ネット名誉毀損で民事裁判に訴える方法!損害賠償請求と慰謝料請求

東京地方裁判所

インターネット上で誹謗中傷を受けた場合、名誉毀損が成立するので、書き込みをした相手方に対して慰謝料請求などをすることができます。

この場合、まずは相手を特定する必要がありますが、それについてはプロバイダ責任制限法などにもとづいて特定する手続きがあります。

犯人を特定できたら、その後は具体的にどのような方法によって相手に慰謝料請求などをすることができるのかが問題です。裁判が必要になる場合、手続きの流れも抑えておく必要があります。

そこで今回は、ネット誹謗中傷で犯人が特定できた後の慰謝料請求方法について解説します。

※民事裁判に限って言えば、弁護士ではない一般人だけで裁判を起こすことは可能です。裁判だと、必ず弁護士がいるイメージが映画などでありますが、実際は、一般人が原告となって裁判を起こす「本人訴訟」も可能です。

名誉毀損によって請求できること

ネット誹謗中傷が行われると、名誉毀損が成立することが多いです。

名誉毀損が行われた場合、刑事的には名誉毀損罪が成立しますが、慰謝料請求をする場合には民事的な請求が問題になります。

名誉毀損罪は犯罪であり、これについては警察や検察官が捜査をして犯人を起訴して、刑事裁判によって有罪か無罪かが決まります。

しかし、刑事裁判が行われて相手が有罪になっても、慰謝料などのお金は払われません。

慰謝料請求

慰謝料請求をするためには、被害者が自分で相手に対して損害賠償請求をする必要があります。この損害賠償請求は、民事的な請求です。よって、起こす裁判も、刑事裁判ではなく民事裁判です。

名誉毀損にもとづいて、民事的な請求を行う場合、慰謝料請求以外にもできることがあります。

差し止め請求、名誉回復措置

具体的には、差し止め請求や名誉回復措置を求めることが可能です。

名誉毀損行為が行われていて、それを辞めさせないといけない場合には差し止め請求ができますし、名誉を回復させるために犯人に何らかの行動をさせる必要がある場合には、名誉回復措置として、たとえば謝罪広告を出すことなどを請求できることがあります。

以上より、名誉毀損によって請求できるのは

  • 差し止め請求
  • 慰謝料請求
  • 名誉回復措置

の3種類であることを、まずは覚えておきましょう。

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内容証明郵便によって請求通知を送る

ネット誹謗中傷を受けて慰謝料請求などをしたい場合、まずは相手に対して直接の請求書を送ることが一般的なので、まずはその手続きについて解説します。

通知書を送る

名誉毀損にもとづいて相手方に対して慰謝料請求などをする場合、まずは内容証明郵便を利用して請求書を送ることから始めます。
内容証明郵便とは、郵便局と差出人の手元に、相手に送ったものとまったく同じ内容の控えが残るタイプの郵便です。これを利用する事によって、相手に対し確実に請求を行うことが可能になりますし、相手に対してこちらが本気であることを示し、プレッシャーをかける効果もあります。

内容証明郵便には、慰謝料請求だけではなく、謝罪を求めたり、名誉を回復させるための何らかの行動を求めたりすることも可能です。たとえば、訂正記事や謝罪記事を載せるように求めることなどができます。

内容証明郵便で請求書を送る場合、通常は、「〇〇日以内に支払をしてください。支払がない場合には裁判をする用意があります。また、本書の内容について意見がある場合には、〇〇日以内に連絡をしてください。」などと記載しておくことが普通です。そうして相手からの連絡を待ちます。

示談交渉をする

内容証明郵便によって請求書を送ったら、通常は相手から返事がありますし、もし返事がなかったらこちらから再度連絡をするなどして、示談交渉を開始します。
示談交渉の中では、具体的にいくらの慰謝料を支払うのかや、謝罪を行うのか、またその場合の方法、訂正記事や謝罪記事を求めた場合の対応などを話し合います。

