誹謗中傷とは?事件例、「批判」との違い、簡単に解説

hiboutyuusyou imi
  • 誹謗中傷とはなに?事件例はある?
  • 誹謗中傷と批判との違いは簡単にいうと何?

近年、関心が高まっているSNSでも数多くの事例がある「誹謗中傷」ですが簡単にわかりやすく言うとどういうことでしょう。

また誹謗中傷には「訴えられる基準があるのか」「どこからが誹謗中傷なのか」「悪意のない批判も同じになってしまうのか」など、疑問を持つ方も多いのです。

単語の意味として大まかには多くの人はご存知だと思いますが、具体例として誹謗中傷と批判との違いなどがよく分からないという方も多いでしょう。

そこで今回は、誹謗中傷の意味、誹謗中傷とは何か、問題点の例、定義、内容、事例、どこからが誹謗中傷か、批判との違いなどわかりやすく簡単に解説をしていきたいと思います。

誹謗中傷の意味とは

誹謗中傷とは、「誹謗」と「中傷」の2語が合わさってできた言葉です。

  • 「誹謗」…他人の悪口を言ったり、罵ったりすること
  • 「中傷」…根拠のない事を言いふらすことで他人を傷つけること

誹謗中傷の定義は、デマや嫌がらせなどを含む「言葉による暴力」とも言えます。

なお、「誹謗中傷」は法律用語ではありません。

法律に沿って考えるときは「名誉毀損」や「侮辱」といった言葉にあてはめることになります。

ネット誹謗中傷の問題点とは?

テラスハウスに出演した木村花さんの自殺、いわゆる「ガラケー女事件」での冤罪被害など、近年では誹謗中傷が関わる事件が多発しています。

インターネットが発達してから、いつでもどこでも簡単に自分の意見を発信できるようになりました。

また、5ちゃんねるといった電子掲示板、TwitterやInstagramといったSNSは匿名で使うことができることから、バレないだろうという軽い気持ちで書き込みや投稿をする人も少なくありません。

その結果、自殺に追い込まれたり、プライバシーが侵害されたり、名誉毀損が行われたり、多くの問題が発生しています。

その結果、ネットを利用したトラブルも年々増加しており、インターネット上の人権侵害情報に関する事件数は、平成29年度に5年連続で過去最高を記録し、令和元年も平成29年に次ぐ件数となっています。

【参考】法務省:「人権侵犯事件」の状況について(概要)

しかし、この統計は事件について救済手続を開始した(申告した)人の数であり、申告せずに黙っている人も多くいると考えられるため、実際の数はもっと多いでしょう。

どこから誹謗中傷か定義・例を簡単に解説

誹謗中傷と批判の違い

誹謗中傷を判断するにあたって一番問題となるのが、批判や批評との違い・区別がつきにくいことです。

自分からしてみればただの簡単な批判だったのに、相手は誹謗中傷だと受け止めていた、ということも十分にあり得ます。

実際、今のところ誹謗中傷と批判の明確な基準は存在しておらず、裁判でも裁判官の判断に委ねられています。

ですが、どこから誹謗中傷かと強いて言うのであれば、①行き過ぎた言葉になっていないか、②相手の人格を攻撃していないかを確認するのが良いでしょう。

①行き過ぎた言葉になっていないか|事例

例えば、「クソ」「気持ち悪い」といった、相手を侮辱するような表現は基本的に誹謗中傷にあたると言えます。

また、簡単な「死ね」は勿論、「生きるのやめた方がいいんじゃないですか?」というような丁寧そうに見えて言い過ぎな表現も、誹謗中傷になる可能性があります。

②相手の人格を攻撃していないか|事例

誹謗中傷と批判の区別として、「人格」を対象としているか、「言動」を対象としているかで考えるケースも多く存在します。

例えば、「ブスは消えた方がいい」「低能は家に引きこもってろ」というような、相手の能力・性格・容貌を含めた人格を貶す言葉、つまり人格攻撃は、誹謗中傷となるでしょう。

一方で、賄賂を受け取っていた国家議員に対して「賄賂受け取るなんて最悪」「収賄は犯罪だし国会議員を辞めてほしい」などのように、行為や発言に対して物申すのであれば、批判と受け取られる可能性が高いことが多いのも事実です。

上記の基準はあくまで参考であり、「誹謗中傷」という法律用語ではない言葉の意味については、再三述べているように明確な基準はありません

常識の範囲や自分の感覚とも照らしあわせて、考えるようにしましょう。

「誹謗中傷」と「表現の自由」の問題は?

