされる可能性が高いです。

また、「まずかった」「臭かった」というような主観的な悪口は、”事実の摘示”というより個人の”感想”や”意見”に近いため、名誉毀損となる可能性は低くなります。

一方で、わざと相手を貶めるために嘘のレビューを書き込むと名誉毀損が成立してしまうので、このような投稿はしないようにしましょう。

関連記事
Render illustration of Defamation title on Legal Documents
名誉毀損にあたる言葉は?親告罪か?時効は?公然性などわかりやすく解説!
ネットで他人を誹謗中傷すると「名誉毀損」となって相手から刑事告訴や損害賠償請求をされる可能性があります。一方誹謗中傷…[続きを読む]

口コミで業務妨害・信用毀損が成立する基準

名誉毀損以外の場合も見てみましょう。

業務妨害・信用毀損とは

低評価の口コミに対して、「業務妨害だ」「信用毀損だ」と咎められるケースもあります。

こちらはどうでしょうか。

刑法で「信用毀損及び業務妨害」は次のように規定されています。

(信用毀損及び業務妨害)
第二百三十三条 虚偽の風説を流布し、又は偽計を用いて、人の信用を毀損し、又はその業務を妨害した者は、三年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。

上記の条文を分かりやすく解説すると以下のとおりになります。

①虚偽の風説を流布し、又は偽計を用いて…嘘を流したり、人を騙すような方法によって
②人の信用を毀損し、又は業務を妨害した…その店(人)の信用を落としたり、業務に支障が出た場合

具体例

以上のように、業務妨害や信用毀損は””や”人を欺いて”不利益をもたらした場合に成立します。

つまり、

  • 「不良品が送られてきた」
  • 「連絡がとれない」

といった口コミ内容が、本当に真実であれば基本的に問題ないといえます。

ただ、事実とは異なるにもかかわらず「いつも不良品が送られてきて信用出来ない」「連絡がまったくとれずに放置されて泣き寝入りせざるを得なくなった」といったような口コミをしてしまった場合、業務妨害や信用毀損が成立する可能性があるので、どこからどこまで書いて良いのか考えながら注意してレビューをしましょう。

関連記事
偽計業務妨害
ネット書き込みによる偽計業務妨害罪と威力業務妨害罪とは?
ネット上に何でも書いて良いというものでもありません。他人の業務を妨害すると「業務妨害罪」が成立してしまいます。今回は…[続きを読む]
関連記事
business persons shaking hands.
信用毀損罪とは|名誉毀損罪や業務妨害罪との違いは?親告罪なの?
軽い気持ちであっても、企業やお店などの経済状況についての虚偽の投稿をすると「信用毀損罪」という犯罪が成立する可能性が…[続きを読む]

注意すべき口コミ内容

ここまで名誉毀損や営業妨害についてご紹介してきましたが、口コミの内容によっては別の法的問題が発生する可能性があります。

侮辱

「あの飲食店で食事が出てくるまで2時間も待たされた。しかも料理持ってきた○○っていう店員もブサイクで最悪だった。」

上記のように、「ブサイク」「キモイ」といった相手を貶す悪口を投稿すると、”侮辱”に当たる可能性があります。

特定の人に誹謗中傷をするような口コミは投稿しないようにしましょう。

関連記事
侮辱罪
ネットの侮辱罪にあたる言葉の例や一覧、慰謝料など解説
この記事では、侮辱罪について詳しく解説します。構成要件、時効など事例を交えて解説します。また、侮辱行為を受けた場合に…[続きを読む]

脅迫・強要

「返品を頼んだら断られた。1週間以内に謝らないと住所晒してやる」

このように、相手に対して害を加える旨を告知するような投稿すると”脅迫”や”強要”になる可能性があります。

実行するつもりはなくとも、口コミから危険・恐怖を感じると客観的に判断されれば、脅迫・強要に当てはまる可能性があります。

関連記事
ネット脅迫罪
ネットにおける脅迫罪とは何か?必ず知っておくべき対処法
ネット表現で脅迫罪が成立するパターンや脅迫罪の刑罰、脅迫罪で刑事事件になってしまった場合の対応方法などを、押さえてお…[続きを読む]

