プライバシーの侵害で訴える意味はあるか? 慰謝料請求の手続き・金額相場

ご自身のプライバシー権を違法に侵害された場合、加害者に対して慰謝料を請求できます。

プライバシー権侵害に関する慰謝料請求は、弁護士に依頼して対応してもらうのがスムーズです。ただし、費用倒れになってしまうケースもあるため、事前に必ず見積もりを取得しましょう。

今回は、プライバシー権侵害に関する慰謝料請求の手続き、内容証明、示談金・慰謝料額の相場、弁護士に依頼する際の注意点、訴えられた場合はどうなるかなどをまとめました。

プライバシーの侵害に関する慰謝料請求の主な手続き

プライバシー権侵害が成立する場合、被害者は加害者に対して、不法行為(民法709条)に基づく慰謝料を請求できます。訴えたり訴えられると以下のような手続きがあります。

相手の住所が不明の場合

ネットで匿名でプライバシー侵害をされた場合などは、まず相手が誰かを特定する必要があります。

詳しくは開示請求に関するコラムをご参考ください。

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内容証明郵便による請求・協議と示談金

誰がプライバシーを侵害したのか特定できている場合は、加害者に対して、自発的に慰謝料を支払うように求めるのが一般的です。

慰謝料請求は多くの場合、「内容証明郵便」による請求書を送付して行います。

内容証明郵便の送付には、消滅時効の完成を6か月間猶予する効果があります(民法150条1項)。特に時効完成が迫っている場合には、早めに内容証明郵便による請求書を送付しましょう。

加害者から請求に対する返信があれば、示談金・慰謝料の支払いに関する協議へと移行します。

加害者が非を認めていれば、示談金の金額面の交渉が中心となるでしょう。示談金・慰謝料額について合意が成立した場合は、その内容を示談書にまとめて締結します。

一方、加害者が自身の非を認めず、慰謝料の支払義務を否定している場合には、協議成立の見込みは薄いと言わざるを得ません。この場合、早い段階で協議を打ち切って訴訟へ移行することも検討すべきでしょう。

慰謝料請求訴訟

示談金・慰謝料請求に関する協議がまとまらない場合は、裁判所に訴訟を提起しましょう。

訴訟は、裁判所の法廷で行われる公開の手続きです。被害者は原告として、プライバシー権侵害の事実や被った損害の金額などを主張・立証する必要があります。

裁判所が原告の請求に理由があると判断した場合、慰謝料請求を認める判決を言い渡します。判決は、控訴・上告の手続きを経て確定し、当事者に対して拘束力を持ちます。

加害者が確定判決に従って慰謝料を支払わない場合は、裁判所に強制執行を申し立てることが可能です。

プライバシー権侵害に関する慰謝料の金額相場

プライバシー権侵害に関する慰謝料の金額は、被害者の受けた精神的ダメージの大きさによって決まります。標準的な慰謝料額は「50万円から200万円程度」です。

たとえば、公開によって世間の奇異の目に晒されたり、いわれのない誹謗中傷を受けるようになったりした場合には、高額の慰謝料が認められる可能性があります。

これに対して、プライバシー権侵害に当たる言動によって傷ついた部分があっても、それ以外の実害がほとんどなかった場合には、慰謝料の金額も低めになることが予想されます。

いずれにしても、プライバシー権侵害に関する慰謝料の金額は、個別の事情を具体的に考慮して決定されることになります。

プライバシー権侵害に関する弁護士費用|費用倒れになってしまうのか?

プライバシー権侵害に関する慰謝料の請求は、弁護士を代理人として行うのがスムーズかつ安心です。

しかし、弁護士に依頼する場合は、弁護士費用が掛かってしまいます。事情によっては、獲得できる慰謝料の金額を弁護士費用が上回り、費用倒れになってしまうおそれがあるのでご注意ください。

弁護士費用の目安

弁護士費用は各弁護士が自由に決めているため、依頼先の弁護士によって異なります。そのため、具体的にどの程度の費用が必要となるかは、正式な依頼を行う前に弁護士へ確認することが大切です。

標準的な慰謝料請求の弁護士費用は、以下のとおりです(参考:(旧)日本弁護士連合会弁護士報酬基準)。あくまでも目安ですが、弁護士へ依頼する際の参考にしてください。

着手金 請求額に応じて以下の金額(税込)

300万円以下の場合:請求額の8.8%

300万円を超え3,000万円以下の場合:請求額の5.5%+9万9,000円

3,000万円を超え3億円以下の場合:請求額の3.3%+75万9,000円

3億円を超える場合:請求額の2.2%+405万9,000円

※着手金の最低額は11万円(税込)

報酬金 獲得額に応じて以下の金額(税込)