これらについて、双方が納得して条件が折り合えば示談が成立するので、その内容をまとめた示談書を作成します。
もし条件がととのわず、示談が成立しない場合には、こちらはさらに民事裁判をしてでも争うかどうかを検討することになります。

支払いを受ける

内容証明郵便を送った後相手と示談交渉をすることによって示談が成立したら、その内容に従って相手から支払いを受けることができます。
多いのは銀行振込にするケースですが、手渡しがよければその方法でもかまいません。
示談書を作成しても、約束通り支払わない人もいるので、支払が行われるまでは、最後まで安心せずにきちんと入金を確認しましょう。

民事裁判を起こす

相手と示談交渉をしても、慰謝料の金額について条件が整わなかったり、相手がそもそも示談に応じなかったり連絡がとれなかったりして、示談ができないことがあります。
その場合には、こちらから積極的に民事裁判を起こして慰謝料請求する必要があるので、以下ではその方法について解説します。

損害賠償請求事件の民事裁判を起こす

相手と示談ができない場合、相手に対して「損害賠償請求事件」という民事裁判を起こす必要があります。慰謝料は、名誉毀損行為によってこちらが被った精神的苦痛に対する損害賠償なので、事件名が損害賠償請求事件となります。

民事裁判の管轄

この場合、利用する裁判所は、自分の居住する地域の管轄の裁判所でもかまいませんし、相手の居住する地域の管轄の裁判所でもかまいません。

通常は、自分が居住している地域の裁判所で提訴する方が楽なので、おすすめです。

また、裁判所には種類があります。慰謝料のみの請求で、請求額が140万円以下の場合には簡易裁判所で提訴しますが、140万円を超える請求を行う場合や謝罪広告などを求める場合には地方裁判所で提訴する必要があります。

訴状の記載方法

裁判を起こすためには、訴状という書類を作成して裁判所に提出する必要があります。訴状とは、裁判を起こすための申立書のことです。

訴状には、原告と被告の表示、請求の趣旨と請求の原因を記載します。

原告とは、裁判で訴えた人のことであり、被告とは裁判で訴えられた人のことです。

ネット誹謗中傷で相手を訴える場合には、こちらは原告、相手が被告となります。

請求の趣旨とは、相手に対して求める内容の結論部分です。たとえば「金〇〇円を支払え」などのことです。

請求の原因とは、相手に対して請求権があるという根拠の説明です。ここでは、名誉毀損が成立することと、それによって慰謝料が請求金額分発生していることを言わなければならないので、法理的な要件を意識しながら記載する必要があります。

そして、日付と署名押印をして提出します。

訴状は同じものを2通提出する必要があります。

証拠の提出も必要

裁判では、こちらの主張が正しいことを証明する必要があります。いくらもっともらしいことを訴状に書いていても、証拠がないことは認められません。

そこで、名誉毀損にもとづく損害賠償請求をする場合には、名誉毀損が成立することやそれによってこちらが精神的苦痛を被ったことを証明する証拠を添付して提出することが必要です。

誹謗中傷が行われたときのインターネット記事をプリントアウトしたものなどを証拠として提出しましょう。自分がそれによってどれだけいやな思いをしたかなどを陳述書にまとめても良いでしょう。

証拠についても、2部提出する必要があります。

裁判所に提出した訴状や証拠については、自分の控えもコピーをとっておきましょう。

第一回口頭弁論期日まで

訴状と証拠を提出して提訴したら、その後裁判所から第一回口頭弁論期日の呼出状が届きます。ここには、裁判所の法定番号と裁判の時間が書いてあるので、遅れずに確実に出席しましょう。

また、同じ頃、相手方である被告にも訴状と証拠書類と口頭弁論期日呼出状が送られています。

これに対し、期日までに相手方から「答弁書」という書類が提出されることが多いです。

裁判で訴えられた被告は、答弁書を提出しないと、原告の主張をすべて認めた扱いになって負けてしまうので、争う気がある場合には、必ず答弁書を提出しないといけないからです。