度重なる誹謗中傷事件によって、更なる厳格な法規制をするべきという議論も起きています。

ただ、先述したように誹謗中傷とそれ以外の言葉の線引きが曖昧な以上、厳しい言論統制を行うことで発言の抑制に繋がってしまい、憲法21条で保障されている「表現の自由」を侵害することも考えられます。

批判や批評というものは健全な社会を作る上で重要なものであり、規制によって抑制するわけにはいかないのが現状です。

誹謗中傷と表現の自由については下記のページもあわせてご参照ください。

関連記事
表現の自由と名誉毀損
ネットにおける「表現の自由」と「名誉毀損」の違い・線引きを解説
日本の憲法では「表現の自由」が保障されているはずです。ネット上の自由な表現が、どうして認められないことになるのでしょ…[続きを読む]

訴えられる基準はある?誹謗中傷と罪

誹謗中傷は先述した通りの意味ではありますが、法律用語ではないため、誹謗中傷の行為を罰するためには名誉毀損罪などの刑法の要件にあてはめて考えることが必要です。また、民事事件として訴えられる可能性もあります。

それでは、誹謗中傷を刑法にあてはめた場合、どのような犯罪に該当するのか違いなど簡単にわかりやすく解説致します。

名誉毀損罪とその例

名誉毀損罪は「公然と」「事実を摘示」することで「人の名誉を毀損した」ときに成立します。
なお、「名誉を毀損」とは、社会的評価を低下させるおそれのある状態にしたことで、実際に社会的評価が低下したことは必要ありません。

また、この場合でいう「事実」は、真実かどうかは関係ありません。

例えば、下記のようなものです。

  • 「△△(芸能人の名前)は昔、万引きをして生活していた」
  • 「○○(アイドルの名前)は、枕している」
  • 「××(近所の人)は、近くのお店に嫌がらせ行為をしている」

真実であっても、それを広めたことによって相手の社会的評価が下がった場合は名誉毀損になります。

ただし、「日本人は犯罪者ばかりだ」という場合、対象者の範囲が広すぎて、およそ全員の社会的評価が低下するという事態は考えられず保護対象とする必要性はありません。

名誉毀損罪が成立した場合、3年以下の罰金もしくは禁固または50万円以下の罰金が科せられます。

ただ、名誉毀損であっても、以下の要件を満たした場合は罰せられません。

  1. 公共の利害に関する事実に係り
  2. その目的が専ら公益を図ることにあったと認める場合に
  3. 真実であることの証明があったとき

例えば、政治家の不祥事やスキャンダルを記者が暴いても罰せられないのは、この例外があるからです。

関連記事
Render illustration of Defamation title on Legal Documents
名誉毀損にあたる言葉は?親告罪か?時効は?公然性などわかりやすく解説!
ネットで他人を誹謗中傷すると「名誉毀損」となって相手から刑事告訴や損害賠償請求をされる可能性があります。一方誹謗中傷…[続きを読む]

侮辱罪とその例

事実を摘示せずに、「公然と」「人を侮辱」した場合は侮辱罪が成立します。
「侮辱」は、表現は違いますが名誉毀損と同様で、社会的評価が低下するおそれを生じさせることです。

事実を摘示せずにというのは、「バカ」「アホ」といった事実でない言葉のように、「価値判断を発表する場合」を指します。

  • 「○○はブスだ」
  • 「××は最低だ」
ただし「○○高校の生徒」といったように個人が特定できない誹謗中傷は侮辱罪とはなりません。
そして今までは侮辱罪が成立した場合は、拘留(1日以上30日未満の間、刑事施設に拘置)または科料(1,000円以上10,000円未満の制裁金を納付)が科せられていました。

しかし、2022年には侮辱罪の厳罰化が行われて懲役刑の可能性もあるようになった点には注意が必要です。

関連記事
侮辱罪
ネットの侮辱罪にあたる言葉の例や一覧、慰謝料など解説
この記事では、侮辱罪について詳しく解説します。構成要件、時効など事例を交えて解説します。また、侮辱行為を受けた場合に…[続きを読む]
関連記事
侮辱罪の厳罰化|改正で時効、罰金、警察逮捕はどうなるのか?
ネットやSNSでの誹謗中傷・侮辱罪の厳罰化・法律の改正により違反した場合、懲役刑・罰金刑となる可能性も出ており、イン…[続きを読む]

