LINEいじめ・トラブル事例とケース別対処法
中高生によるLINEいじめトラブルや職場内でのパワハラにLINEが利用されているというケースも実際に起きています。そ…[続きを読む]
最近では、インスタなどのSNSの利用を巡ってさまざまな法律問題が浮上しています。
特に利用者が多いインスタグラムでの問題行為が増加中です。誹謗中傷などの法律問題もありますが、これ以外でも、ダイレクトメール機能(DM)を使ったメッセージのやり取りを勝手に一般公開する行為などがあります。
仮に悪気なくやった行為であったとしても、プライバシー侵害に当たる可能性があるのです。
そこで今回は、インスタのDM内容の晒し、勝手に一般公開するのがなぜプライバシー違反、法律違反に当たるのかを解説します。同時に、プライバシー侵害への対処法も見ていきましょう。
まずは、SNSのダイレクトメッセージ機能とそのメッセージが公開される事例について見ていきましょう。
多くの人が毎日のように使うSNSですが、娯楽やコミュニケーションとしてだけではなく、連絡手段としても欠かせないという方が増えているのではないでしょうか。
SNSは、自分の近況やお気に入りの写真、気になる物事などを、フォロワーや世界に向けて発信できるのが特長です。そのため、基本的には公開が原則ですが、内容全てを公開することにより、知られたくない人にまでプライベートな情報が流れてしまうため、自分で公開範囲を制限することもできます。
これは、LINE、Facebook、X(旧Twitter)、Instagramなどの主要な SNSのすべてに備わっている機能といえるでしょう。
そして、1対1で直接やり取りをすることが前提の機能がダイレクトメール機能(DM)です。他の人には知られなくない話の内容も、DM機能を使えば他のフォロワーなどに知られずに相手に連絡することができます。
このように、大変便利なSNSのDM機能ですが、DM機能について問題が報告されているのも事実です。
SNSのDMでやりとりをしていて「相手の言うことがおかしい!みんなに聞いてみよう」と思い、相手に無断でSNSなどに公開してしまう人がいます。これは、のちに大きな問題に繋がりかねません。
例えば、LINEで友人と喧嘩になり、SNS上でやりとりを公開する人がいます。その内容をきっかけとして、その相手は多くの誹謗中傷を受けることになり、学校でのいじめなどにつながるケースもあるそうです。
最近の事例では、2019年10月に起きたタレントの木下優樹菜さんのタピオカ店恫喝騒動が挙げられます。お姉さんが勤めるタピオカ店を恫喝したとしてメディアを賑わせました。実際の恫喝内容を見て、びっくりした方も多いでしょう。
そしてこの問題が明らかになったのは、木下さんがタピオカ店の店長に送ったインスタのDMをそのまま店長が釈明のために公開したためです。恫喝騒動とは別に、勝手にインスタのDMを公開することによって、タレントとしては活動自粛となってしまったのですから大きな損害が発生しています。
このように、相手に無断でDMを公開することでさまざまな問題が起きています。
インスタで勝手にDMを公開することは多くの問題を引き起こす可能性があることはわかりました。次に、この問題が法律上違法なのか、プライバシー侵害に当たるかどうかをご説明いたします。
日本では「憲法13条」の幸福追求権の1つとして、プライバシー権が保護されています。
プライバシー権とは、プライバシー権の侵害とは、私生活上の事実や公にしていない個人に関する事柄などをみだりに第三者に公表されない権利を指します。具体的には、名前や住所、職業や年収、見た目などの個人情報を含む事柄です。
プライバシー権を侵害したというためには、①私生活上の事実であり、②一般人の感受性から考えて公開を欲しない事柄であること、また③実際に公にされていない情報である必要があります。
これに当てはまる場合は、個人のプライバシーを侵害したと言い得るため、法的責任を問われる可能性があります。
では、インスタのDMを勝手に公開する行為は法律違反、プライバシー侵害になるのでしょうか。
まず、インスタのDMでのやりとりは、一般に非公開です。ということは、DM交わされた会話の内容などは、一般に公開されていない事柄となります。また、一般人の基準から考えて、2人だけが知っているはずの会話をインターネット上に公開される、あるいは不特定多数の人にスクリーンショットで公開されることは不快に感じるでしょう。
そして、インタグラムでのDMのやりとりは、誰といつ何を話したのかという点において私生活上の事実の一部といえそうです。
このように考えてみると、インスタのDMを相手に無断で公開する行為はプライバシー侵害にあたり得ると考えるべきでしょう。
仮にどうしてもDMの内容などを公開したければ、相手の許可を得ることが妥当といえるでしょう。
もしあなたと誰かのDMでのやりとりが勝手に公開されてしまったら、どのように対処すべきなのでしょうか。最後に、インスタのDMが勝手に公開された場合の正しい対処法をお伝えします。
SNSを開くと、「自分と友人とのDMの会話が勝手に公開されていた!」という場合、どう対処すれば良いのでしょうか。
人との会話を勝手に公開されるのは、あまり気分の良いことではありません。些細な内容であれば放置することも可能ですが、自身の名誉を傷つけるような態様で公開されていた場合は、なんらかの対処が必要です。
最初にできることとしては、相手に直接「公開をやめてほしい」と伝えることです。ストーリーなどで一時的に公開されていたのみだったとしても、相手に対し嫌な気持ちになったことはは伝えるべきでしょう。
友人関係や知り合いの場合は、あまり大事にすると関係に傷がついてしまいます。そのため、名誉を大きく損なったなどの問題がない限りは直接相手に公開をやめるようにお願いするか、不快であったことを伝えるべきです。
もっとも、これらを伝えることで相手を激昂させてしまう可能性もあります。そのため、できるだけ丁寧に冷静に伝えることが大切です。
インスタのDM公開を注意したのにもかかわらず、やめない場合は相手をプライバシー侵害で訴えることも可能です。
この場合、プライバシー侵害が不法行為として認められれば、損害賠償請求をすることができるでしょう。
もっとも、DMの会話の内容が公開されても大きな損害を被らないような些細なやりとりの場合は、請求できる金額は限られています。
これらにについて、警察に訴えることも考えられますが、プライバシー侵害では警察は動きません。
ただし「名誉毀損罪」が認められる状況があれば、警察も動く可能性はあります。
例えば、過去の犯罪歴について相手に告白したことにつき、悪意を持ってSNS上に公開したようなケースです。
このような場合は、相手の名誉を貶める行為にあたるため、名誉毀損で立件できる可能性があります。
このように、相手がこちらの注意を無視するような場合は法的手段も検討すべきです。
インスタでのやりとりだけでなく、LINEや他のSNSでプライバシー侵害が行われ、深刻な問題が発生した場合は、できるだけ早い段階で弁護士に相談しましょう。
SNS上でプライバシーが公開されてしまうと、一気に拡散してしまうため早い段階で対処することが肝心です。
SNSでの名誉毀損、プライバシー侵害、嫌がらせなどの被害などを受けた場合は、インターネットトラブルに強い弁護士・法律事務所に相談することがおすすめです。