オリンピックでSNS誹謗中傷はなぜ?アスリート・スポーツ選手の事例

オリンピック誹謗中傷
  • オリンピックでSNS誹謗中傷はなぜ?
  • アスリート・スポーツ選手の事例はないの?

ネット上での誹謗中傷が増加していることをご存知でしょうか。

例えば、2021年7月23日から始まった、東京2020オリンピックにおいても、日本でも多くの選手が次々と金メダルを獲得し、東京五輪を盛り上げてくれましたが、一方で、ネット上での選手への誹謗中傷が深刻な問題となりました。

また、2024年7月のパリ五輪・オリンピックにおいても誹謗中傷問題で大炎上して、問題が再燃しそうです。開会式でも実際に青いおじさん問題やスポーツ選手のインスタアカウントへの突撃で炎上中です。

今回はアスリート、スポーツ選手の誹謗中傷がなぜ起こるのか?その原因は何なのか?をオリンピックにおける誹謗中傷を例にとって対策方法なども考えつつ解説いたします。

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東京2020オリンピックにおける誹謗中傷の事例

先述したように、最近では2024パリオリンピックが開始される予定ですが、アスリート・スポーツ選手・五輪選手に向けた誹謗中傷がニュースでも話題となっています。どのような誹謗中傷があったのか、事例を見てみましょう。

テニス:大坂なおみ選手

女子テニスで注目を集めている大坂なおみ選手ですが、残念ながらオリンピックでは3回戦敗退となってしまいました。

敗退した際、出版社の徳間書店が業務委託をしていた編集者が、X(旧Twitter)上で大坂選手に対して差別的な内容の投稿をしました。

これに対して多くの批判が起こり、同社は編集者との契約を解除し、謝罪文を公式HPに掲載しました。

特にアスリートに対して、人種や肌の色を理由に侮辱される事態は決して起こってはならず、今後このような事態が二度と起きないよう、社会全体で賢明な対応が求められることでしょう。スポーツを通じた相互理解と平和の促進が何より重要だと考えられます。

体操:橋本大輝選手

体操男子個人総合では、橋本選手が金メダルを獲得しました。

2位となった中国人選手と競い合った上で手にした金メダルでした。

しかし、競技中にミスがあったにもかかわらず1位になったということで、特に中国ファンから採点に批判が集まり、「盗まれた金メダルだ」といった誹謗中傷が送られてきたといいます。

この件では、国際体操連盟(FIG)が採点規則を示したうえで「採点は公正で正確だった」と声明を出すと同時に、橋本選手も「誹謗中傷とみられる行為を行う人が少なくなることを願っています」とX(旧Twitter)上に投稿を行いました。

サーフィン:五十嵐カノア選手

サーフィン男子では、五十嵐カノア選手が銀メダルを獲得しました。

しかし、これに対しても採点に批判が集まり、ブラジルのファンから「あなたは審判の助けがなければなにもできない」といった誹謗中傷が送られてきたようです。

五十嵐選手はX(旧Twitter)にポルトガル語で投稿を行い、「我慢できません」と怒りをあらわにしました。

卓球:水谷隼選手

オリンピックの卓球混合ダブルスでは、水谷隼選手と伊藤美誠選手が金メダルを獲得しました。

しかし、その後、水谷選手が「とある国からDM(ダイレクトメッセージ)で心無いコメントが送られている」とX(旧Twitter)に投稿したことで、誹謗中傷が明らかになりました。

「死ね!くたばれ!消えろ!」「カス」といった内容のメッセージが送られていたようです。

「”とある国”というのはレッテル貼りだ」といった批判の声もあり、該当するツイートは削除されていますが、後ほど挙げられた動画と共に水谷選手は「関係各所に連絡を行い然るべき措置を取ります」と明言しています。

なぜ起きる?アスリート・スポーツ選手への誹謗中傷の心理と原因

五輪選手は今まで努力してきた成果をオリンピックで発揮しているだけであって、人格攻撃をされるような行いはしていません。

それにもかかわらず、なぜこのようなアスリートやスポーツ選手への誹謗中傷が起きてしまうのでしょうか。その原因・理由を見てみましょう。

①匿名性ゆえの勘違い

まず、ネット上の「匿名性」です。

ネット上のSNSや電子掲示板などは、多くが匿名で書き込めるようになっています。

そのため、どんなことを書き込んでも大丈夫だと勘違いをしている人がいるのです。「バレない」と考えているからこそ、過激な言葉を使ってしまうことがあります。

②性格・性向

サディスト的な性向を持つ人がいて、他者が苦しんだり怒ったりする様子を見ることから快感を得ようとします。そういった人々は、ネットの匿名性を悪用し、他人を傷つけることで自分の満足感を得ようとして発言を繰り返してしまいます。

