無断転載と法律|どこからどこまで?引用との違いは?著作権侵害とは?

Licensed sign or stamp
  • 無断転載に関する法律があるのでしょうか?
  • 無断転載はどこからどこまでを指すのでしょうか?引用との違いは?著作権侵害とは?

インターネットやデジタルコンテンツの普及により、さまざまな種類の著作物を複製する機会が増えています。

キュレーションサービスやNaverまとめサイトの登場により、コンテンツの盗用問題もあふれています。

個人がブログ運用する機会も増え、他人のサイトから文章や画像を無断転載することもあります。

他人のX(旧 ツイッター)を引用したりすることもあるので、著作権が常に問題になってきます。

今回は、インターネットを利用するなら是非とも知っておきたい、無断転載の法律、どこからどこまでが無断転載か、引用との違いは何か、著作権侵害とはなにかについて解説します。

著作権とは

ネットを利用するとき、よく「著作権」が問題になります。

他のサイトから情報を拾ってきてそのまま勝手に転載すると著作権違反になります。他人が作成したイラストや撮影した画像を転載すると、やはり著作権違反になります。

そもそも著作権とは、いったいどのような権利なのでしょうか?

著作権の意味と内容

著作権とは、自分の思想や感情を創作的に表現したもの(著作物)を独占的に利用支配することができる権利のことです。

著作権を分類すると、①著作者人格権と②財産権があります。

これをさらに区分けをすると下記のとおりになります。

  • ①著作者人格権は、公表権、氏名表示権や同一性保持権(改変する権利)などがあります。
  • ②財産権は、複製権や上演権・演奏権、上映権、公衆送信権、口述権、展示権、頒布権、譲渡権、貸与権、二次的著作物の利用権などがあります。

著作物の種類(音楽、写真、プログラム、新聞、イラスト、本etc..)

著作権が認められる著作物には、以下のような種類があります。

  • 言語の著作物として、論文や小説、詩、脚本など
  • 音楽の著作物として、曲や曲を伴う歌詞など
  • 舞踊、無言劇の著作物としてバレエやダンスなど
  • 美術の著作物として、絵画や彫刻、漫画や書など
  • 建築の著作物として、芸術的な建造物など
  • 地図、図形の著作物
  • 映画の著作物として、映画やビデオソフト、ゲームソフトなど
  • 写真の著作物として、写真やグラビアなど
  • プログラムの著作物として、コンピュータ・プログラム
  • 二次的著作物として、原著作物を翻訳、編曲、映画化などしたもの
  • 編集著作物として、百科事典や辞書、新聞、雑誌など
  • データベースの著作物として、コンピュータで検索可能な編集著作物

以上のように、一口で著作権と言っても、その内容はかなりさまざまです。

ネット上では、上記のたくさんの種類の著作権を侵害しないように注意が必要です。

無断転載の罪?著作権侵害とは

無断転載は罪になるのでしょうか?どのような行為が著作権侵害になってしまうのでしょうか?

著作権の範囲は上記の通りかなり広範囲なので、自分では気づかないうちに他人の著作権侵害を行っていることも多く、注意が必要です。

ネット記事や文章の無断転載

よくあるのが、他人の書いたネットに掲載している文章や記事を無断で転載する行為です。

たとえば、他人のブログやX(旧 ツイッター)、コンテンツの内容をコピーして自分のブログやまとめサイト、キュレーションサイトなどに引用する際に問題になります。

イラストや絵、画像の無断転載

イラストや絵、画像などにも著作権が認められるので、これらを無断で転載すると、やはり著作権違反になります。

他人が撮影した写真には、素人が撮影したものであっても著作権が認められるので、転載すると著作権違反です。

  • 他人の作った楽曲を勝手に演奏して、その動画を投稿することも、著作権侵害
  • 歌詞にも著作権が認められるので、気に入った曲の歌詞を紹介しようとして勝手に載せるとやはり著作権違反
  • 映画や音楽を動画などで公開することももちろん著作権違反

このように、著作権侵害となる可能性がある行為の範囲はかなり広いので、ネット上に何らかの投稿をする場合には、人の著作権を侵害しないよう、慎重になる必要があります。

スクリーンショット(スクショ)

また、上記に関連することですが、スクリーンショット(スクショ)をいろんなところに無断転載してしまう人も多いでしょう。

詳しくは下記コラムで説明します。

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まとめサイト・キュレーションサイトの著作権侵害

さらに、まとめサイト・キュレーションサイトで多い著作権侵害を考えてみましょう。

私的使用の複製かどうか?

