スクショが著作権法違反になる?著作権法改正でどうなるかを解説

sukusyo

2020年6月5日、改正著作権法が成立しました。
この改正によって、従来の違法アップロード規制に加え、違法ダウンロードも取り締まりが強化されました。

これに関して、「スクショも規制される」という話を聞いたことがある方もいらっしゃるのではないでしょうか。

「スクショは全部違法になるの?」というお悩みに答えるため、今回は違法ダウンロードの中でもスクリーンショットと著作権違反に重点をおいて解説していきます。

著作権法改正の背景

今回成立した法案が検討されるようになったのは、2018年に話題となった「漫画村事件」が関係しています。

この海賊版サイトによって、インターネット上に違法アップロードされた書籍が無料で読めるようになってしまい、多くの人もこれを利用していました。
その経済損失は3000億円にのぼるとも言われています。

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これでは著作権者(原作者)に利益が入らず、日本文化の衰退に繋がる恐れがあるとして、違法ダウンロードの規制に取り組むようになったのです。

違法ダウンロードの取り締まりは、動画と音楽に加え、マンガ・論文・小説・絵など著作物全般が対象になっています。
また、今まで取り締まりができなかったリーチサイト(違法アップロードされたコンテンツに繋がるリンクが貼られているサイト)も処罰の対象になりました。

著作権法改正の全体的な解説は以下のページで行っていますので、よろしければご参照ください。

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違法ダウンロードになるスクショ

この改正では、スクリーンショットによって違法なコンテンツを保存することも規制の対象となっています。

ここで注意してほしいのが、大前提としてこの改正法で罰せられる対象となるのは、違法にアップロードされたと”知りながら”スクショでその画像を保存してしまった場合に限られる、ということです。
つまり、違法アップロードされた画像であることを知らなかったり、よくわからなかったけれどスクショしてしまった、というケースは違法にはなりません。

それでは、違法なスクショと適法なスクショの基準をそれぞれ見ていきましょう。

適法となるスクショとは?

スクショが適法となるのは、

  • 適法にアップロードされたものをスクショした場合
  • 適法にアップロードされたものをスクショしようとした場合に、違法アップロードされた画像が付随的に写り込んでしまった場合(改正著作権法30条の2)

とされています。

「適法にアップロードされたものをスクショした場合」とは、単純に、適法に(公式サイトや公式アプリなどから)提供されたコンテンツをスクショで保存したときのことを指します。

「適法にアップロードされたものをスクショしようとした場合に、違法アップロードされた画像が付随的に写り込んでしまった場合」は、メインとしてスクショする対象にくっついて写ってしまったときのことを指します。

例えば、Twitterである人のツイートをスクショしようとしたときに、違法アップロードされた画像を使ったアイコン(トプ画)が写り込んでしまうときは、違法アップロードされた画像をメインにスクショしようとしているわけではないので、適法です。

ただ、スクショして自分のスマホに保存し、私的利用(鑑賞用として保存するなど)するならOKですが、それを許可を得ずにTwitterに流したり、自分のブログに掲載等してしまった場合は「違法アップロード」となりますので注意してください。

違法となるスクショとは?

違法になるスクショとは、当然「違法アップロードされた画像をスクショした場合」です。

公式から許可を得ずに画像を掲載している海賊版サイト・個人ブログ・匿名掲示板などでスクショしたものは違法になります。

このような行為を行った場合、著作権者から民事訴訟で損害賠償請求される可能性があります。
また、有償で提供されているコンテンツ(雑誌や漫画など)を反復または継続してスクショをしていると刑事罰(2年以下の懲役もしくは200万円以下の罰金、又はその併科)が科される可能性もあります(改正著作権法119条3項2号)。

ただ、一概に「違法アップロードされた画像をスクショした場合」と言っても、一定の例外要件が定められており、これに該当する場合は違法にならないこともあります。

以下では、その例外について説明していきます。

違法なスクショが適法になる例外のケースとは

先述したように、違法なスクショであっても、一定の例外要件に該当すれば違法でなくなりることがあります。

その例外は、主に以下の4つの項目があります(改正著作権法30条1項4号)。

  1. 分量(軽微なものの一種)
  2. 画質(軽微なものの一種)
  3. 二次創作
  4. 「著作権者の利益を不当に害しないと認められる特別な事情がある場合」

①分量

違法なスクショであっても、「軽微なもの」程度の分量であれば違法にはなりません。
「軽微なもの」の具体的な量は、その著作物全体の量とスクショした分量を比較して考えます。

例えば、以下のような場合は「軽微なもの」にあたるとされています。

  • 数十ページで構成される漫画の1コマ~数コマ
  • 長文で構成される論文や新聞記事などの1行~数行
  • 数百ページで構成される小説の1ページ~数ページ

逆に「軽微なもの」にあたらないのは以下のような場合です。

  • 漫画の一話の半分程度
  • 絵画や写真など、一枚で作品全体となるもの(※)
  • 1コマ漫画の1コマ

※次の画質の要件で適法になるケースもあります。

②画質

画質についても、分量と同様「軽微なもの」の一例です。

イラストや写真などをスクショしてしまい、分量からみて違法であったとしても、その画像の画質が低く、それ自体では鑑賞に堪えないような粗い画像であった場合には「軽微なもの」に分類されます。

例えば、YouTubeの動画一覧で表示されている小さなサムネイルをスクショした場合は、1つ1つが鮮明に見えるわけではないので「軽微なもの」と判断されるでしょう。

③二次創作

基本的に、原作者から許可を得ずに二次創作をしてネット上にアップロードすることは著作権侵害となり、違法です。

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しかし、現状として日本では数多くの二次創作が行われており、原作者が許可を出さずとも黙認という形で許容している慣習があることから、二次創作については違法ダウンロードの対象から除外されています。
よって、二次創作者自身がアップロードを行った作品についてはスクショが適法になります。

ただ、第三者が二次創作者の許可を得ずに違法アップロードを行った場合は、そのスクショも違法ダウンロードとなってしまうので規制の対象になります。

④「著作権者の利益を不当に害しないと認められる特別な事情がある場合」

例えば、詐欺集団が作成して郵送してきたハガキ(これも一応著作物です)が、被害者のSNSに無断掲載(違法アップロード)されている場合に、それを自分や家族を守る目的でスクショすることなどは「著作権者の利益を不当に害しないと認められる特別な事情がある場合」に該当し、適法となります。

もし、今までの3つの要件にも該当せず、明らかに違法ダウンロードを行っていたとしても、このような「特別な事情」があることが証明できれば、違法にはなりません

まとめ

以上が、改正著作権法のスクリーンショット規制についての解説でした。

この改正法の施行日は、2021年1月1日になっています。
もし、上記の違法ダウンロードに該当することをしてしまった記憶がある方は、これから気を付けるようにしましょう。

また、多くの著作権者が不利益を被ることのないよう、違法なスクショは勿論、違法ダウンロードもしないようにしましょう。

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