YouTubeで肖像権侵害!動画を勝手に投稿された時の対処法
YouTubeで自分の権利が侵害されたとき、YouTubeや投稿者に対して削除請求、慰謝料請求をすることは可能なので…[続きを読む]
最近、自分が意図しないのにAV(アダルトビデオ動画)に出演させられた上、つまり出演強要があり、その画像や動画がネット上に公開されたり販売されたりする被害が相次いでいるのをご存知でしょうか?またAV出演がバレるのが怖いという方もいることでしょう。
知らない間にAV(アダルトビデオ動画)への出演契約を結ばされて、気づいたときには断れず、無理やりAVに出演させられてしまいます。
AV(アダルトビデオ動画)がネット上に公開されるなどして、本人は甚大な損害を被ります。この場合、契約を解除したり相手を刑事告訴したり、動画を削除させたりすることはできないのでしょうか?
今回は、AVに出演させられて、動画がネット上に公開される問題、いわゆるAV出演強要被害の法的な対処方法、無修正の強要、アダルトビデオ強要に強い弁護士、バレる前にも削除依頼請求について、解説します。
自分の知らないうちにAVに出演させられて動画が公開されるなどと言われても、「本当にそのようなことがあるのか?」と疑問に思うかもしれません。
しかし、以下のAさんのような相談事例は、本当にあります。まずはその内容を見てみましょう。
Aさんは、知り合いから「グラビアをやってみない?」などと誘われて、プロダクションに行きました。すると、「社長」という男性が現れて、「契約しましょう」と言いました。男はAさんに契約書を渡してきて署名押印するように言いましたが、Aさんにはゆっくり内容を確認する暇が与えられなかったので、Aさんは署名押印をして、年齢や住所も記載しました。また、「社長」の求めにより、身分証明書のコピーも出しました。
その後、プロダクションにおいて、「タトゥーが入っていないかどうか調べる」と言われて上半身裸の写真を撮られ、数日後に「AV出演が決まりました」という連絡がありました。
Aさんが断ると、「AVの制作が開始しているからやめるなら数千万円の違約金がかかる。家族にも知られることになるぞ」と言われました。
Aさんは、泣く泣くAVに出演するしかなく、数回恥ずかしさをこらえて撮影を行いました。その後、Aさんが出演しているAVがネット上に流されていて、販売もされていることを知りました。
Aさんは、ネット上の動画の公開をとりやめて削除してもらいし、販売もやめてほしいと考えています。
Aさんのように、AV募集だとわかって応募、契約しているというよりは、AV契約だと当初は隠してAVに無理やり出演させられた場合、出演強要された場合、法的な問題としてはどのようなことがあるのでしょうか?以下で、見てみましょう。
まずは、Aさんが制作会社と締結したAVへの出演契約を解除出来るのかが問題です。今後、再度の出演を求められたとき、Aさんは契約を解除して断ることができるのでしょうか?
この点について、判例は、「AVへの出演は、本人の意に反して従事させることができないものである」と判示しています。
そこで、本人が出演したくないのであれば、契約を解除することができると考えられます。
そこでAさんは、今後新たにAVへの出演を求められた場合には、たとえ契約書があって契約がいったん成立しているとしても、断ることができます。これが出演強要の真実です。
次に、出演強要があった場合に、ネット上の動画を削除申請・依頼できるのかも問題です。
AV動画の公開が合法的に行われているか、違法に行われているかによって結論が変わってきます。合法か違法かについては、契約の有効性ともかかわります。
そもそも契約が無効であれば、本人に無断で裸の映像を掲載することは認められません。そこで以下では、契約が有効になるかどうかや、動画配信の合法性について見てみましょう。
まず、本件のようなAVの出演契約は、契約そのものが公序良俗違反になる可能性があります。その場合、契約全体が無効になって、削除申請、請求が認められます。
また、Aさんが未成年者であれば、AV出演契約の未成年者取消ができます。民法は、法定代理人の同意なしに未成年者が単独で法律行為をした場合、法定代理人はその法律行為を取り消すことができると定めているからです。
そこで、Aさんが未成年の場合、Aさんの両親が取消権を行使したら、契約の内容が無効になって、AV動画の削除依頼ができます。ただ、こうした業者は、親の同意の署名押印を偽造して契約書を作成していることもあり、その場合には、必ずしも未成年者取消ができるとは限りません。
次に、考えられる方法は錯誤無効です。契約時に業者から、具体的な撮影の方法や内容、撮影した作品を配る範囲や方法などについて説明がないままに契約をした場合、錯誤を理由として契約の無効を主張することができます。この場合にも、契約が遡及的に無効になるので、AV動画の削除申請、請求をすることができます。
詐欺・脅迫行為による取消も考えられます。民法は、詐欺や強迫によって締結された契約は、取り消すことができると規定しています。
AV出演契約は、多くのケースで業者によって半強制で締結させられるため、脅迫による取消ができることがあります。また、業者があえてきちんと内容を説明せずにたいしたことのないものだと信じさせて契約をさせるため、詐欺が成立する可能性もあります。