答弁書が提出された場合には、第一回期日前にこちらに郵送されてくるので、その内容をしっかり読んでおくと良いでしょう。そこには、相手方のいい分が書いてあるはずです。

第一回口頭弁論期日までに答弁書が提出されず、期日に相手が出席もしない場合には、自動的にこちらの言い分が全部認められることになって判決が出ます。

相手から答弁書が提出されたり、期日に相手が出席して争ってきたりした場合には、期日を続行してさらにお互いの主張と立証を続けることになります。

2回目以降の手続き

第一回口頭弁論期日において相手が争う姿勢を見せた場合、第2回以降にさらにお互いの主張立証が続きます。

答弁書に具体的な反論が記載されていた場合、2回目の期日までに、こちらが再反論をしなければなりません。これらの民事裁判の主張や立証は基本的に書面でのやり取りになります。テレビドラマなどのように、裁判所の法廷内で弁論を展開するという様なことは、普通はありません。

いかに説得的で理論的に整った書面を作成・提出できるかと、有利な証拠を揃えられるかによって裁判の帰趨が変わってきます。

人証調べ

何度か期日を重ねて原告と被告の双方が主張と立証を終えたら、原告被告本人の人証調べ(尋問)が行われることが多いです。
この日は、書面でのやり取りではなく実際に原告と被告が裁判所で尋問を受けて話をします。

ただし、この場合、事実を確認する手続きになるので、自分の言いたいことを話し続けるのではなく、弁護士や裁判官が聞いてくる質問に対して一問一答式で答えていくことになります。

この人証調べの手続きが終わったら、判決に必要な資料がすべてそろったことになるので、いよいよ判決が言い渡されます。
ただし、判決は人証調べのその日に行われるのではなく、通常その1~2ヶ月後に判決言い渡し期日が指定されます。

和解で終結することも多い

裁判は、判決が言い渡されるより前に和解で解決することも多いです。特に日本では和解の割合が高く、裁判事件の50%は和解で終結しているとも言われています。

和解のタイミングは、いつとは決まっていないので、たとえば第一回口頭弁論期日に裁判官の勧告によって和解の話し合いがすすめられることもありますし、人証調べ前に和解の話し合いが持たれることもあります。

人証調べが終わった後、最後の話し合いのチャンスとして和解の話し合いの機会が持たれることも多いです。
判決になると、必ずしも自分が勝訴するとは限りませんし、慰謝料の金額なども重いとおりになるとは限りません。

判決では謝罪をさせたり、望み通りの名誉回復措置(訂正記事や謝罪記事など)をさせたりすることもできません。このような柔軟な解決をするためには、和解による話し合いで解決した方が良いのです。

判決をしてもらっても、相手がその通り支払をしてくれるとは限りません。判決が出ても、それを無視して支払わない人は結構います。その場合、こちらが相手の財産を探して強制執行(差し押さえ)をしないといけないので、かなり大変な作業になりますし、費用も労力もかかります。

和解をすると、通常は相手が自分から約束通り支払をしてくれるので、こちらが強制執行をしたりする手間をかける必要がありません。

このように、和解には判決にないいろいろなメリットがあるので、裁判官が和解を勧告してきた場合、一度は和解の席についてみると良いでしょう。

また、和解は裁判手続き中に何回でも行うことができます。たとえば、第一回口頭弁論期日において和解の話し合いをしてみたけれども成功しなかった場合、後に人証調べ前に再度話し合いをすることもできますし、それでも話しができなかった場合、最後のチャンスとして再々度人証調べ後に話し合いをすることも可能です。

和解に積極的に臨んだことによって判決で不利益に評価されることもないので、そのようなことをおそれることなく、自分に有利な内容で話し合いができる可能性があるなら、まずは話し合いのテーブルについて話しを聞いてみましょう。