他人の著作物を転載することは基本的に著作権の中で複製権や公衆送信権を侵害することになりますが、例外的にこれらの行為が認められることがあります

まずは、私的使用のための複製です。純粋に私的目的の場合なら、著作物を複製することができます。

私的利用と言うためには、自分一人や家族などの狭い範囲内で共有することなどが限度となります。この範囲を超えて、数人の友人でシェアしたり、仕事上などで利用したりすると、私的利用とは認められません。

また、私的利用によって認められるのは複製権だけなので、インターネット上に投稿することによって公衆送信することは著作権の中の公衆送信権を侵害することになり、認められません。

WEBコンテンツ、記事の「引用」がネットでは多い

まとめサイト、キュレーションサイトでよく見かけますが、引用をする場合には、他人の著作物を利用することができます

最近のまとめサイトがよく制作されるのは、低コストで、SEO上、検索結果上位に容易に表示されれ手っ取り早くアクセスを稼ぐことができ、アフィリエイト等による広告収入が得られる為と考えられます。

実際、ネット上で他人の文章や画像を「引用」することにより、自作のコンテンツに掲載していることが多いです。

この時に、引用のために、引用元の出典を掲載しますが、出典元さえ掲載すれば、どのような場合でも他人の著作物の引用が許されるのでしょうか?

無断転載と引用の違い|著作権と引用のルール

どのような場合に「引用」が認められるのか、どこからどこまでが無断転載なのか、その要件やルールが問題になります。

著作権法上「引用」と認められて許されるには、以下のような要件を満たす必要があります。

  • 引用の必然性がある
  • かぎ括弧「」()””をつけるなどして、自分の著作物の部分と引用部分を明確に区別している
  • 自分の著作物と引用する著作物の主従関係が明確になっており、自分の著作物が主体であることが明らかである
  • 出所の明示・表示がなされている

このように、たとえ引用元の表示があっても、上記のすべての要件を満たしていない限りは著作権違反になってしまいます。

たとえば、引用元が明らかでも、引用部分が自分の文章と明確に区別されていない場合には「引用」とは認められません

自分の文章の部分がとても少なく、ほとんどが引用文になっている場合などにも、主従関係が逆転しているので「引用」とは認められません。このような無断転載と引用の違い、どこからどこまでが無断転載か、著作権と引用のルールは非常に重要なので頭に入れておきましょう。

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各Webサービスと無断転載と法律の問題

まとめサイト・キュレーションサイトの無断転載

このことは、まとめサイトを作成する際に重要です。

まとめサイトは、引用部分がほとんどで、自分の文章は簡単な感想だけというような適当なコンテンツの場合、著作権法違反になってしまうおそれが高いです。

引用先が分散していれば問題ないわけでもなく、出展元が明確にしてあるだけでもだめで、まとめサイトで起きやすい問題点は、オリジナルな「主」と言える部分が少なく、主従関係が成立していないことが散見できることです。その場合、適法な引用とは認められません。

さらに、引用の必然性も必要です。何の意味も無くやみくもに引用していたら、やはり「引用」とは認められません。

コンテンツ作成のために他人の著作物を引用する場合、単に出典元を明らかにするだけでは足りません。上記の要件を満たしていないと、著作者から差し止め請求や損害賠償請求などを受けてしまうおそれもあるので、充分注意しましょう。

最後に画像の引用です。転用する際にサイトで使われている画像と一緒に引用されているケースがありますが、当然画像の著作権が存在します。その出典元は、当然画像の使用料はしはらっていても、引用する側がその画像をやみくもに複製してよいわけではないのです。

X(旧 ツイッター)引用と無断転載

ツイッターのツイートは、一般的に著作権が認められます。ツイートは意味のある文章であり、その作者が創作したものであるためです。

したがって、他人のツイートを無断で引用することは、著作権法違反になる可能性があります。

ただし、ツイッターは公式にツイートをサイトに埋め込む機能を提供しており、これを利用する場合は無断転載には該当しません。

この埋め込み機能は、ツイッターの利用規約に基づいて許可されたものであり、著作者の承諾があるとみなされます。したがって、この機能を使用してツイートを引用する場合は、著作権法に違反しないで済みます。