また、自分の居場所を確保するため、他者を貶めたり攻撃したりする傾向があります。自尊心が極端に高く、自分を正当化し、他者を非難することで、自分の価値を高めようとするのです。

さらに、過剰な排他性や偏見を持つ人もいます。自分と異なる人々を受け入れられず、差別的な言動に走ってしまう危険性があります。狭い視野からくる偏った考え方が、攻撃的な言葉に現れがちです。

③正義感

正義感から誹謗中傷をしてしまう人もいます。

このような人達は、悪意で書き込みをしているわけではありません。「悪人を成敗する」「自分の言っていることが正しい」といった過剰な正義感によって、結果として強い言い方をしてしまうのです。

特にオリンピックは国の代表が競い合う行事であるため、ファンの愛国心が暴走しやすい状況になっています。

本人にとっては愛国心から声をあげたことが、相手にとっては誹謗中傷になっている場合があります。

④集団心理

また、集団心理によって誹謗中傷をしてしまうこともあります。

SNSやネット上には、多くの人が投稿を行っています。

そんな中で周りの人が悪口を言っていると、「自分も少しぐらいは平気だろう」「周りもやっているから」と、心理的なハードルが下がってしまうのです。

その結果、安易な気持ちで誹謗中傷をしてしまう人が増えています。

⑤ネットの特性

ネットの特性が関係することもあります。

様々な研究から、故意的に攻撃的な書き込みをする人は実はごく一部である、という結果が出ています。

また、ネットでは強い思いや批判的な思いを持った人ほど積極的に投稿を行う傾向があるといわれています。

悪意をもつ人や批判的な考えをもつ人達ばかりが何回も攻撃的な投稿を行い、擁護側の人はあまり投稿をしない結果、批判的な書き込みばかりがネット上に溢れ、それが多数意見かのように見えてしまうことがあるのです。

誹謗中傷を減らすための対策法とは

誹謗中傷は人の心が関わってくるものであるため、完全になくすのは難しいものです。
しかし、少しでも減らすために取り組めることはあります。

最後に、誹謗中傷を減らすための対策について見ていきましょう。

オリンピックにおける対策

まず、オリンピックという点に注目すると、2つの方法があげられます。

⑴心理的なケア

1つ目は、誹謗中傷を受けた選手に対するカウンセリングといった、心理的ケアの充実です。

競技において、選手のメンタルケアはとても大切です。
そのため、ネットの書き込みによってメンタルが崩されないよう、カウンセラーの存在が重要です。

東京五輪でもこの対策が取られており、IOCが選手村に心理カウンセリングを用意しています。

⑵法的な支援

2つ目に、法的な支援です。

もちろん、国としても誹謗中傷に対する法整備を整えることは大切です。

しかし、選手は法律にまで詳しいわけではありません。
制度があっても使えなければ意味がないものです。

そのため、もし選手が誹謗中傷被害にあった場合に、法的措置をサポートしてくれる機関を設置したり運営側から注意喚起をしたりすることも必要といえるでしょう。

個人ができること

それでは、オリンピックに限らず、誹謗中傷を減らすために個人でできることはなんでしょうか。

これについては以下のようなものが挙げられます。

  • ネットリテラシーを学ぶ
  • 投稿をする前に内容を見直す
  • SNSの設定を工夫する
  • 誹謗中傷の被害者を応援する
  • 誹謗中傷の投稿を通報する

特に誹謗中傷を受けている人に対しては、応援することが効果的です。

先述したように、ネット上は批判的な意見の方が投稿されやすい傾向があります。
そのため、「応援している」「頑張ってください」といった被害者をを励ますメッセージが多くなれば、本人にとっても大きな心の支えとなります。

詳しくは、以下のページも併せて参照ください。

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まとめ

以上、アスリート、スポーツ選手、オリンピック選手への誹謗中傷がなぜ起きてしまうのかや、対策法についてご紹介してきました。

オリンピックは世界中が注目する行事であるが故、言語や国をまたいで誹謗中傷が行われることも増えています。

誹謗中傷は、想像以上に被害者に心の傷を与えます。

自分も無意識にしてしまうことがないよう注意すると同時に、誹謗中傷をしている人がいたら通報したり被害者を応援したりして、支えていくようにしましょう。

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