IPアドレスでどこまでわかる?住所や個人を特定可能なの?
X(旧 ツイッター)やインスタ等のSNS、また5ちゃんねる・ホスラブ・爆サイなどの匿名掲示板などで、不当な「誹謗中傷の書き込み」に悩まされてる方も多いでしょう。
誹謗中傷書き込みの犯人を特定するにあたり、発信者情報開示請求を行うと「IPアドレス」が公開されます。
この「IPアドレス」とは何か、また、IPアドレスからわかること、どこまでわかるのか、住所や個人特定・企業名特定ができるのか、ネット誹謗中傷犯をどのように特定・開示請求するのか詳細に解説いたします。
目次
IPアドレスとは
そもそもIPアドレスとは何なんでしょうか?
IPアドレスはインターネット上の住所
一言で言えば、IPアドレスはルーターやパソコンなどに設定されている「インターネット上の住所」のようなものです。
I通常ICANNという機関を筆頭に、各国地域を統括する部署と、各国を統括する部署(アジアならAPNIC・日本ならJPNIC)に分かれ、最後にIPアドレスを管理する事業所にわかれます。
そこから各ユーザー、法人、企業にIPアドレスが振り分けられています。
IPアドレスには2種類あり
2種類のIPアドレスがあり、プライベートIPはローカルネットワーク内の機器で使用され、グローバルIPはインターネットに接続している公開デバイス用です。
匿名の投稿などでは、このグローバルIPアドレスが記録されることになります。
つまり、IPアドレスはインターネット空間におけるのように、オンライン上での識別子として極めて重要な役割を担っているのです。
グローバルIPは固定と変動タイプあり
上記でグローバルIPアドレスについて解説しました。
グローバルIPアドレスはさらに、数字が変化する動的IPアドレスと、数字が固定されている静的(固定)IPアドレスに分けられます。
動的IPアドレス
動的IPアドレスは、通常インターネットに接続するときにIPアドレスを管理しているISP(インターネット・サービス・プロバイダ)から割り振られます。
これは、一定時間や接続が切れたときに数字が変わります。
家庭で使うインターネットや、スマホ利用時のIPアドレスは動的なアドレスが多いです。
静的(固定)IPアドレス
静的(固定)IPアドレスはNAT(Network Address Translation)と呼ばれるルーターの機能によって使用されます。
IPアドレス変更がされると困るメール機能等を作るときに活用されます。
また、企業や大学でも静的IPアドレスが利用されることがおおいです。
IPアドレスでどこの地域で使用しているのか、どこの企業や大学、プロバイダが使用しているかを把握することはできます。
自分のIPアドレスの調べ方
下記のサイトなどIPアドレスを確認できるサイトにアクセスすれば、自分のIPアドレスを確認する方法もあります。
- ■アクセス情報【使用中のIPアドレス確認】
- https://www.cman.jp/network/support/go_access.cgi
IPアドレスで個人名・場所・住所特定は可能?どこまでわかるの?
X(旧 ツイッター)やインスタ等のSNSや2ちゃんねる等の匿名掲示板で、誤ってワンクリック詐欺サイトなどにアクセスしたときに、「あなたのIPアドレスを特定しました!!○○万円の支払いを行ってください。」などの画面が出て焦った人も多いのではないでしょうか。
知識がないと、IPアドレスがばれて取り立てが来るのではないかと思い、お金を振り込んでしまう衝動に襲われるかもしれません。
しかし、一般家庭で使うIPアドレスで個人情報を特定、住所の特定を簡単にすることはできません。
あくまでIPアドレスからわかることは下記のような項目です。
- 国
- 地域単位の位置情報
- IPアドレスを保有している組織
- ISP
- 回線情報
名前や住所、性別、年齢などの個人特定できる情報は、簡単にはわかりませんので安心しましょう。
まして、IPアドレスは人に割り振られるわけではなく、パソコンやiphone等のスマホなどの電子機器に割り振られます。そのため、誰が使用していたのかまで特定することは、ただの一個人では不可能と言ってよいでしょう。
※ただし、大学や大企業の固定IPの場合、組織名が特定されますので住所の特定も簡単です。
また、大学の場合、研究室ごとに固定IPを持っていることもあり、かなり細かく特定されることもあります。
さらに電話番号もパブリックに公開されていますから、その後の内部調査がはいれば、個人の特定に至ることはあります。
誹謗中傷を行った犯人の個人特定ができるか?
先述したとおり、IPアドレスでわかることは限られており、IPアドレスによる個人情報の特定は無理と解説致しました。
個人情報の開示手続は存在する
しかしながら、必ずしも個人情報がわからないわけではありません。
IPアドレスは、インターネットに接続する業者(略称「プロバイダ」や「ISP」)がいるので、接続業者にログ(記録)が残っている場合、誰が使用したかを特定できます。
契約情報(名前、住所、電話番号等)はプロバイダが持っているので、個人情報とIPアドレスを結びつけることにより、個人情報が判明します。
しかし個人情報を開示する場合は、あくまで「裁判所の仮処分」や「開示請求」があったときのみ開示されます。
普段から健全にインターネットを使用していれば、個人情報保護の観点からIPアドレスから個人情報が勝手に開示されることはありませんので、事件に発展した場合にのみ開示されると理解しておきましょう。
一方で、誰かに対してネットで誹謗中傷した場合は、その書き込みが「名誉毀損」であると裁判所が認められると、IPアドレスから発信者情報開示が行われ、個人特定に至ります。
開示請求の手続き
たとえば、爆サイや2ちゃんねるといった誹謗中傷が行われやすい匿名掲示板で犯人を特定したい場合、
- 誹謗中傷の加害者のIPアドレスを入手(掲示板管理者から入手)
- その後、そのIPアドレスの回線業者から個人情報を入手
の2段階の手続きを踏むことになります。
権利侵害で明確であれば、IPアドレスから速やかに個人を特定できることがあります。
Torサーバを使ったIPの匿名化
補足として、流行のTor(トーア)というソフトウェアを使うと、IPアドレスを相手に知られることなく書き込むことが可能になることも念頭においておく必要があります。
ネットに強い弁護士に依頼して誹謗中傷犯を特定しよう
IPアドレスだけでどこまでわかるかについて解説してきました。
「事件性がある」「名誉が毀損された」「プライバシーが侵害された」という正当が理由があれば、警察がたとえ動かなくても、弁護士に依頼することでIPアドレスは開示できることがあります。
匿名サイトやSNSの普及に伴い、インターネット上の書き込みにはさまざまな迷惑行為や誹謗中傷が行われる可能性が増えてきています。
インターネット上の誹謗中傷は個人だけでなく企業名に対しても行われ、その書き込みは永遠に残ることがあるのです。
もし誹謗中傷などを見つけた場合は、ネット誹謗中傷に強い弁護士に相談して、書き込みの削除や犯人特定を行い今後書き込みが行われないよう対処をしましょう。