さらに、動画そのものが公序良俗に違反する違法なものであれば、削除請求ができます。たとえば、その動画が無修正などになっており、「わいせつ物」に該当するようなケースでは、そもそもそのような動画を配信すること自体が犯罪となります(わいせつ電磁的記録媒体陳列罪)。そこで、そういったケースでは、当然動画を削除させることが可能になります。
AVへの出演が、人格権への侵害であると評価されることもあります。AVでの演技内容は、出演者の自己決定権に関わる内容となっています。このように重大な内容の契約をするときには十分慎重になる必要がありますが、実際には何の配慮もないまま、業者が被害者に対し、半ば無理矢理契約させていることが多いです。そこでその場合、被害者は人格権侵害を理由に動画削除申請を求めることができる可能性があります。
Aさんがプロダクションに著作権を譲渡していないケースなどでは、プロダクションが勝手に動画を配信するとAさんの著作権侵害となります。そこで、Aさんは配信の差し止めを求めて削除依頼することが可能です。
以上のように契約が無効になる場合や動画配信が許されない場合に対し、契約そのものに問題がなく、動画が「わいせつ物」にならないように修正されている場合などには、動画配信の差し止め請求が難しくなる可能性もあります。
ただ、無理だと決めつける前に、被害者から契約時の状況などを詳しく聞いた上で、とりうる対処方法がないかを検討する必要があります。自分ではどうしようもないのではないか?と思われるケースでも弁護士に相談すると解決の糸口が見えるケースもあります。
AV出演強制の被害に遭ったら、まずは弁護士に相談することが重要です。
すでにアダルトビデオが販売されている場合、販売停止ができるのかも問題となります。
この点についても、基本的に先ほどの動画配信と同じ考え方によります。
アダルトビデオの内容が公序良俗に違反する場合、未成年取消や詐欺脅迫による取消ができる場合、錯誤無効を主張できる場合、人格権侵害が認められる場合、Aさんが著作権をプロダクションに譲渡していない場合には、契約の取消や無効を主張して、販売を差し止めることができます。
また、業者がアダルトビデオ販売することが、もともとの契約内容に入っていない場合にも、販売差し止め請求をすることができる可能性があります。そこで、アダルトビデオ販売を差し止めることができるかどうか判断するためには、相手との契約内容をしっかり確認することも必要です。
本件のようなAV出演契約で問題になりやすいのは、業者からの違約金請求です。
被害者は、いったん契約をしてしまったけれど、その後どうしてもAVに出演することが耐えがたいため、出演を断ってしまうことがあります。その場合、業者側から高額な違約金を請求されるため、これを拒絶することができるかどうかが問題になります。
確かに、契約上は、出演者が出演を断った場合、業者が高額な出演料を請求できることが定められていることが多いです。
しかし、判例は、業者による請求を否定しました。
その事案では、被害者は、2回にわたってAV出演契約を結ばされています。
ところが、契約後に業者からAVへの出演を強要されたとき、契約を解除すると主張して、出演を拒みました。すると、業者が2460万円もの高額な違約金支払いを請求してきたのです。
この事案において、裁判所は業者の請求を認めず、請求棄却の判決を出しました。
その理由は以下のとおりです。
まず、この事案の被害者は、当初の契約時には未成年であり、2次契約の際には成人したばかりでした。また、1次契約の契約書においては「アダルトビデオ」の記載がなく、2次契約において「アダルトビデオ」と記載されていました。
そして、契約の内容は、被害者に決定権はなく、ほとんど業者による指示によって業務が行われることとされていました。そこで、裁判所は、業者と出演者の契約内容は、雇用契約類似のものであるから、民法629条によって解除できる可能性があると判断しました。
さらに、「AV出演は出演者の意に反して行われるものではない」として、本人が拒絶しているのに業者側が出演を強制することは、契約の解除事由になるとしています。そこで、被害者による契約解除は有効であると判断しました。
そして、業者が請求している違約金は、出演者の解除後に出演依頼がなされたことにもとづくのであるから、その出演を断っても違約金が発生しない、と判断したのです。
以上、少し難しくなってしまいましたが、この判例で重要なのは、「AV出演は出演者の意に反して行われるものではない」として、出演を強要することが契約の解除事由になると判断された点と、違約金請求が棄却されたという結論です。
そこで、今後同じような被害に遭って、出演をしたくないのであれば、無理に出演する必要はありません。また、業者から違約金を支払うよう言われて出演を強制されたら契約を解除してしまえば良い、ということになりますし、違約金支払いの必要もありません。
本件で問題になる法的な問題として、刑事告訴や告発があります。
無理矢理AVへ出演させるという業者の行為に犯罪が成立することがあるのでしょうか?