裁判官が間に入って相手との話し合いを仲介してくれるので、大変貴重な機会になります。

判決言い渡し

人証調べが終了し、最後まで和解の話し合いもできなかったケースでは、その事件については裁判官が判決を言い渡すことになります。

判決言い渡し日は、口頭弁論の終結時に指定されます。人証調べが最終の手続きであるケースでは、その日に判決言い渡し期日が裁判官から告げられます。

判決は、裁判所に聞きに行っても良いですし、聞きに行かなければ、裁判所から自宅に郵送されてきます。

判決に対して不服があれば、判決書を受け取ってから2週間以内に控訴状を提出することによって高等裁判所に控訴できます。

入金

判決によって慰謝料支払い命令があったり和解によって慰謝料支払の約束をしたりして裁判手続きが終了した場合、相手から慰謝料の支払いを受けることになります。

和解の場合には、通常は支払期限を定めて銀行振込先なども相手に告げるので、通常は期日までに相手から入金があります。

判決の場合にはそうはいきません。判決書には、単に「被告は原告に対し〇〇円支払え」と記載されているだけで、具体的に銀行振込などの支払方法が記載されているわけではないからです。

判決で支払い命令が出た場合、相手に連絡をとって、具体的な入金方法を話し合う必要があります。

銀行振込先などを通知して相手がそこに入金してくれたら、その時点で慰謝料支払いを受けることができますが、相手が支払をしなかったり、判決後相手と連絡が取れなかったりする場合には、相手の財産を探して強制執行(差し押さえ)をしなければならないので、大変です。

相手の財産としては、預貯金や生命保険、株券や不動産、給料など何でも差し押さえの対象になりますが、これらの財産がない場合や、どこにあるかわからない場合には、判決で支払い命令が出ても、実際には慰謝料を回収できないおそれがあるので注意が必要です。

このような問題があることも、判決より和解にメリットがある理由の1つになります。

名誉毀損による慰謝料請求!民事裁判は弁護士に依頼すべきか?

相手に対して民事裁判で慰謝料請求をする場合、弁護士に手続きを依頼すべきかどうかという問題があります。

弁護士に裁判を依頼するかどうかを考える際、費用対効果を考える必要があります。

弁護士に依頼すると、当然弁護士費用がかかるからです。金額については、相手に請求する金額によっても変わってきますが、数万円~数十万円かかることが普通です。相手からさほどお金がとれないのに、高額な弁護士費用を支払ったら、結局は損になってしまいますし、損にはならなくてもほとんど利益にならず、労力と時間をかけただけで終わってしまうことになってしまうからです。

たとえば、請求金額や回収出来そうな金額が50万円以下の場合には、基本的には弁護士に依頼しない方が良いでしょう。

高額な慰謝料支払が見込めるケースや謝罪広告を求めたいケースなど、複雑な対処が必要な場合、またお金の損得ではなくとにかく相手にきっちりペナルティを与えたいなどの目的がある場合などには少ない請求額の場合でも、弁護士に手続きを依頼して確実に裁判で勝てるようにした方が良いです。

また、相手が弁護士を依頼してきた場合、こちらに弁護士がいないと手続きが大変不利になりますので、できれば弁護士を立てる方が良いです。ただし、この場合も、単純に損得勘定をした場合に足が出そうなら、わざわざ弁護士を立てずに、「本人訴訟」で最後まで自分で争うのも1つの方法です。

まとめ

今回は、ネット誹謗中傷被害を受けた場合に相手に対して慰謝料請求をする方法を解説しました。
相手に対して名誉毀損にもとづく請求をする場合、まずは内容証明郵便で請求書を送って示談交渉をしますが、話し合いができなければ、民事裁判を起こします。

民事裁判では、書面によって主張や証拠を提出して手続きをすすめ、人証調べをして判決が言い渡されます。手続きのどの段階でも和解をすることができますが、和解によって解決すると、柔軟な解決ができたり支払いを受けやすかったりするので、一度は和解の席についてみると良いでしょう。

裁判は、弁護士に依頼した方が有利になりますが、回収できる金額の見込額が少ない場合、弁護士費用がかかって足が出てしまうおそれがあるので注意が必要です。
今回の記事を参考にして、ネット誹謗中傷を受けた場合にも上手に慰謝料請求をしましょう。

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