「警告書」が届いた場合に注意すべき3つのポイント

それでは、実際に弁護士等から警告書が届いたときにはどうすればいいのでしょうか。

①必ずしも応じる必要はない

警告文の中には、名誉毀損にあたらないにもかかわらず「名誉毀損だ。削除しないと法的処分を検討する。」と相手を不安にさせるためだけに送られてくるものがあります。

そのため、警告書が来たからと言って、絶対に削除に応じなければならないというわけではありません

②示談書を作成する

もちろん、大事になることを避けるために削除に応じることも1つの手です。

ただ、警告書に従って口コミを削除したにも関わらず、「口コミによって売上が下がった」とひと悶着つけられる可能性も無きにしも非ずです。

そのため、口コミを削除する代わりに「損害賠償請求や刑事告訴などは今後しないこと」を証拠に残る形(書面など)で約束しておきましょう。

ただし、書面での約束により、相手が刑事告訴をしにくくなる心理的な効果はありますが、告訴権の放棄自体は刑事訴訟法上認められていません

つまり、示談後に相手に対して不誠実な態度を見せてしまった場合などは、書面で約束をしていても、後日刑事告訴される可能性はあるので注意しましょう。

損害賠償請求権については、上記のような清算条項を記載することで、事前に放棄してもらうことが可能です。

③出頭通知は無視しない

警告書が届いた後に相手の削除請求に応じなかった場合、「削除の仮処分」や「損害賠償請求」などを申し立てられる可能性があります。

その際には、裁判所から出頭するように要請する通知が届きます。

このとき、通知を無視して裁判所に行かないと相手の主張がそのまま認められてしまい、自分に非はないのに相手が有利となる判決が出されてしまいます

特に損害賠償請求などでは、相手の主張によって数十万~数百万の請求が認められてしまうことも考えられるので、無視をせずにまずは弁護士に相談しましょう。

困ったときは弁護士に相談を

以上、商品レビューと口コミで営業妨害や名誉毀損と言われたときの判断や、どこからどこまで書いて良いのかなど対処法について解説してきました。

一番簡単に済ませる方法は、やはり投稿を削除してしまうことです。

しかし、必ずしも削除しなければならないわけではありませんし、ただの脅しというケースもあるため、削除したくないのであれば放置でも構いません。

ただ、本当に自分の口コミに問題があるとなってくると、民事訴訟に加えて刑事告訴なども加わってきてしまう可能性があるので注意してください。

もし、警告文が来て不安になっていたり、どうすればいいのかわからないと悩んでいるのであれば、弁護士に相談してみてください。
専門家である弁護士であれば、その口コミが本当に違法性のあるものなのかを判断してくれるはずです。

また、相手から裁判を起こされてしまったときにも対処してくれるでしょう。

無料相談を受け付けている法律事務所も多くありますので、困っている方はご連絡してみてはいかがでしょうか。

誹謗中傷に強い弁護士が無料相談いたします

ネット誹謗中傷で悩まれている方は、今すぐ弁護士にご相談ください。書き込みの削除、犯人の特定が可能性があります。

  1. 匿名掲示板に個人情報、名誉毀損の書き込みされた
  2. SNS/ブログなどで誹謗中傷をされている
  3. 会社(法人)/お店の悪い評判が書かれ風評被害を受けている
  4. 書き込み犯人を特定したい
  5. 名誉毀損の慰謝料請求、損害賠償請求をお任せしたい

ネット誹謗中傷に強い弁護士に無料相談することで、解決できる可能性があります。弁護士に任せて頂ければ、被害者の方は平安な生活を取り戻すことができます。

1つでも当てはまる方は1人で悩まず、今すぐ弁護士に相談しましょう。

誹謗中傷の無料相談ができる事務所
ATB TOP
【東京都・港区】
弁護士法人ATB東京事務所
  • 初回相談無料
  • 全国対応
  • 5ch、2chに強い
5ちゃんねる削除・書き込み犯人特定に関して独自のノウハウがあり、迅速に対応いたします!爆サイ・ホスラブ・Twitter誹謗中傷・したらば掲示板等、幅広く対応しております。費用の発生は、ご依頼を正式に決定された後となりますのでどうぞ安心してご相談ください。
誹謗中傷でお悩みなら今すぐ弁護士相談
050-5267-6214
[電話受付]平日/土日 9:00~18:00
都道府県から誹謗中傷に強い弁護士を探す
監修
弁護士相談Cafe編集部
本記事はネット誹謗中傷弁護士相談Cafeを運営するエファタ株式会社の編集部が執筆・監修を行いました。
プロフィール この監修者の記事一覧

あなたへおすすめの記事