この場合、まずは脅迫罪(刑法222条)や強要罪(刑法223条)が成立する可能性があります。
業者が
などと言ってAV出演を迫ることは、人に害悪を告知することですから脅迫罪が成立する可能性があります。
成年になったばかりで、社会的な契約の意味や知識も持ちえない若い女性に、業者は、「契約」「損害」とか、「違約金」など難しい言葉を使って、付け込む酷い手法であるため、言いなりにならず、対抗していく必要があります。
また、本人が断って有効に契約を解除しているのに無理矢理AVに出演させることは、本人に義務のないことを強要する行為として、強要罪に該当する可能性もあります。
そこで、これらが成立する場合、被害者は業者に対し、脅迫罪や強要罪が成立するとして、刑事告訴することが考えられます。
また、業者によるAV動画配信やアダルトビデオ販売が、わいせつ物頒布になる可能性があります。たとえば、業者が無修正で画像や動画を販売したりネット配信したりしたケースです。この場合、業者には「わいせつ電磁的記録媒体陳列罪」という犯罪が成立します(刑法175条)。
そこで、被害者は、警察に告発することにより、業者を摘発してもらえる可能性があります。実際に、無修正のAV動画をアップロードして収益を上げていた業者が、わいせつ電磁的記録媒体陳列罪により、摘発された例もあります。そして、このように画像や動画そのものが違法な場合には、当然に掲載や販売の差し止めを請求することも可能になります。
以上のように、AVに無理矢理出演させられたり、自分が出演している動画がネット上に配信されたりしている場合、いろいろな法的手続きによって対処することが考えられます。
ただ、このような法的な対処方法を、被害者が自力ですすめることは非常に困難です。
AVの出演被害者は、個人の女性であることが多く、しかも狙われるのは、年齢が若くて社会経験のない人ばかりです。これに対し、相手は違法なことでも平気で行うようなプロダクションや、プロダクションを名乗る正体不明の団体です。時に反社会的な団体や暴力団とのつながりを持っているケースもあります。
よって、このような相手に対し、被害者がひとりで臨むのは非現実的であることは明らかです。
また、AV出演被害の被害者は、そもそもこの問題自体を精神的苦痛に感じていることが多く、自分で対応することによってさらにその傷が深くなってしまいます。
さらに、家族や周囲の人に秘密にしていることも多いですが、自分で対応することにより、業者と連絡を取ったりトラブルになったりすることで、周囲にばらされてしまうおそれもあります。
そこで、AVへの強制出演被害に遭った場合には、弁護士に対応を依頼することが重要です。
相談先としては、NGO団体及び弁護士があります。
政府は2017年3月31日、アダルトビデオへの出演強要問題や女子高校生など少女の接客を売りとする「JKビジネス」への対応を検討する検討する関係省庁対策会議を首相官邸で開き、当面の緊急対策を決定しました。
その内容によりますと、繁華街でおこなっているAV出演強要のスカウト取り締まり、被害防止に向けた内閣府内にサイト公開。さらに被害にあった場合の相談窓口を告知するようです。
2017年4月を「被害防止月間」とし、5月中旬までに政府の活動方針を決定します。
弁護士に対応を依頼すると、次のようなメリットがあります。
まず、弁護士に依頼すると、法的な知識を持って適切な対応をとってもらえます。弁護士であれば、どのような場合にどのようなAV強制出演の対応をとるべきかが正しく判断できますし、ケースごとに適切な対処方法を検討して採用することができます。このことにより、有利に業者との交渉や法的な手続きを進めることができます。
被害者がひとりでAV業者と対峙すると、どうしても力の差がありすぎて被害者が圧倒的に不利になります。ここで弁護士に対応を依頼すると、法律の専門家として、また交渉のプロとして、AV業者と対等以上にわたりあってくれます。このことで、被害者と相手の力の差が解消されますし、むしろ被害者側が有利になることもあります。相手が違法業者の場合、弁護士が出てきて法的な対応をとられると困るため、相手が退いていくこともありえます。