その他の刑罰

誹謗中傷では主に名誉毀損罪と侮辱罪が成立しやすいですが、場合によっては以下のような罪が成立する可能性もあります。

  • 業務妨害罪
  • 脅迫罪
  • 強要罪
  • 自殺教唆罪
  • 信用毀損罪

それぞれについて詳しく知りたい方は、以下のページをご覧ください。

関連記事
img_net-abuse-judgement
誹謗中傷は罪にならない?逮捕・犯罪の基準を徹底解説
どんな「ネット荒らし」や「誹謗中傷」が罪になるか、罪にならないかとお悩みの方がいるかもしれません。 誹謗中傷は「何罪…[続きを読む]

関連記事
business persons shaking hands.
信用毀損罪とは|名誉毀損罪や業務妨害罪との違いは?親告罪なの?
軽い気持ちであっても、企業やお店などの経済状況についての虚偽の投稿をすると「信用毀損罪」という犯罪が成立する可能性が…[続きを読む]

上記は刑法上の罰則に関する話でしたが、民事訴訟によって損害賠償請求や場合によっては差止請求も可能です。
ただ、民事では名誉毀損が成立する場合に「事実の適示」だけでなく「意見・論評」も含まれ、多少基準が変わることがあるので注意が必要です。

SNSでの誹謗中傷事件事例

実際の最近のSNSの誹謗中傷事件事例を見てみましょう。

三崎優太(青汁王子)さんの緊急搬送事件|みねしましゃちょーの粘着

2022年5月20日未明に緊急搬送されたことが報じられた「青汁王子」こと三崎優太さんの誹謗中傷案件についてです。

ことの内容を簡単にまとめると下記のようになります。

  • 暴露系YouTuberのみねしましゃちょーが、三崎優太さんの虚偽タレコミDMの内容を信じてデマ拡散し粘着(2022年3月頃)
  • 内容は「北海道北見市の女子生徒レイプ事件」「同級生のギター頭叩き割り事件」などのデマを拡散
  • その後、三崎優太さんは警察に相談し、告訴状受理される
  • 5月20日未明、相次ぐ粘着的な誹謗中傷に悩み、三崎優太さんが緊急搬送され、一部で自殺未遂と報道

ここでのポイントは、三崎優太さんの過去の裏取りをしっかりせずデマを拡散した点ですが、こういったケースで実際に逮捕者は出ております。

今回の件についてでも、お互いに示談と和解がなされない場合は、名誉毀損罪で逮捕される可能性が大いにあります。

関連記事
dema houtekisekinin
デマやフェイクニュースの法的責任|何罪?SNSで拡散しても違法?
SNSやネット掲示板のデマやフェイクニュースを発信・拡散することは、一歩間違えると犯罪になる可能性があることをご存じ…[続きを読む]

平成フラミンゴさんへのSNS誹謗中傷

モデルプレスの、Youtuber影響力トレンドランキングで常に上位にいる「平成フラミンゴ」さんにもSNS誹謗中傷がありました。原因は主に、他のYouTuberとコラボしていることによる誹謗中傷と考えれます。

  • 他のyoutuberが大好きなリアコファンによる、嫉妬が原因の誹謗中傷が殺到
  • 2021年11月には RIHOさんが活動停止を発表(その後復活)

この平成フラミンゴさんへの誹謗中傷案件のポイントは「調子に乗ってる」「許せない」という嫉妬の感情による点と言えるでしょう。

嫉妬自体は誰しもが持つものですが、うまくコントロールできず、表現がいきすぎる場合は、名誉毀損罪・侮辱罪により逮捕される可能性があります。

この件自体は、一度収束はしておりますが、人気上位のyoutuberさんの場合は、定期的にこのような誹謗中傷が殺到するので、今後も似たようなことが平成フラミンゴさん宛に行われる可能性が大いにあります。

関連記事
ネット書き込みの人の心理
ネットで誹謗中傷をする人の心理と特徴
X(Twitter)やネット掲示板などで酷い誹謗中傷を受けると、たいていの人は傷つきます。ネット誹謗中傷する人の心理…[続きを読む]