YouTubeの引用と無断転載

Youtubeのような動画にも、基本的には著作権が認められます。ただ、YouTubeの場合も、当初から引用を許可する内容の利用規約になっています。

そこで、Youtubeの動画は、基本的にシェアすることが可能です。ただし、YouTubeの動画には、著作権フリーのものとそうでないものがあります。

「クリエイティブコモンズ」と記載のある動画については転載が可能ですが、「標準のYouTube」と記載のあるものは、転載が認められないので注意が必要です。

また、当初から違法な動画(著作権違反の動画)のコピー行為は、クリエイティブコモンズであっても著作権法違反になります。

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著作権法違反!著作権侵害を受けた場合の対処方法

以上のように、ネット上では簡単に著作権侵害が行われます。自分が注意していても、他人によって自分の著作権が侵害されるケースもありますが、そのような場合、どう対処すれば良いのでしょうか?

以下では、著作権侵害を受けた場合の対処方法をご説明します。

差し止め請求

ネット上で著作権侵害を受けた場合、まずは相手に差し止め請求をすることができます。

相手に対して、著作物の使用をやめさせることができるということです。

たとえば、文章の無断転載があったらそれを消すように請求できますし、画像の無断使用があったら削除を要請することができます。

無断転載を訴える!損害賠償請求

著作権侵害によって損害を受けた場合、侵害者を訴えて、損害賠償請求をすることができます。

損害賠償金額については、著作権法によって推定規定が設けられているので、比較的簡単に機械的に計算することが可能です。

ただ、ネット上で著作権侵害を受けた場合、相手がどこの誰か分からないことが多く、差し止め請求や損害賠償請求をするとは言っても、どのようにして手続きがわからないことが多いです。

この場合、相手の素性がわからなくても、メールアドレスなどがわかることがあり、その場合にはそのメールで文章や画像の削除を要請することができます。

メールを送っても返信がない場合や、相手に対して損害賠償請求をしたい場合には、プロバイダ責任制限法という法律により、投稿者の発信者情報を開示させて、相手を特定し訴えることが可能です。

DMCAによる削除申請

DMCAというアメリカの著作権に関する法律があります。

アメリカの法律なので日本には適用されませんが、GoogleやX(旧Twitter)、You Tubeなどアメリカの企業には適用されます。

そのため、例えばGoogleの検索結果から削除してもらう、X(旧Twitter)のツイートを削除してもらう等の申請が可能です。

DMCAの詳細はこちらの記事で解説しています。

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著作権問題については弁護士に相談しよう!

著作権に関連する問題は、専門家である弁護士に相談することが賢明です。

インターネット上では、無意識のうちに他人の著作物を侵害してしまったり、自身の作品が勝手に転載されたりして著作権侵害を受けることもあります。

相手に損害賠償を請求しようとする場合、発信者を特定するなどの手続きが必要です。

こうした問題には、素人が自力で対処するのは難しいため、法律の専門家の助けが必要です。

弁護士であれば、著作権侵害の有無を判断し、適切なアドバイスを提供してくれます。また、自身が著作権侵害を犯してしまった場合や、相手から請求を受けた場合にも頼りになります。

著作権侵害に遭った場合、相手に対して差し止めや損害賠償を求めるには、ほとんどの場合弁護士の支援が必要です。

したがって、ネット上で著作権関連の問題が発生した場合は、まずは弁護士に相談することが肝要です。

悩んだら、ネット関連の問題に特化した弁護士を探し、法的アドバイスを求めるのがよいでしょう。

まとめ

今回は、ネットの利用と著作権の問題について解説しました。

他人のブログやコンテンツの文章を転載したり、画像や写真を引用したりする際には、著作権法違反となる可能性があるので、十分注意が必要です。

まとめサイトを作る際などには、無条件に引用が認められることはなく、引用と認められるためには各種の要件を満たさなければなりません。

X(旧 ツイッター)の埋め込み機能やYouTubeの場合、当初の利用規約によって引用転載が認められるケースが多いので、覚えておくと役立ちます。

自分が著作権侵害を受けた場合には、相手に対して差し止め請求や損害賠償請求をすることができます。

著作権の考え方や権利侵害を受けた場合の対処方法などについては、素人が自分一人で解決することが難しいことが多いので、弁護士に相談することをおすすめします。

ネットの著作権問題で悩んだら、ネット問題に強い弁護士を探して、まずはそのアドバイスを受けてみましょう。

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