弁護士に依頼すると、周囲に知られずに手続きを進めることができます。被害者が自分で対応していると、AV業者が嫌がらせで実家などに連絡してくるおそれもありますが、弁護士が間に入っていたら、業者は弁護士にしか連絡をしてこなくなります。また、被害者自身が業者と連絡を取ることがなくなるので、家族などに不審に思われることもありません。
また、弁護士には顧客の守秘義務がありますので、AV強要というデリケートでプライベートな相談も安心して行えます。
AV出演を強制された被害者は、非常に大きな精神的苦痛を被ります。このことで、醜形恐怖症になって自分が醜いと思い込むようになったり、自殺願望が生まれてしまったりする人もいます。自分一人で相手と交渉をすると、このような精神的苦痛がさらに増大する可能性があるので、注意が必要です。ここで、弁護士に対応を依頼したら、弁護士がすべての手続きを代行してくれますし、法律のプロである弁護士が自分を助けてくれるという安心感を得られるため、被害者が楽に過ごせるようになります。
被害者が自分で対応していると、業者が図に乗っていろいろな嫌がらせをしてくる可能性があります。もともと違法な動画を配信したり、被害女性にAV出演を強要したりしても平気な業者ですから、何をされるかわかりません。被害者が1人で対応するのは非常に危険があります。ここで弁護士に依頼すると、相手はおとなしくなり、目立ったことはしなくなります。弁護士を相手に派手なことをすると、法的に責任追及されるので、相手が不利になるためです。
以上のように、AV出演強制に関するトラブル解決は、弁護士に対応を依頼するとたくさんのメリットがあります。
AV出演強制のトラブルに対処するためには、弁護士に依頼すべきですが、このとき、どのような弁護士でも良いということにはなりません。
弁護士の仕事の内容は非常にさまざまなので、このような問題が得意な弁護士とそうでない弁護士がいるからです。
特に、AV出演強制という手口は最近現れた新しいものであるため、弁護士の中にも知らない人がたくさんいます。
さらに、この種の事案では、ネット動画の配信が絡んでくるため、どうしてもネット問題についての知識が必要になります。
そこで、AV出演を強要される被害に遭い、ネット上の動画配信が絡んでいる場合、インターネット問題に強い弁護士を探して依頼することが必要です。
ネット問題の場合、DVD販売といった目に見える販売差し止めと違い、ネット動画配信を止めるためインターネットの仕組みや手続きに詳しくないと対応が後手に回ることがあります。
また、AV出演被害に対応してもらうには、同じ種類の事件を解決したことがある弁護士に依頼することをおすすめします。
ネット誹謗中傷問題やネットプライバシー権侵害に強い弁護士は多いですが、AV出演トラブルはネット問題の中でもかなりニッチな分野なので、対応できる弁護士が限られてきますし、解決実績のある人の方が安心して依頼できるからです。
このように、ネット問題に強い弁護士やAV出演トラブルを解決したことのある弁護士を探すときには、弁護士事務所のホームページをチェックしてみることをおすすめします。
ネット問題に力を入れている弁護士は、法律事務所ホームページ上に「インターネット弁護士」とか「ネット誹謗中傷」「ネット削除」などと、力を入れている分野や経験が豊富な分野を書いてあることが多いですし、ネット問題についての無料相談を実施していることもあります。
AV出演強要トラブルを解決した実績については、ホームページ上に記載してある事務所もありますが、書いていないことも多いので、個別に確認してみることをおすすめします。
当サイトでも、無料相談できる「ネットに強い」「ITに強い」弁護士を掲載しておりますので、参考にしてください。
このようにして良い弁護士を見つけることができたら、あとは業者への対応を全て任せてしまうと良いでしょう。
今回は、AVへの出演を強要された場合の対処方法、販売停止、削除申請を解説しました。
こうしたケースでは、本人がよくわからないままに契約を締結させられて、半強制的に出演させられることが多いです。ただ、このような契約は解除することができますし、解除をしたら違約金は発生しません。また、相手を刑事告訴することができる可能性もあります。
自分で対処するのは難しいので、ネット問題に強い弁護士を探して対応を依頼すると良いでしょう。このような悪質な被害に遭った場合、泣き寝入りして我慢する必要は全くありません。早急に弁護士に相談をして、対応してもらうことをおすすめします。