300万円以下の場合:獲得額の17.6%

300万円を超え3,000万円以下の場合:獲得額の11%+19万8,000円

3,000万円を超え3億円以下の場合:獲得額の6.6%+151万8,000円

3億円を超える場合:獲得額の4.4%+811万8,000円

上記のテーブルにより弁護士費用が決まると仮定し、プライバシー権侵害の慰謝料として「200万円」を請求するとします。

この場合、着手金は請求額の8.8%、つまり17万6,000円です。

慰謝料獲得時には報酬金が発生することを考慮すると、少なくとも21万3,592円の慰謝料を獲得できなければ費用倒れになってしまいます。

<200万円を請求した場合の弁護士費用>
着手金:200万円×8.8%=17万6,000円
報酬金:獲得額の17.6%

①100万円の慰謝料を獲得した場合
弁護士費用の総額
=17万6,000円+17万6,000円
=35万2,000円

②50万円の慰謝料を獲得した場合
弁護士費用の総額
=17万6,000円+8万8,000円
=26万4,000円

③20万円の慰謝料を獲得した場合
弁護士費用の総額
=17万6,000円+3万5,200円
=21万1,200円(費用倒れ)

実際には着手金・報酬金以外に、日当や実費が発生することも考慮しなければなりません。

慰謝料請求を弁護士へ依頼する前に、必ず獲得できる慰謝料の見込み額と、弁護士費用の具体的な見積もりを取得しましょう。

費用倒れを回避するには「弁護士費用特約」

ご自身の加入している保険に弁護士費用特約が附帯されていれば、300万円程度までの弁護士費用が保険でカバーされます。

慰謝料請求について費用倒れを避けたい場合は、利用できる弁護士費用特約がないかをご確認ください。

よくある質問

プライバシー権とは

プライバシー権とは、一般に「私生活上の事柄をみだりに公開されない法的保障・権利」を意味します(東京地裁昭和39年9月28日判決)。日本国憲法13条後段で保障されている「幸福追求権」の一内容として、すべての国民に認められています。

また、プライバシー権には、自己に関する情報の開示・訂正・削除を求める権利も含まれるとする解釈も有力です(積極的プライバシー権)。積極的プライバシー権の内容は、個人情報保護法によって法律上具体化されるに至っています。

本記事では、プライバシー権のうち「私生活上の事柄をみだりに公開されない法的保障・権利」について、侵害があった場合の法的な取扱いを解説します。

プライバシー権の侵害とは

プライバシー権の侵害とは、プライバシーに関する事実を公表されない法的利益と、公表する理由を比較した際、前者が後者を上回る場合に成立すると解されています(最高裁平成6年2月8日判決、最高裁平成15年3月14日判決)。

このような比較衡量の基準が用いられているのは、プライバシー権は表現の自由と対立するケースが多いためです。
たとえば、政治家がどのような交友関係を持っているかはプライベートな情報です。しかし、汚職等に関して社会が実効的に監視できるようにするには、政治家に関するプライベートな情報を報道して、批判の対象とした方がよい場合もあります。

プライバシ―権と表現の自由は、どちらも憲法によって保障される精神的自由権であり、等しく重要と考えられています。そのため、両者が対立する際には比較衡量を行って、どちらを優先するかを個別に判断すべきとされているのです。

なお、プライバシー権による保護の対象となる事実は、以下の3つの要件を満たすものと解されています(東京地裁昭和39年9月28日判決)。

  • ①私生活上の事実、または私生活上の事実らしく受け取られるおそれのあること
  • ②一般人の感受性を基準にして、本人の立場に立った場合、公開を欲しないであろうと認められること
  • ③一般の人々に未だ知られていないこと

上記の要件をすべて満たす事実が公開され、本人に不快・不安の念を覚えさせた場合には、プライバシー権の侵害が問題となります。その際、表現の自由と対立する場合には比較衡量を行う点は、前述のとおりです。

プライバシー権侵害に当たる行為の例とは

プライバシー権侵害に当たり得るのは、前述の3要件を満たすプライベートな事実を、本人に無断で公開する行為です。

たとえば以下のような内容を、本人に無断でSNSへ投稿したり、周囲の人々に言いふらしたりした場合は、プライバシ―権侵害に当たる可能性があります。

  • 身分証明書の氏名、住所、顔写真など
  • 破産した事実
  • 離婚した事実
  • 多額の借金を負っている事実
  • 交友関係、交際関係
  • 身内のトラブル 等

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監修・執筆
阿部由羅(あべ ゆら) 弁護士
ゆら総合法律事務所・代表弁護士。西村あさひ法律事務所・外資系金融機関法務部を経て現職。一般民事から企業法務まで、各種の法律相談を幅広く取り扱う。webメディアにおける法律関連記事の執筆・監修も多数手がけている。
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