フォーエイト48あみかさんへのSNS誹謗中傷

人気グループ系YouTuber「フォーエイト48」のメンバーの中でも最年少の「あみか(17)」さんが誹謗中傷を受けました。
原因は基本的には平成フラミンゴさんと同様、嫉妬によるものと言えるでしょう。

  • 仕草、態度などから嫉妬が原因の誹謗中傷が殺到

嫉妬心が強くなりすぎると理性が働かなくなり、名誉毀損罪・侮辱罪にあたる言葉を書き込んでしまいます。フォーエイトあみかさんの誹謗中傷案件だけではなく、すべての誹謗中傷に対していえることです。

容姿にケチを付けたい、メイクにケチをつけたい、若さにケチを付けたい、アピールぐあいにケチを付けたい、言い方にケチをつけたい、などなどです。

どこの誰がどのような態度で言動で仕草であっても、自己をおびやかすことはないはずなのですが、そういう存在に見え始めるという「潰してやろう」という心理が働いてしまいます。

逮捕云々だけではなく、自分の心を守るためにも、心無いコメントの書き込みに注意をしましょう。

誹謗中傷被害への対策

逆に、誹謗中傷を受けた場合はどのような対応方法を取ることができるのでしょうか。

簡単にまとめると、主に4つの手段が考えられます。

①投稿の削除(任意) 違反報告や問い合わせ等で運営会社に削除してもらう
②送信防止措置請求 法的に運営会社に投稿の削除を請求する 送信防止措置依頼書の書き方【入門編】
③発信者情報開示請求 匿名相手を特定する 発信者情報開示の仮処分と訴訟の流れをわかりやすく解説
④弁護士や行政に相談 弁護士や法務省・地域の相談窓口などに相談する 誹謗中傷に強い弁護士を探す
【参考】人権相談窓口(法務省)

匿名相手からの誹謗中傷の解決は難しいイメージがありますが、解決できるケースも多く存在します。

何をすればいいのかわからないという人は、まず身近な人や行政機関、弁護士などに相談してみてはいかがでしょうか。

まとめ

以上が誹謗中傷とは何か、例、内容・定義、事例、批判との違い、訴えられる基準、また三崎優太さん、平成フラミンゴさん、フォーエイトあみかさんのSNS誹謗中傷事例について簡単にわかりやすく解説しました。

近年、誹謗中傷は様々な事件によって注目が集まっており、解決がスムーズにできるようにするための法改正も検討されています。

自分自身が誰かを誹謗中傷しないように気をつけると同時に、もし被害者になった場合は独りで抱え込まず、誰かに相談することをおすすめします。

誹謗中傷に強い弁護士が無料相談いたします

ネット誹謗中傷で悩まれている方は、今すぐ弁護士にご相談ください。書き込みの削除、犯人の特定が可能性があります。

  1. 匿名掲示板に個人情報、名誉毀損の書き込みされた
  2. SNS/ブログなどで誹謗中傷をされている
  3. 会社(法人)/お店の悪い評判が書かれ風評被害を受けている
  4. 書き込み犯人を特定したい
  5. 名誉毀損の慰謝料請求、損害賠償請求をお任せしたい

ネット誹謗中傷に強い弁護士に無料相談することで、解決できる可能性があります。弁護士に任せて頂ければ、被害者の方は平安な生活を取り戻すことができます。

1つでも当てはまる方は1人で悩まず、今すぐ弁護士に相談しましょう。

誹謗中傷の無料相談ができる事務所
【東京都・中央区】
弁護士法人NEX
  • 初回相談無料
  • 犯人特定に強い
  • 爆サイに強い
弁護士法人NEXは、爆サイ、ホスラブ、5ch、2ch、たぬき等をはじめとする掲示板のネット誹謗中傷問題の解決を得意としております。ネット投稿の削除も得意としておりますが、再発防止の効果も見込め、被害の抜本的解決ができる「発信者(犯人)の特定」により注力して、ご相談者様の悩める心情に寄り添いながら、解決に向かって迅速に業務を遂行してまいります。
誹謗中傷でお悩みなら今すぐ弁護士相談
050-5267-6228
[電話受付]平日 9:00~21:00 土日祝 9:00~18:00
都道府県から誹謗中傷に強い弁護士を探す
監修
弁護士相談Cafe編集部
本記事はネット誹謗中傷弁護士相談Cafeを運営するエファタ株式会社の編集部が執筆・監修を行いました。
プロフィール この監修者の記事一覧

あなたへおすすめの記事